第二十三話
アラモドとの面会が終わった後、パルフェは私の手をひいて部屋を出た。当然アシドたちは付いて来ようとしたが、パルフェがやんわりと同行を拒否したのだ。
公爵令嬢と第二王子のみで心配ではあるが、事件解決後の王宮内ということもあってか、ホウルはすぐに承諾してくれた。アシドは最初こそ渋っていたが、ホウルに説得され不満たっぷりながらも頷いた。
そうしてパルフェに連れられてやって来たのは、王宮の庭園。私とパルフェが初めて出会った場所だ。
「つい最近なのに、この場所が懐かしく感じますね」
「あのお茶会から、騒がしかったですからね」
小さなベンチに二人で並んで腰掛けた。美しく咲き誇る花々を鑑賞していると、初めて出会った時から今日までのことが頭を過っていく。
本当に色々なことがあった。普通の人生では積めないような経験値をかなり獲得したように思う。前世が平和な世界だった私にとって、恐ろしい記憶ある。しかし、それも今となっては楽しい記憶と同じく、いい思い出として昇華できそうだ。
成長した自分の精神力の逞しさに、しみじみとしてしまう。と、ここで初雪の髪がサラリと揺れた。
「ここは、僕にとって特別な場所となんです。どうしてか、わかりますか?」
顔を覗き込んでくるパルフェの表情があまりにも優しすぎるものだったので、思わず目が奪われてしまった。眼前の美しさに見惚れて返事が出来ない私に、パルフェは笑みを浮かべると手を伸ばす。
「あなたに出会えたからです」
そう言って、パルフェの手が私の頬に添えられた。
手から伝わってくるパルフェの体温が、私に侵食してくる。手だけではない。彼の深紅の瞳に灯る甘い灯火も、じわじわと私の心を暖かく照らしていく。
胸の中がポカポカして心地いいけど、どこかくすぐったいような…不思議な感覚。
経験したことのない感覚に戸惑いながらも、彼の真摯な瞳から目を逸らすことができない。パルフェの動作一つ一つが、スローモーションのように見えてしまう。
「ソルトさん、僕は―」
「おい」
ズシリ、と頭上に感じる突然の重み。第二王子の言葉を遮った不敬な物体は、私の頭をペシペシと叩く。
「腹減った。欲望、喰わせろ」
「デビハン!?」
聞こえてきた声に驚きながら、頭上の物体を引っぺがす。
「勝手に王宮内を一人で出歩いたらダメでしょ! というか、シエルちゃんたちは?」
「知らねぇよ。それよりも、腹減った」
私の腕の中で空腹を訴えるデビハン。どうやら、シエルたちのことは振り払ってきたようだ。行動力のある悪魔に重々しく息を吐いた。
「あのねぇ、ここは一応王宮の中なのよ? あんたみたいな上位種の悪魔がフラフラ飛んでいたら危ないし、皆がビックリしちゃうでしょ」
「別にどうってことないだろ」
さらりと、私のお説教を流すデビハンに一瞬怒りが沸いた。だが、デビハンの腹から聞こえてきた地響きに、怒りはすぐに鎮火されてしまう。
「はぁ…もう、次からは気を付けてよね」
何に? とでも言いたそうなデビハンに、意味を理解してもらうのは無理かもしれないと悟る。
「あ! いた!」
鼓膜を刺激するのは、よく知る可愛らしい声。目線を声のするほうに向けると、シエルがこちらに駆け寄ってきていた。その背後からは、カソナードとケイクの姿が見えたのだが…何故か二人とも、とても申し訳なさそうだ。
「ごめんなさい、ソルト様。デビちゃんがお腹空いたって、飛び出して行っちゃったんです」
一番に私たちのもとに到着したシエルがすぐさま謝罪してくる。私は首を横に振った。
「謝らないで。それより、こっちこそごめんね。デビハンが我がまま言って」
「デビちゃんたら、お菓子を全部食べちゃって…食べるものが無くなったから、部屋から逃げ出しちゃったんです」
「全部…!?」
聞き捨てならない言葉に、私はデビハンを掴み上げた。
「デビ! あんた、シエルちゃんのお菓子を全部一人で食べたの!?」
「おう」
「おう、じゃないわよ!」
