第1回 赤い町
秋の早朝
さわやかである
鳥の鳴く林の中を進む若者。
彼の名は喜一。
何かに導かれる様に歩く。
「俺は一体どこに向かっているんだろう。いやこれは夢か。夢なら気持ちが良い。」
目の前が強い光が突然現れる。
その光は喜一を吸い込む様に光る。
「眩しい。これは夢に違い無いッッ」
ある静かな町に黒い穴が渦の様に現れる。
そこから飛び出す喜一。
「どこだここはッ見た事も無い場所に来てしまった。」
町も同じく朝。
一見普通の町ではある。
赤いレンガに通り道。
向こうに白い建物が見える。
「一体どこへ来てしまったんだろう。とにかく、何か手がかりを」
喜一はとりあえず歩く。
建物から男がその様子を覗く。
「気持ちが良い朝だ。こんな日は新たな友と出会えるかもしれない。」
コーヒーを飲みながら喜一を眺める。
「迷い人かな。還る場所がなければここへ来るが良い。」
少し離れた場所で同じ様に穴が開く
そこから飛び出す女
「こ、ここはどこ?何なの?」
女の名は千夏。
「だ、誰かいないの?」
千夏は不安げに歩き出す。
「さっきの光、何なの?夢じゃない。夢じゃないわ!」
何気なく建物を目指す喜一
「・・・あそこに行っても何も無さそうだけんど。どうしよっかな。」
「待ちな。」
突然声がする。
しかし自分の事とは思わず歩き続ける喜一。
「そこのてめえとまりやがれ。」
「うるせぇな。なんだコノヤロウ。」
現れたのは3人組の男女。
真ん中に男。
その周りに男女一人ずつ。
対立する一同。
喜一と3人組の真ん中が睨み合う。
つづく