第十三話 憎たらしいライバルなんてお下げ願いよ!!
ミレアたちは自分の店を出てから、しばらく街道を歩いていた。
プニロンがぴょこんぴょこんと普通より激しく飛び跳ねすごく嬉しそうだ。
「ミレアと買い物、久しぶりプニ~」
「そうね。ポッキーリ花屋は、確かそこのプリッツ広場を抜けて、曲がった通りよね」
ミレアがいったそのときだった。
「おーほッほほ!」
甲高く、気品がある声が曲がり道から聞こえた。
「う、(どこかで聞いたことがある声)その声はもしかして?」
曲がり角から、露出度の高い服をきた美人がでてきた。
肩にはコウモリのようなモンスターの下僕を従えている。
「あら、こんなところで逢うなんて奇遇ね、桃髪女!」
麗人は手で口を隠し、上品そうにいった。どうやら、格好からすると貴族らしいが。
「う、うう、やっぱり、セイズ・ヴォルヴァ!」
ミレアはムムムと、顔色がかわった。ミレアでも気に入らない人らしいのだが。
「ミレア、誰プニか?」
「あたしの通ってた魔法錬金術アカデミーの同級生よ」
ミレアは気に入らないのか、誰にでも優しいのに、珍しく嫌な顔をした。
セイズは、手で顔を軽くあおり、ニヤリと笑って口火を切った。
「あら、わらわの名前をフルネームでちゃんと覚えてくれていたのですわね。抜け作女、光栄だわ」
「抜け作って、なによー。ミレアはやれば出来る子だもん! 胸、あたしより小さいくせに。この尻デカ
女!」
あの優しいミレアがカチンときたのか、怒っていいかえした。
「おほほ、召使い女、負け惜しみもいいことですわ。美の称賛として頂いておくわ。魔法錬金術アカデミー
では、いつも、成績優秀のこのセイズと違って、あなたは落ちこぼれだったじゃない」
セイズの言葉に、ミレアはムムムとまゆ毛を曲げ、ほおを膨らませた。
「ミレア、そうプニか?」
気になったプニロンがきいてきた。
ミレアはプニロンの言葉も聞かず、セイズの方を向いて、タンカをきった。
「そんなことないもん。落ちこぼれじゃないもん。ちゃんと勉強して卒業したもん」
「『?』あらまぁ、隣に可愛いプニプニのゼリーみたいな生き物がいるじゃない? わらわが察するに、ス
ライム族かしら?」
「む、ほぼ、正解だけど、プニロンっていって、サンダースライム族が正解よ。で、あたしのしもべなの」
ミレアは相変わらず、怒った顔でいう。
「あらそう。しもべね、胸デカ女も部下が出来たのですわね」
セイズは人を見下したような目線でいった。
貴族は確かに高慢だ。
「あたし、綺麗だもん。あんたより、かわいいんだもん」
「わらわの方が、お尻が大きくて、胸が少し小さくて、上品な、至高のレディですことよ」
「べーだ、何よ、負け惜しみいって。あたしの方がかわいいの」
ふたりは顔を近づけて、しばらくの間にらみ合いが続いた。火花が散っている。
そして、セイズは身体を近づけている状態から背けた。
「召使い女はこれだから、困りますわ。恋人なんて召使いではできなくてよ、おほほ」
一番いたいところをセイズはつく。これにはミレアも黙っていられなかった。
「む、パローラレジーム制度なんて何よ、恋愛には身分なんて関係ないもん。貴族だからって偉そうに」
そのときだった。
「ミレアの悪口はいわないで欲しいプニ!」
プニロンだ。プニロンがあまりの卑下した言葉に怒って前に出た。
「あらま、従順なしもべでよかったわね。わらわにも、しもべがいるのを知ってらして?」
セイズがいうと、宙に浮いていたコウモリがくるくる上空を舞った。
「いらっしゃい、エクソーニコン。由緒正しき、蝙蝠竜一族ですことよ、おほほ、部下までわらわとレベル
が違うことだわ」
飛んでいたコウモリはコウモリ竜らしい。
そして、セイズの手にエクソーニコンはとまった。
「あはは、何その名前、エクソシストだって? コンってとうもろこしでも食べに行くのかな?」
「きっと、とうもろこし、好きプニよ」
プニロンとミレアは大笑いをした。これにはセイズも黙ってなかった。
「おだまり! わらわのユニークな名前のセンスがわからぬか!」
セイズは旋毛を曲げて怒りながらいった。
しかし、コウモリ竜の剣幕が次第と変わってきていた。
「不逞な奴ラメ、我が主を侮辱するのなら、黙っていないぞよ」