平然と頷くデビハンを睨みつけ、ガクガクと小さな身体を揺さぶる。
「この後のお楽しみにとっておいたのに…! 何てことしてくれるの!」
「でも、そこの女が全部食っていいって…」
「だからって全部食べることはないでしょ!? 私がスイーツを愛しているのを知っているなら、なおさらよ!」
「そんな大袈裟な…」
「大袈裟ですって…?」
声に重みを増させ、私はデビハンをギロリと睨みつけた。殺気だった目で射貫かれ、事の重大さを知ったのかデビハンは冷や汗を滲ませている。
「そう、反省はしないのね…あんたがそういう態度なら私にも考えがあるわ」
私はデビハンを解放した。パタパタと私の近くで緊張気味に浮いているデビハンに、ビシッ! と指を突き付ける。
「私がスイーツを食べるまで、あんたに私の欲望を食べさせない!」
「なっ!? 俺に空腹で死ねって言うのか!」
「私だってスイーツ腹が空腹なの! これでお相子よ」
「スイーツ腹だと…!?」
衝撃の事実に、デビハンは小さな体をふるふると震わせた。
「スイーツ腹…そんなものが人間にはあるのか…!」
「そんなものございません」
きっぱりと否定するのは、アシドだった。いつの間に来たのか、その隣には息も絶え絶えのラートがいた。もはや虫の息に近いラート。彼は筋肉だけなく、体力ももやしっ子のようだ。そんな非力な少年の背を撫でるのは、ホウルの大きな手だった。
「お嬢様、嘘を教えてはいけません。異界に間違った知識が広まると困ります」
「嘘じゃないもん! 私にはスイーツ腹という別腹があるんだから!」
フンッ! と胸を張る私に、アシドは特大のため息を吐く。呆れを吐き切った後、アシドの小言スイッチが入ろうとしていた。眼鏡の奥の瞳に静かな怒りの炎が見え、何も言われてないのに私の身が縮こまっていく。
「まぁまぁ、そのへんにしておけよ」
アシドの小言を事前に制止するのは、頼もしい騎士団長であるホウル。アシドの肩に軽く手を置くと、私たち両方に目を向ける。
「お嬢ちゃんもお前も、自分が思ってるより疲れてるはずだ。今日のところは、お互い目をつぶっておけって」
な? と顔を覗き込んでくるホウルに、アシドは渋々ながらも頷いた。さすが一児の父親。宥めるのが上手だ。ホウルの的確な指摘に、場が丸く収まろうとしていたが…そこに余計な一言を落とすもの同じくホウルである。
「それに上位種の悪魔と対等に渡り合おうとするなんて、面白いじゃねぇか!」
豪快に笑うホウルに、アシドの額に青筋が立つ。
「面白がってんじゃねぇよ…」
ボソッと聞こえてきたのは、アシドが素に戻った時の口調。怒りを無理に抑えるアシドの血管がいつか切れてしまわないか、心配になってしまう。
「父上が、すみません」
「ケイク様のせいではございません」
ケイクの謝罪に、アシドの怒りの炎は無事鎮火された。ホウルは本当にいい息子を持ったと実感する。アシドの血管のためにも、私も少しだけ…ほんのちょっとだけ気を付けよう。
一人固く決心している私に、今まで黙っていたカソナードが声をかけてきた。
「ソルトはどうして殿下と二人で、ここにいるんだ?」
思いがけない質問。だが、当然の質問でもある。隠し立てする必要がないので、私は素直に正直に答えた。
「パルフェ様からお誘いを受けたんです」
「そうか。それで、二人はここで何をしていたんだ?」
カソナードの質問に答えようとした私は、はて? と首を傾げる。
「そういえば、なんでしたっけ…?」
「え…!?」
パルフェから驚愕の声が上がった。目を見開き、こちらを見てくるので重要な内容だったことは理解できる。けれど、シエルのお菓子を全部食べられたショックと、アシドに冷たい怒りを向けられた恐怖によって、記憶が上書きされてしまったようで、ふんわりとしか思い出せない。
話をしていたこと自体は覚えている。問題は内容だ。そこの部分が綺麗さっぱり抜け落ちてしまっていた。
パルフェから何か大切なことを言われたような…? あれ? なんだっけ?
