第一話 アイテム生成には成功と失敗、時間がかかるんだ。
あれから、しばらく時間が経っていた。
アイテム生成をする工場ではうまく作れず、材料とのにらめっこが続いていた。
なにやら、ミレアはまゆ毛をつりあげ、材料をこねていた。
「あー、また、失敗しちゃった~」
どうやら、失敗したようだ。
ミレアはため息をついた。
だが、そう簡単に折れる子ではなかったのだ。芯が強い子だったのだ。
すぐに元気で明るい顔色にもどった。
「ええぃ、今度こそ!」
BON!
鍋がこげ、軽く爆発を起こした。
ミレアの顔が真っ黒こげになった。
プニロンがあきれ果てていた。
「また、失敗プニか。もう、十回、失敗したプニ。ミレア徹夜プニな」
「ええぃ、うるさい! あんた、口引っ張らないとわからないみたいね」
なにかを真剣に作っているときは、機嫌が悪いのか、まゆ毛をつりあげて、プニロンの口をひっぱった。
「痛いプニ~」
「あんたが、アホなこといってちょっかい出してくるから、レシピの順番間違えてるのよ」
「そんなのあてつけプニぃ~」
プニロンは再三、ムニュムニュと口を大きく引っ張られた。
たしかに、ミレアが失敗を重ねるまでに、プニロンがちょっかいをたくさんしていたのは事実だったのだ。
何回か、ジト目でプニロンの口を引っ張ると、ミレアは、時計をみてプニロンを放した。
そう、刻一刻と、納期の時間が迫ってきていたからだ。
時間内に納品物ができるかどうかという、リスクがあったのだ。
そして、真剣な顔になってダングラス先生のレシピ本をミレアは読んでいく。
「えっと、200℃まで沸かし、薬草を微塵切りにして、パナケアクリームと蛙の脂、海老の甲骨、そして、薬豆を入れると」
次々と材料物を大きな鍋にいれていく。
時計の針は十二時を超していた。
ミレアはこっくり、こっくり、眠たそうな顔で首を落としていた。
半分、寝ながら鍋の材料をまぜていた。目がつぶれている。
ミレアが時計の針を嫌そうにみた。
「あぁ、もう、朝の三時だ。眠たいなぁ」
「寝てしまうと、ミレア納期遅れで、ムチ打ちの酷刑が待ってるプニよ」
「ええん、そんなのやだぁ~先生、たすけてぇ~。だから、国の仕事なんて嫌だったのにぃ~」
もう、ミレアは爆発していた。自分の髪をくしゃくしゃかきまくっていた。
半べそがしばらく続いた。
ご主人様の窮地に助け舟も出さず、それを横み、えへんとえらそうな顔つきのしもべがいた。プニロンは語りだした。
「国の仕事は納期遅れると、刑があるプニね」
「でも、あたし、頑張るの。店の信用と借金返済のためにも」
「気合はミレアいいプニが、また加熱し過ぎじゃないプニか? レシピ本には、150℃って書いてあるプニよ」
ちょんちょんと、プニロンはプニプニした腕をからだから出し、レシピ本をつっついた。
ミレアの顔が、がくりと、青ざめた。
また、思わぬところで失敗してしまったのだ。
「あぁ、また間違えたぁわぁ~。200℃になってるわぁぅ~」
「ほんとに、馬鹿プニな。こりゃ、ほんとに寝れないプニね」
「うぅ、また失敗ぁい。でもでもでも、よし、気合はめて頑張るの。ミレアはやれば出来る子なの」
ミレアは半べそで、ガッツポーズをとった。
やれば、できる子なのだ。おそらく……。
失敗は成功のもとともいうし。
いかなる天才でも失敗を重ねて成功をしたのは事実である。
プニロンがまたえへんとえらそうな顔で笑いながらいった。
「自分でほめるおバカプニ」
「もう、うるさい! あんたあたしのしもべでしょ、助ける方法でも考えなさいよ」
「あいにく、我がサンダースライム族には錬金術はないプニ」
「考えないと引っぱたくわよ」
「ひぃ、堪忍プニ」
ミレアはまぜ棒を振り上げながらいった。顔が鬼の形相になっていた。
かなり、剣幕がこわかった。
プニロンはそれをみて、やわらかいからだを、キュるると縮めて小さくなってしまった。
果たして、この調子で、納品物は無事に完成するのだろうか。
時間内にできなければ、刑が待っている。
それをミレアは時計を見るたびに思っていた。
ぞぞっと、身震いがしていたのだ。
だが、心強い秘伝本があった。頼りはこの本のみだったのだ。
ミレアは、泣きべそをかいていたが頑張る子だった。やればできる子なのだ。
☆☆
おつかれさまです。
みてくださった読者様には感謝の気持ちでいっぱいです。忙しいのにありがとうございます。
また明日、アップします。
読者様も有意義な時間をお過ごしくださいね。
どうなっていくのでしょう、かなりのおっちょこちょいの子みたいですね(笑)
師匠の先生はとんずら、どうなるのでしょう。
またお会いしましょう。