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この街には怪獣が出る。
怪獣とは不思議なもので科学的に解明出来ない程絶大なパワーをその肉体に宿しながら野生のままにその牙を我々人間に向けてくる。大きさは0.5m~10mとまばらだが小さくても侮れないその力の前に一般人は歯が立たない。一般人だけではない、警察も、自衛隊もだ。怪獣に拳銃を撃ってもミサイルを当てても大きなダメージにはならない。人類は泣き寝入りするしかないのか答えは否だ。我々にはヒーローがいる。今日も閑静な住宅地に現れた怪獣の前に5人の少女が立ちはだかっていた。
俺は5人の少女が怪獣と相対したのをモニターで確認すると通信機のマイクをONにする。
「半径50m圏内の住民の避難は終わってる。100m圏内はまだだ。だからあまり移動させるな。」
通信機のランプが紫に光ると了解と返答の声が聞こえた。俺はモニターの隣にあるデータベースからこの怪獣の情報を探す。特徴は5mほどのカマキリ型の怪獣、検索するとすぐにヒットがあった。二年前北部の工場地帯に出現しており斬撃を飛ばす鎌と口から出す溶解液に警戒との情報がある。再びマイクのスイッチを入れるとその情報を伝える。
「いいか、斬撃を飛ばされて被害が拡大する前に赤、黄、紫はあの鎌を切り落とせ。青は遊撃、白は拘束魔法を用意しろ」
「「了解」」
5つのランプが一斉に灯る。あとは問題が起きたら指示を出したり支援するだけだ。モニターを眺める仕事が始まる。彼女たちは指示通り動いてくれている。青、フリフリドレスを着た銃使いの菊乃は怪獣の周囲を高速で機動しながら怪獣の気を引いてくれている。その隙をついて赤、肩を大胆に出した和装の刀使いである志織が下から鎌を切り飛ばす。黄、双剣使いで花の飾りがあしらわれたワンピースを着ている夏穂は鎌と斬り合いながら関節へダメージを蓄積していく。そこを紫、西洋騎士のような服装に身を包んだ槍使い佐奈が自慢の神速の突きで鎌の関節を完全に破壊した。通信機の白いランプが点灯する。白、へそ出しセーラーを着てガントレットでの格闘戦が専門の雪菜から魔法の準備が整ったと通信が入る。
「拘束魔法を使う、全員下がれ。」
合図を出すと純白の氷が怪獣の足元を凍り付かせた。氷はどんどん伸びていき関節に届きそうなところで停止する。拘束が完了したのを確認すると
「赤、首を落とせ」
その指示を待ってたかのように志織は高く飛び上がると
「裁きを下すは聖なる刃!聖煌飛閃刃!」
と叫び光の魔力を纏った刀を振り下ろす。すると光の刃が怪獣の首一直線に飛んでいき怪獣の首を刎ねたのだった。
俺は九条。苗字ではなく下の名前が九条だ。俺の仕事は彼女たちのバックアップ兼メカニック兼いや長くなりそうだからいいや。とにかくヒーローの後方支援をする。そして彼女たちの家、アジトを守る。それが俺の仕事だ。
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