腕を組み苦悩の表情で必死に記憶をかき分けている私に、パルフェの肩がガクリと落ちてしまう。
「あなた、また何をしたんですか」
ここで、体力が復活したラートが会話に参加してきた。復活早々、厭味ったらしい言い方をするラートにカチンとくる。
「またって何よ、人聞きの悪い。原因が私とは限らないでしょ」
「パルフェ様の様子を見れば、あなたが原因であるのは一目瞭然です」
「決めつけはよくないと思うわ!」
「決めつけではなく、状況分析をした結果です」
それに、とラートは眼鏡を上げた。
「ご自身の日頃の行いを顧みてください」
「私、普段そんなに酷いことしてる!?」
「酷いというより、無茶苦茶なんですよ」
はぁ…と息を吐くラートに反論したいが、あながち間違っていない気がするので何も言えない。それに、下手に言い返すと、アシドが加勢に入る可能性だってある…それは避けたい。
ここは、私も味方を得なければ!
そうと決まれば、と私が目に付けたのは、困ったような笑みでこちらを見守っているケイクだ。優しい彼なら取り込める…もとい、私を見捨てないはずだ!
私は椅子から立ち上がると、ケイクの元へと駆けた。
「ケイク君! ラート君ってば酷いと思わない!?」
「え!? えっと…」
「私ってそんなに滅茶苦茶なことしてないよね? ね!?」
私の訴えにケイクは気まずそうに目を逸らす。味方を失うわけにいかないので、ケイクの豆だらけの手を強く握りしめた。その瞬間、ケイクの顔がほんのりと赤らむ。
「ケイク君?」
「えっと…ソルトちゃんの何にも縛られない自由な姿は素敵だし、皆の心を救っていると思うよ」
「ケイク君…!」
照れながら告げられる言葉たちに、純粋な喜びが沸きあがってくる。
「よかった、ケイク君には嫌われていないみたいで…」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
安堵していると、ラートが焦ったような声を上げた。
「その言い方だと、僕があなたを嫌っているみたいじゃないですか!」
「…違うの?」
「違います!」
即座に否定するラートに、思わず驚いてしまう。キョトリとしている私に、ラートは我に返った。気まずそうにしながらも、ラートは口をしっかりと動かしていく。
「べ、別に、僕だって無茶苦茶だって言っただけで、嫌っているわけでは…寧ろ、あなたのような女性は目を惹かれるというか、なんというか…」
頬を紅潮させ、もごもごと何か言っているようだが、よく聞こえない。でも、嫌われていないことだけは分かる。
素直じゃないラートに笑っている私の腕に寄り添う華奢な身体。
「私だってソルト様のこと大好きですよ! それこそ、誰にも負けないくらい」
「シエルちゃん!」
愛らしい笑顔で想いを告げてくるシエル。その横にいるカソナードも柔らかな笑みを浮かべていた。
「僕も、ソルトのことが好きだよ。そして、とても大切な存在だ」
「お兄様…」
ポンッと頭に置かれた手の暖かさで、頬の筋肉が自然と緩んでいく。と、ここでアシドと目が合った。
人間というのは欲張りなもので…期待を込めた瞳をアシドへと向ける。察しのいいアシドは小さく息を吐くと、淡々と言葉を発した。
「…お嬢様の無鉄砲さは、呆れ果てることも多々ありますが、笑わせていただく機会も多くございます」
「え? 馬鹿にしてる?」
「ですが」
若干のショックを受けた私に、アシドは言葉を強めた。
「その天真爛漫さこそが、あなたの魅力です。その輝きを失わないようにするのが、私の役目。私が側に仕えている間は、どうぞそのままでお過ごし下さい」
