第3回 希望を運ぶ風
町を彷徨う中、喜一と千夏が出会う。
しかしお互い何もわからない。
「あ、あの、この町の人・・・ではないんですか?」
千夏が喜一に伺う。
「あ、それはですね。ちょっとした都合でこの町に来てしまいまして・・・。」
「そ、そうなんですか・・・。この町は、何ていうんですか?」
「いやぁ自分も何もわからないんです。いえ、何分全く情報も無いまま来てしまったと言いますか。」
上手く説明できない。
「はぁ・・・。そうですか。」
残念そうに下を向く千夏。
もしかしたら何か手がかりがあるかもしれないと思ったからだ。
「実は、信じてもらえないかもしれないけど・・・。気がついたら私、林の中を歩いていて。そしたら急に光が現れて、吸い込まれるように大きくなって、そしたらこの町に・・・。」
「ひ、光ですと?」
驚く喜一。
千夏はやはり言わなければ良かったと後悔する。
「お、俺もその光に吸い込まれて、この町に来ちまったんだ!」
「あ、あなたも!?」
「朝、林を歩いていたと言うのも一緒だ!あんたはどっから来た?」
「私は東京の・・・。」
「お、俺は名古屋だん。」
「全然違う場所の人間が・・・突然同じ所に・・・?やっぱりこれは夢なの?」
「ゆ、夢じゃない。確かにこれは現実だ。信じがたいけど・・・。」
一方、秀達3人組がある建物にたどり着く。
「ここか。博士が言っていた研究所は。」
「この中にいる老人をかっさらうわけですか。気が進みませんね。」
考がため息まじりに言う。
「今更何言いやがる。そうしないと俺たちゃ帰れないんだよう。」
「とにかく入ってみようよ。」
愛華が促す。
「ようし。お、鍵は開いてるみたいだな。」
3人は中に入る。
建物の奥に老人がいる。
「何じゃお前らわ。さては赤木の回し者か。」
凄い剣幕で3人を睨む老人
「さ、察しが良いなじいさん。そうだ。赤木博士がアンタを連れて来いっつぅんだよ。」
ひるみながらも秀は突っ張る。
「なぜワシがあんな奴の所に足を運ばねばならんのだ!来るなら自分から来い!」
「うるせぇ!アンタを連れて行かないと俺達も困るんだよ!力づくでも・・・」
「黙れ!小童が!」
老人は拳銃を天井に向けて発砲する。
「ぎゃあああ!」
叫ぶ3人
「出て行け!帰って赤木に伝えろ!わしはお前より先に完成させてしまったとな!」
「失礼しましたぁ!」
逃げ帰る3人。
白い建物からその様子を双眼鏡で見る赤木博士
「ふん。こうなるとは思った。それよりさっきの若者。彼もここへ迷い込んで来た者か。」
途方に暮れる喜一と千夏
「どうしようこれから。何でこうなっちゃったのかしら。」
「俺達は同じ境遇だ。こうやって出会えたのも何かの縁かもしれない。助け合っていこうじゃないか。」
「あなた、名前は?私は、千夏。」
「俺は喜一。意外と何とかなるさ。」
歌「希望の朝」
喜一「不安があっても必ず昇る太陽
怖くたっていつでも来る朝
何かがいつもと違っても
朝は必ずやってくる
わずかな希望を運ぶ風
信じるだけでも良いじゃない
そこで出会った仲間と共に
希望の朝を迎えよう。」
つづく