第十四話 熱くなる注射にはご用心じゃない!?
目でぎりぎり確認できるかというところまで、距離は離れていた。
そのときだった。
反対方向を歩いていたプニロンが急に止まってミレアにいった。
「ミレア、オレッちに考えがあるプニ」
「なに?」
「今日、舞踏会があるって聞こえたプニ。ちょっとぎゃふんと言わせてやるプニよ」
なにやら、ミレアとプニロンはセイズに聞こえないくらい小さな声で相談ごとをしていた。おそらく、よ
からぬ計画だろう。
「ぷ、プニロン、なにするの?」
「みてるプニ。サンダースライム族は敵から逃げるために、頭の角からこんな風に遠距離攻撃ができる注射器型のバズーカを出して撃つことができるプニよ。みてるプニ、一泡ふかせてやるプニよ」
プニロンの頭のてっぺんから、注射器のような突起物がでたではないか。まるで銃だ。
ミレアが困った顔をしていた。
「何するかわからないけど、人を困らすようなことはしちゃだめ」
「ミレア、あれだけ、バカにされて黙ってることないプニ! ミレアがやったことじゃないプニ、これはオ
レッちの意向プニ。オレッち、ミレアがあれだけ言われて黙ってられないプニ」
再三、ミレアは困った顔をして、口をつぐんでいた。
「やらせてプニ! 見えなくなったらもうできないプニ」
プニロンの剣幕は必死だった。
よっぽど、ミレアをバカにされたのに腹が立っていたのだろう。
「もう、知らない。ばれたらほんとに火で焼かれるよ」
「その時は、こっちも電撃で反撃するプニ。よし、ねらいは定まったプニ。もう少し遠く歩いたところで、腹下し成分の液体をセイズのお尻に撃ち込むプニ」
注射器型のバズーカがセイズの方に向いた。
ここから、腹下しの弾みたいなのを撃つわけだ。
「なーるほどね、要するに舞踏会で、下痢で恥をかかせるってことね」
「そうプニ」
「でも、でも、でも、可哀想よ」
あれだけいわれても、ミレアは人想いで優しいのか、否定していた。
「いいプニ、ミレアは優し過ぎるプニ。貴族だからって、いい気になってるプニよ。庶民の気持ちなんて、
全然わかってないプニ。ミレアを召使いって言ったのは許せないプニ。悪口ばっか言ってたお礼プニ」
ミレアはとめていたが、プニロンはいうことをきかなかった。
従順なしもべというのも困ったものだ。
そして、ねらいは定まった。確実にロックオンだ。
「それプニ、いけ、プニロンバズーカ『ゲーリ砲!』」
プニロンの突起物から、丸い固体が発射された。これが腹下し成分の入った弾なのか。
それは、見事にセイズのおしりにあたり、なにもなかったように消えた。
そのとき、悲劇は起こった。
「は、はぅ、何かしら、お尻がたわわとなってきたわ」
セイズは急にたわわとなり、お尻を赤面でおさえた。人間これにはかなわない。
プニロンが遠くで嬉しそうにぴょこんとはねた。
「やったプニ。成功プニ。当たったプニよ」
「撃って当たったら、魔法みたいに弾、消えるんだね」
「証拠は残らないというわけプニ」
プニロンは胸をはり、偉そうだった。ミレアがほぉ~と感心していた。
「なんだか、あんた悪いことして、えらそうね」
「いいプニ、責任はオレッちが取るプニ」
「じゃ、悪いことしたから、今晩飯抜きね」
ミレアはだめっと、怒った顔で指をたてながらいった。
「えーそれはないプニよ。ミレアのためにやったのにぃ」
「悪いことは、悪いの。いい、そんな仕返しばっかりやってたら、あのワルイザーと変わらないプニよ」
「ミレア、そういいながら、顔が笑ってるプニよ」
たしかに、すこしだけ、おもしろいのか、ミレアの顔は笑っていた。
プニロンがジト目でみやった。
「ご主人、いかがいたした、かがみこんで?」
「エクソーニコン、ちょっとそこの喫茶店行きましょ。何だかお腹がだるいわ」
「了解ゾヨ」
いうと、すぐにセイズは喫茶店ダースに入っていった。
どうやら、ばれなかったようだ。しもべも気がつかなかったみたいだ。
ミレアたちは、しばらくの間遠くから、喫茶店をみていた。
「ダース喫茶店入ってったね」
「やったプニ。ざまーみろプニ。効いてきたプニよ。効力はちなみに丸一日続くプニよ」
プニロンはぴょこんとはねた。
「うふふ、プニロンたら、で、でもでも、何だかおかしいけど、可哀想だよ」
ミレアは必死に笑いをこらえていた。
「少しは、庶民の気持ち味わうといいプニよ」
「もう、困った部下ちゃんだわ」
「困ったじゃないプニ、ミレアのためにやったプニ」
「それを困ったっていうの。下痢の薬作れなんて、うちにセイズがきたらどうするのよ。また、あの声聴か
ないといけないじゃない」
「う、考えてみればそうプニね」
「って、そうなの」
「さて、一難去ったし、あたしたちも、目的のポッキーリ花屋にいきましょ」
そうこうして、ミレアたちは花屋に向かった。
☆☆
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