自信が満ち溢れた強気の笑みは、執事の仮面を取り去ったもの。誰よりも心強い味方であるアシドからの言葉は、私の胸を色めき立たせていく。
嬉しさが全身から滲み出ている私の頭上に、デヒハンがちょこんと乗った。何も言わないが、短い尻尾が私の頬に優しく擦り寄せられ擽ったい。プライドの高そうな上位種の悪魔の戯れるような動作に、心がホワホワと温かくなっていく。
わいわいと和やかな空気を作り出す私たちを、パルフェは蚊帳の外からぼんやりと眺めていた。そんな彼に、ホウルは肩を竦めると大きく息を吸い込んだ。
「お嬢ちゃん、モテモテだなぁ~…こりゃ、将来が大変だ」
ホウルのわざとらしい大きな声に、ピクリとパルフェの眉が跳ねる。パルフェは一つ呼吸をすると、スッ…と立ち上がった。
「ソルトさん」
「は、はい!」
重みのある声で呼ばれ、背筋がピンッと伸びる。とても真面目な顔つきのパルフェに、何事かと直立不動になってしまう。
私の周辺からシエルたちが離れたのを確認すると、パルフェはゆったりと口を開いた。
「僕は誰にもあなたを取られたくありません。だから、父上にあなたを婚約者にしてほしいと頼みました」
なんの脈理もないパルフェの話に、私は混乱する。助けを求めるように周りを見渡すが、シエルやアシドたちは固唾を飲んで見守っているだけだ。
「王令であれば、公爵家であろうと拒否できない…あなたの隣を誰にも渡したくなくて、そんなズルい手を僕は使いました」
私の理解を置き去りにして、話はどんどん先へと進んでいく。私に唯一伝わってきているのは、パルフェの必死さだけだ。
「でも本当は、王令ではなくあなたに…ソルト・ドルチェットの意思で、僕を選んでほしいんです。この気持ちに嘘はありません」
片膝をつき、パルフェは私の手を取った。
「だから…今、この大切な場所で、僕の口から直接申し込みます」
力強い言葉とは裏腹に、パルフェはふわりと優しく暖かな微笑みを私に向ける。そして、ゆっくりと想いをのせた言葉を一つ一つ大切に紡いだ。
「僕の…パルフェ・テイストの婚約者となっていただけませんか?」
王子が悪役令嬢に求婚するという、異常事態に誰もが目を見開いた。
緊迫した沈黙が、この場を支配する。
全員の視線が集まる中、私はニコリと微笑み返した。
これまでのマナー講座で習ってきたもの全てを集約させ、公爵令嬢の名に恥じぬほどに優雅で完璧なカーテシーと穏やかな表情で、相応しい言葉を彼に告げる。
「丁重にお断り致します」
パルフェの深紅の瞳が、真ん丸に見開かれてしまった。
石膏のように固まってしまったパルフェの代わりに騒ぎ出したのは、やはりラートだ。
「あなた正気ですか!? 王族からの求婚を断るなんて前代未聞ですよ!?」
「では、私が第一人者ですね!」
「な!?」
即答する私に、ラートは言葉を失ったように口だけをパクパクさせている。その表情は、珍獣でも見ているかのようだ。
ガラリと変わった空気に、皆の言葉が飛び交っていく。
「さすが、ソルト様! 新しい道の第一歩を踏み出すなんて素敵です!」
「そういう問題なのかな…?」
キラキラと瞳を輝かせるシエルの隣で、ケイクが苦笑を浮かべた。
「王族との婚約はドルチェット家にとって有益だが、僕はソルトの意見を尊重する」
「恐れながら、私もそのご意見に賛成です」
「いや、お前らはお嬢ちゃんが嫁にいくのが嫌なだけだろ」
カソナードの冷静な意見に、これまた冷静なアシドが大きく賛同する。その様子を見ていたホウルは息子と同じく苦笑いを浮かべていた。
「しっかし、王令をズルとは…パルフェも言うようになったな。お嬢ちゃんの影響か?」
こちらを見てくるホウルから、全力で目を逸らす。否定できないのが、悲しいところだ。
