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第15社 ドキドキ!自己紹介タイム!

 教室へ続く階段を上っていく。1年生の教室は4階にあるらしく、やっとの思いで教室へとたどり着いた。

 

 毎日この階段上るのキツすぎない? まだ1年生だよ? 学校はもうちょっと1年生に優しくしてくれても良いんじゃないかな。

 

 まだ初日だというのに、心の中ではグチグチと文句が湧き出てくる。この調子でやっていけるのかと若干心配しながら、 私は黒板に書かれた文字を見る。

 どうやら、先生が来るまでに自分の座席に座っておかないといけないらしい。黒板に貼られた座席表を見ると、自分の席へと着いた。


「はぁ……」


 席に着くなり、本日何回目かも分からない溜息を吐く。すると、悠がこちらにやってきて、どうしたのかと訊いてきた。


「え、だって前から2番目の席だよ!? こんなの内職できないじゃん!」

「いやそこ? 心配して損した……」

「悠、さては内職の大事さを分かってないね? 内職っていうのは――」

「説明しなくていいから。それより昨日説明したこと、ちゃんと覚えてるの?」

 

 悠にそう訊かれた私は目を逸らす。

 

 いや、だってあんないっぺんに説明されても覚えられないっての。基本定期テストは短期記憶で何とかゴリ押してきたけど、あの量は流石に無理。


 私の反応を見ると、悠は呆れたような表情を浮かべる。


「それじゃあ、どこまで覚えてるの?」

「えーっと、祟魔を退治するのが代報者で、此処が代報者を育成する機関ってところまでかな」

「序の序じゃん!」

「いや、だってあんな量を1日で覚えろとか無理だって」


 実際、あれは1か月分の中学の授業内容をぎゅっと凝縮したようなものでしょ。そんなの天才でもない限り事細かに覚えるのは無理だって。

 

 言い訳をつらつら考えていると、ハーフアップの赤髪で、切れ長の赤眼をした高身長の男性が入って来た。服装からして担任の先生だろう。

 

「帰ったらもう1回説明するからね」

「はーい」


 悠は私に向かってそう言うと、1番前の自分の席に戻った。悠が席に着くなり、教壇の前に立った先生が話し始める。


「俺はこのクラス、1年A組の担任の織部信武(おりべしのぶ)や。よろしゅうな。ほんならさっそくで悪いけど、出席番号順に軽く自己紹介頼むわ」


 織部先生がそう言うと、教室内は騒然となる。そりゃ、急に自己紹介しろとか言われてもね……。幸い出席番号は後ろの方だし、ひとまず様子見ますか。


 私は廊下側の1番前に座っている人に目を向ける。どうやらトップバッターは赤茶色の髪を後ろで三つ編みにした男子のようだ。彼は席を立つと、自己紹介をし始めた。


「私は綾瀬詞貴(あやせしき)。奈良にある一言主大社(ひとことぬしたいしゃ)から来ました。1年間よろしくお願いします」


 詞貴さんは、自己紹介を終えると一礼してから席に座った。


 トップバッターとしては完璧。なかなかしっかりしてそう。


 詞貴さんが着席したので、その後ろの人に目を向ける。彼は藍色の長髪を下の方で縛っていて、山吹色の眼をしていた。


「えっと、十六夜伊織(いざよいいおり)です……。京都の月読大社から来ました。よ、よろしくお願いします」

 

 どもってる……。まぁ、クラスに一人ぐらいはいるよね。いや、私も同じ部類なんだけどさ。うん、仲良くはできそうかな。同じ陰の気を感じるし。

 

 温かい目で伊織さんを見てると、次の人が立った。

 

「わたしは一条姫香(いちじょうひめか)! 京都市にある一ノ宮大社(いちのみやたいしゃ)から来ました。 目標は友達1000人作ること! 1年間よろしくね!」


 100人ではなく1000人……? うん。アホだ。この子アホだ。大体、この学園にそんな数の生徒いるわけないし。赤目で、ピンクと赤が混じった長髪をツインテールにしてて、小柄で可愛いけど! ……アホだ。多分、一軍タイプ。んー。まだ3人しか自己紹介してないけど、もしやこのクラス全員個性強いのでは?


 その後も自己紹介をするたびに内心でツッコんでいく。


 「私は市ノ瀬白澪(いちのせしられ)。滋賀県の日吉大社(ひよしたいしゃ)から来ました。よろしくお願います」

 

 白澪さんは、白に水色が混じった長髪のポニーテールで碧眼。所謂清楚系ってところかな。なんか大人しそうな感じがするけど、実際はどうなんだろ。


「えー、兵庫県の事代神社(ことしろじんじゃ)から来た、如月天音(きさらぎあまね)っす。よろしくお願いするっす」

 

 1列目の1番後ろ子は、ブロンドのミディアムボブに蒼眼。しかも眼鏡っ娘か。なんか同族(オタク)の気配を感じるのは、きっと気のせいじゃない! 休憩時間にでも話しかけてみよっと。


「俺は下条大翔(しもじょうひろと)下鴨神社(しもがもじんじゃ)から来ました。よろしくお願いします」


 ……なんかめっちゃ目つき悪くない? しかもピアスバチバチに開けてるし、金髪紫眼だし、もしやヤンキーだったりする? いや待て、我ながら失礼すぎるな。とにかくあんまり近づかないでおこ。

 

熊野速玉大社くまのはやたまたいしゃから来た新宮呉羽(しんぐうくれは)だ! 1年間よろしく頼むぜ!」


 癖っ毛な黒髪黒眼の彼は、元気よく自己紹介を終えると、席に座った。

 

 なんか熱いな。それに、あんまり頭良くなさそうな気がする。もしかしたら、熱血バカの部類だったりして。


 半分呆れた目で見ていると後ろの人が立った。焦げ茶色の短髪で緑眼の男子のようだ。なかなかに好青年っぽいな。多分このクラスじゃ二軍に入ってそう。

 

 「えー、神城樹(しんじょういつき)です。茨城の息栖神社(いきすじんじゃ)から来ました。こっちに来たのは最近なんで色々分からないこともあると思いますけど、よろしくお願いします」

 

 ふむふむ。訳ありかな? なんか色々苦労してそうな気配を感じるけど……。取り敢えず、あの人とは仲良くやれそうかも。

 

 そう思っていると、1時間目終了のチャイムが鳴った。


「なら、この続きは次の時間やな。みんな休憩に入ってええで~」

 

 織部先生がそう言うと、私は真っ先に悠の元へ向かうのだった。

 

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