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俺たちは殆どアジトの外へ出ない。彼女たちは目立つうえ市民に顔が割れているし騒ぎになると面倒だというのが俺と出資者の出した結論だった。俺たちは青春を謳歌する高校生な歳だがこんな稼業をする以上勉強している余裕なんて無いのだ。俺は別に出ても構わないだろうが彼女たちが外出出来ない中俺だけ出れるのは不公平だだからある用を除き外出しない。このアジトは放置されたボロい館に見えるように地上部分を偽装している。ボロい館は勿論氷山の一角だ。アジトの機能と居住区はすべて地下にある。アジトは彼女達が出撃・帰還の際に出入りするエントランスデッキと俺が今いるラボ、さっきまでいたオペレータールーム、あらゆる想定で訓練出来るよう体育館ほどの広さがあるトレーニングルームと大浴場、トイレ、キッチン、リビング、寝室といった居住区で構成されている。

彼女達が帰還して二時間、時計は夕方六時を指していた。今頃当番の紫、佐奈と白、雪菜が夕食を用意してくれているだろう。雪菜はともかく佐奈の料理の腕は信用出来る。俺は夕飯まで当番以外の三人のトレーニングを見に行くことにした。赤、志織と黄、夏穂は二人で模擬戦をしていた。その様子を眺めていた青、菊乃が俺が入ってきたことに気付くと近付いて話かけてきた。

「九条さん、私のお相手をしてくださる」

「問題ないが飯が近いから一戦だけだぞ」

「ありがとうございます」

そう言うと訓練用の銃を構える。勿論飛んでくるのは怪我をしない模擬弾だ。当たると痛くないわけではないが。対する俺は紫、佐奈が置いていったであろう訓練用の槍を手に取る。互いに一礼すると試合開始だ。俺は彼女から見て横にジグザグになるように機動し距離を詰める。彼女は両手で銃を構えると正確に俺の急所を狙って射撃してきた。彼女の飛ばしてきた弾を手に取った槍で薙ぎ払うと一気に距離を詰め槍の間合いに入る。俺は全力で突きを繰り出すがひらりと躱されてしまう。そしてバックステップをしながら突きの隙を突いて俺に射撃してくるが俺は右にローリングし弾を躱す。彼女はリロードしながら一気に距離を詰めてきた。槍の間合いの内側、槍が最も不得意とする間合いだ。間合いに対してこの近距離では槍は大振りになってしまうから不利になる。対する彼女は取り回しの良い拳銃と空いた手足で格闘戦を仕掛けてくる。俺も仕方なしに槍を手放すと射線に気を配りながら彼女の蹴りを防御すると一気に踏み込み胴に突きを繰り出す。が、彼女がこちらへ銃を構えたのでモーションを止め屈む。すると俺の頭のすぐ上を模擬弾が飛んで行ったのが分かった。さらに屈んだことで不利な体勢になった俺に蹴りを仕掛けてくる。格闘戦は白、雪菜の領分だが菊乃は銃を失った時や距離を詰められた時のために格闘戦の訓練も積んでいる。白、雪菜の動きは速過ぎて見えないが青、菊乃の格闘戦は彼女ほど速くない。だが銃を手に取ったまま格闘戦をするため銃にも警戒が必要なうえ白、雪菜の苦手なフェイントといった駆け引きが彼女は得意だ。侮れないものだな。俺は蹴りを防御しきれず蹴飛ばされながらそんなことを考えていたのであった。


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