「でもなぁ、王令は王令。いくら公爵家でも逆らえないだろ。別に告白する必要なかったんじゃないのか?」
確かに、ホウルの言う通りだ。ドルチェット家がいかに高位貴族で歴史が深いといっても、権力的に王族には敵わない。
この撃沈した告白を行ったパルフェの真意を、ホウルは一人脳内で探っている。暫しの沈黙の後、ホウルは答えに辿り着いたようだ。
「もしかして…陛下に進言したお嬢ちゃんとの婚約の件、取り下げるつもりなのか?」
「いえ。婚約者には引き続き、ソルトさんを推します」
速攻の否定。それに、私が慌てて待ったをかける。
「で、でも、王令で婚約するのはズルい手だって…」
「それとこれとは話が別です」
ニッコリと綺麗な笑顔を添えての連続の即答。頬を引き攣らせながらも、私は引き下がらなかった。
「さっき、私の意思で選んでほしいって言ったじゃないですか!」
「えぇ、もちろんです。あなたの意思で僕を選んでほしい、その言葉に噓偽りはありません」
「だったら…!」
「しかし、それは最終目標です。婚約は最終ではありませんので、嘘ではないでしょ?」
堂々と屁理屈をこねるパルフェではあるが、間違ったことは言っていないので何も反論ができない。
「それに…」
チラッとパルフェは、ケイクとラートたちに目を向けた。
「僕以外にも、ソルトさんの隣を狙っている者がいないとは言えません。油断は禁物です」
ね? と口元だけの笑みを、パルフェはケイクたちに向ける。第二王子の黒い圧を受けた二人は、私と同じく頬を引き攣らせていた。
「なので、婚約者の件は引き続き父上にお願いしております」
美しい笑みのまま恐ろしい宣言をする第二王子。
王族の権限をフル活用するパルフェに、私は身体をわなわなと震わせた。
「私はスイーツ道を極めるのに忙しいんです! 婚約なんかしてる暇はありません!」
魂の叫びをあげても、パルフェはただ穏やかに微笑んでいるだけだ。
「まぁまぁ、そう言わず…そうだ、もうすぐ美味しいお菓子が届くそうです。ご一緒にいかがですか?」
「え!? お菓子…!?」
スイーツに瞳を輝かせる私。切り替えの早い私に注がれる視線は、呆れもあるがそこには暖かさもある。
「まったく、単純な令嬢ですね」
「素直でいいんじゃないかな?」
「ソルト様! お菓子なら私が新作を作りますので、お任せください!」
「僕も手伝おう。菓子作りには興味がある。それに、ソルトが美味しく食べる姿を見たい」
わいわいと私を中心とした騒がしい輪を見守るのは、大人二人組。
視界の端で彼らの姿を捉えたので、私はなんとなく二人の会話に耳をそばだてた。
「あの空気で王族直々の申し込みを断るとは…驚いた」
「あぁ、さすがは―」
肝っ玉令嬢だ。
どちらかともなく聞こえた異名。不名誉なその名を撤回すべく、私は宣言する。
「いつか肝っ玉令嬢からスイーツ令嬢へと、イメージチェンジしてみせますからね!」
気合を入れた私の硬い決意に、皆が顔を見合わせた。しばらくの沈黙の後、クスクスと笑い声が零れ落ちていく。
「な、なんで笑うんですか!」
「フフッ、すみません。スイーツ令嬢…素敵な名前ですね」
ひとしきり笑ったパルフェは、余韻が残ったまま私に手を差し出す。
「行きましょう、ソルトさん。皆でお菓子を食べて、スイーツ令嬢に一歩近づきましょう」
「えぇ!」
甘くて幸せなスイーツライフを求めて、私はパルフェの手を取る。
前途多難かもしれない理想の未来への第一歩を、私は大切な人たちと笑顔で踏み出していくのであった。
これにて、この連載は完結です。
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