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なにこれBL展開?

サラリーマンです。異世界に転生しました。そしたら黒猫♂に飼われることになりました。で、いきなり脱がされて風呂に連れ込まれたんですが…なにこれBL展開?

目が覚めたら知らない天井だった。顔を上に向けたまま、目だけ動かしてあたりの様子をうかがう。窓、カーテン…俺の家じゃない。誰の家だ?誰かの家で飲み会でもやって、酔っぱらって変な夢を見てたのか?


体を起こすと俺はソファに寝ていたことがわかった。二日酔いまではいかないけど、飲み過ぎたときみたいに頭が重い。うー、なんかしゃっきりしねぇなぁ…。眠気覚ましにごしごしと顔をこする。


『お、起きたぞ。』


声がした方を見ると白猫人と黒猫人がいた。ラグの上にクッションを置いてその上に座っている。夢じゃなかったのかよ…がっかりだぜ!白黒ということは、たぶん檻の前に立ち止まった2人だろう。とするとこの状況から判断するに、俺はこの2匹にひきとられたのか?


『暴れるかな?』

『どうかな…』


黒猫と白猫は何か話をしたが、そのまま動かない。俺もどう出ていいのかわからず、しばらくお互いに見つめ合う。よく似た二人だ。兄弟なのか、それとも俺が猫人の見分けがまだつかないだけか。


うーん、こういうときはどうリアクションするのが正解なんだろう。とりあえず横になっているのも何なんで、一度ソファから降りて座りなおす。白猫も黒猫もじっとこちらを見ているだけで動かない。これを人間と猫に置き換えると…ややこしいな、えーっと俺が保健所から引きとってきた猫だとすると…知らないところは怖いよな。パニックになるかもしれない。とすると俺が怖がらないよう、動かないで見守っているってとこか。


じゃあ俺からアクション起こさないといけないな。これからお世話になるんなら…日本人的にはこうだ。座ったまま両手を膝の上にのせ、ぺこりと頭を下げる。それを見て白猫が目を丸くした。


『なんだこいつ…』

『引き取られたってわかってるみたいだね。やっぱり飼いヒトか。じゃあどこに何があるか教えればいいか。』

『あーあ、つまんねーの。やっぱだから子供にしておけば良かったんだよ可愛いかったじゃん。』

『そうかもね』


笑いながら黒猫が立ち上がり、ソファの前に来て膝をついた。見上げてくる顔は穏やかで優しそうな感じだ。目は黄色だと思ったがもうちょっと濃いかもしれない。蜂蜜のような透明で明るい色だ。俺の手の上に自分の手をのせ、軽く掴んで引き寄せる。これは立てってことかな。


立ち上がると黒猫は俺を連れて家の中を案内してくれた。俺が寝ていたのはリビングらしい。まずはキッチンらしい場所に連れて行かれた。シンクに蛇口、あと引き出しみたいな物がシンクの下にいくつもついている。しかしキッチンにしてはすっきりしている、を通り越して何もなさすぎる。冷蔵庫らしいものもコンロも電子レンジもない。そういう物がないのか、ビルトインで全部中に組み込まれているんだろうか。


黒猫が蛇口のレバーを押すと水が出た。ここが水飲み場ってことだな。わかったとうなずいてみせる。キッチンから手を引かれて廊下に出る。なぜか後ろから白猫も一緒についてきた。廊下や見えたドアの感じからして一軒家じゃなくて2LDKか3LDKのマンションみたいな感じだ。白猫と黒猫は兄弟か友達で一緒に住んでいる?そうでもおかしくない。


次に行ったのはトイレだった。ドアを開けると洋式便器があった。黒猫は蓋を開けて壁にあるボタンを指さし、それを押した。しゅわしゅわっと泡が流れ出して水と一緒に吸い込まれていく。なんで泡?洗浄剤かな。だとしたら掃除いらずの便利トイレだ。さっきのキッチンといい、日常生活の文明レベルは日本と同じかこっちの方が進んでるかもしれない。


黒猫にわかったとうなずいてみせると、また手を引いて連れていかれた。ドアを開けると洗面台と洗濯機らしいものがある。その奥にも半透明なドアがあり、黒猫はそれを押し開けた。ああ、風呂場か。風呂というか、シャワーだけで湯船がないからシャワールームだな。入浴する習慣がないのか?風呂好き日本人としてはちょっと残念。ただなぜかシャワールームに風呂椅子があるのが気になった。あってもかまわないけど…と考えている間に黒猫は服を脱ぎだした。脱いだ服を次々とシャワールームの前の洗濯機?に放り込む。


風呂に入るのか?唐突だな…一日に何度もシャワーを浴びる習慣でもあるのか?まあいいけど。男同士だからってじろじろ見るのも失礼だ。と背を向けようとすると肩を掴まれた。振り返ると全裸になった黒猫が俺のシャツのボタンに手をかける。え?なにこれBL展開?


さすがに服を脱がされることには抵抗しようとしたが、後ろからがっと羽交い締めにされた。白猫!お前…このためについてきたのか!お前らぐるか!ぎやーっ!!


『あー、やっぱり風呂は嫌か。』

『ヒトだしね。でもヒトも毎日洗った方が健康にいいらしいし。』


何か二人で話しながら黒猫は俺のシャツのボタンを外していく。なにこれやだやだもしかして3P?いやそれはいくら何でも初めてでないっしょ!勘弁してくださいぃっ!


そういう俺の抵抗は一切無駄だった。どれだけ暴れてもびくともしない。後ろから羽交い締めにされて、ぴったりと密着しているせいで体の感じがわかる。体温が高い。あと硬い。筋肉質とはまた違う…なんというか筋肉の密度が高くてみっちり詰まってる感じがする。昨日のおねえさんもそうだったが、猫人は体格的には少し人間より大きいくらいだが筋力が全然違う。大人と子供、いやもっと差がある。


無駄とわかって諦めて大人しく脱がされることにした。ズボンもパンツも靴下も脱がされて俺もすっぽんぽんになり、黒猫にシャワールームに連れ込まれる。さよなら俺のバックバージン。なんだよこの異世界転生クソすぎるだろ…。

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