エクソーニコンの声は野太い声だった。しもべといえど、モンスターには違いなかった。
ほんとに、襲ってきそうな感じだったのだ。
ミレアはあららと、冗談じゃないというジェスチャーをとった。
「不逞って、ただの同級生よ。敵も何もないじゃない。腐れ縁なだけよ」
「そう、召使い女」
「むむむ、召使いってなによ。そっちが侮辱してばっかりじゃない」
ミレアは頭を出して怒り、言い返した。さすがのミレアも我慢の限界だったようだ。
「ミレア、相手にすることないプニよ。胸も勝ってるし、負け惜しみプニよ」
「おだまり、そこのゼリー、炎魔法で火炙りにしてあげるわよ」
そういうと、セイズは、指先に軽く炎を出した。
それをみると、プニロンはぴょこんとはねて、ミレアの後ろに隠れた。
「ひぃ、ミレアなんとかしてプニ」
ミレアはプニロンをかばうように、自分の足で隠した。
セイズたちが、うすら笑いをしている。
「ふん、もういいよ。相手にしたくないから、いこ、プニロン」
「そうプニね」
ミレアとプニロンはセイズたちを無視して、花屋のほうに向かって歩き出した。
「おほほ、逃げるのかしら。まぁ、何回落第したことやら。わらわは知っているのですのよ。わらわなん
か、テストはほぼ満点で落第なんて一回もしたことありませんのよ、おほほーほ」
セイズの高笑いがあたりにひびいた。
ミレアはムッとなっていたが、どうにか避けようと我慢していた。
そのときだった。ミレアのポケットに入っていた金貨が一枚、地面に落ちたではないか。
「(嫌味なやつに逢っちゃった。どうしよう、どうかわそう)あ、いけない、お金を落としちゃった」
「まぁ、お札が落ちたと思えば、おほほ、コインじゃない。第三身分はこれだから、嫌ですわ。小銭女です
のね。わらわみたいに貴族はコインなんて、持ってもないですのよ」
セイズは小ばかにしたような顔で、ミレアにいい、手で顔をあおいだ。
ミレアは黙っていた。言い返してもまた、うっとうしくいわれるからだ。
しかし、小銭女とはいいすぎだ。いかに、身分が高くても、高慢だ。
「もう、うるさいな。ミレア、怒るよ。いいじゃない、別に。あたしの勝手でしょ。花を買いにきていたの
よ。あんたには用はないわ。じゃーね」
ミレアはそういうと、無視して、スタスタと歩き出した。
「まぁ、お花。顔のお鼻を買いに行く方がよくなくて? おほほほ」
セイズとエクソーニコンの高笑いがひびいた。
これには遠くからでもきこえていたミレアも黙っていられなかった。
ムムムと手をにぎりしめて、怒りを抑えていた。
だが、そうこうして、ミレアはまたセイズの方をむいた。
「べーだ、尻でか女。この露出狂女。あんたそんなかっこして恥ずかしいと思わないの、身体の九割肌丸出しじゃない」
「あらま、嫉妬かしら。美しいプロポーションの人しか、こういうセクシーな格好はできなくてよ。美とい
う言葉はわらわのためにあるのですのよ、おほほ」
「ふん、なによ、レディはそんなはしたない格好はしないのよ。こう見えても、あたし、錬金術店経営してるんだから。代表なのよ、すごいでしょ」
「おほほ、もしかして、最近出来た『ファウストプリンセス』とかいうお店かしら。あなたの錬金術でつぶれないのを祈るわ」
セイズとミレアの応戦がしばらく続いた。女の子同士というのも、つらいものがある。
セイズは相変わらずさげすんだ目で見下ろしていた。
ミレアは最後のせんべつをセイズに送った。
「べーだ、いこプニロン」
「そうプニね」
めずらしく、舌を出して、ミレアはあかんべをした。
よっぽど、ミレアでも気に入らないらしい。プニロンがぴょこんと跳ねて後ろを向いた。
そのままミレアたちはセイズと反対方向にスタスタと歩いていく。もう、かなり離れた。
「逃げることが上手だこと。さて、エクソーニコン、わらわたちも舞踏会があるわ。戻りましょ」
「了解ゾヨ」
やっとのことで、気持ちがおさまったのか、セイズたちもその場を後にした。
☆☆
おはようございます。
いつもみてくださっている読者さまには感謝です
ありがとうございます。
この物語のほうも続きますので、よろしくお願いします。
応援よろしくお願いします。
またおあいしましょう。
また更新いたします。




