第2話
彼女の美しさを見た兵士たちの顔からは恐怖の色は消え、逆に尊敬の眼差しを向けていました。
「彼女が次のプリンセスか」「なんと神々しい姿だろうか」
「あの方ならきっと我々を助けてくれるに違いない!」
兵士の言葉を聞きながら、男はほくそ笑みました。
(これで私の任務は終了ですね)
「それでは準備に取りかかりましょう」
男はそういうとどこかへ行ってしまいました。
その後、城の兵士達が総出で準備を進めていきました。
そしていよいよ出発という時、突然辺りが騒然としました。
何事かと思って外に出る兵士達。
すると、そこに現れたのは白馬に乗った王子様でした。
彼は馬上から声高らかに言いました。
「俺は隣の国からやってきた王子だ!戦争なんてくだらない!平和を愛する我が国としてはこれ以上無駄な血を流したくない!だからどうか帰ってくれないか?」
「ふざけるな!我々はその女を人質として要求しているんだぞ!さぁ早く渡してもらおうか?」
「嫌だと言ったらどうするんだい?」
「力ずくで奪い取るまでよ!」
そう言うなり、兵士達が一斉に王子に向かって襲いかかりました。
しかし、相手は一国の王子。
当然敵うわけもなくあっという間に制圧されてしまいました。
「くっ!覚えていろ!必ず貴様らの国に復讐してやるからな!!」
こうして、シンデレラを乗せた馬車はそのまま国境へと向かっていきました。国境についたシンデレラは一旦降ろされました。
そして、しばらく待っているように言われました。
しばらくして、兵士がシンデレラの元に駆け寄ってきてこう告げました。
「大変申し訳ありませんが、このままお一人で敵国に入っていただきたいのです。もちろん道中の安全は保証いたします。しかし、今は一刻を争う事態。私達には他にも仕事がありまして、そちらを優先しなければならないのです。もちろんお礼はさせて頂きます。いかがでしょうか?」
「わかりました。それで私が助かるならば喜んで参りますわ」
シンデレラはそう答えると兵士について行き、無事に敵国に入ることに成功致しました。
一方その頃、おじいさん達の牢屋にも男がやって来ました。
「あなた方がお仲間の救出に協力的な兵士さんですね?私は隣国の女王様より遣わされた使者です。ご安心下さい。もうすぐお仲間の方々は助け出されます。それまで少し我慢していてくださいね」
男は牢屋の扉を開けると、鍵を差し込みました。
ガチャリ 牢屋のカギが開きました。
「あ、ありがとうございます」
「いえいえ、これも全て女王様の命令なのですから。それに、あなた方にはこの国の為に尽力してもらいますし……フッフッフ」
「どういうことだ?」
「まぁそれは後ほど……それよりも急いでください。あなた方の仲間たちも命の危険に晒されていますから」
「え!?︎本当ですか?」
「はい、ですから急ぎましょう」
おじいさんとお婆さんは牢屋を出ると、男の案内の元、地下通路を通って城に潜入しました。
「こちらです。この先を真っ直ぐ行けば目的地に着きます」
二人は男の指示に従い、城の中を進んでいきました。
やがて、ある部屋の前に辿り着くと男は部屋のドアを開け、中に入るよう促しました。