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AIシンデレラ  作者: 秋草
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第1話

昔々あるところにおじいさんとおばあさんがいました。

二人は畑仕事をしていましたが、ある日山へ柴刈りに行きました。

すると道端に大きな箱を見つけました。

「なんだろう?」と思い開けてみるとそこには一冊の古びた本がありました。

それは『シンデレラ』という物語でした。

その本のページをめくると文字はなく、絵だけが描かれています。

「これは珍しい!」と喜んだ二人ですが、さて困ったことになりました。

なぜならこの物語はシンデレラの生い立ちから始まり、王子様との恋、舞踏会でのダンスシーンなどが書かれていて、肝心の結末が全くなかったのです。

おじいさん達は急いで家に帰りました。

そして息子を呼び事情を話し、なんとか続きを書いてもらおうとしました。

しかし、息子は言いました。

「こんな話つまらないよ!俺、もっと面白い話を書かなきゃいけないんだ」

そう言って息子の書いた話は、意地悪なお姉さん達が次々と罠にかかり痛い目にあっていく話でした。

それを読んだおじいさん達は大喜びです。

「こっちの方が面白そうだ」

早速、おじいさんはその本を町の人達に配りました。

みんなこの本に夢中になりました。

しかし、しばらくして本を配っていたおじいさんの元に手紙が届きました。

それはシンデレラのお母さまからのものでした。

お母さまはこの物語の続きがどうしても読みたくなって、王子様にお願いをして探してもらっていたのです。

もちろん、おじいさん達はそんな事知りませんでした。

そして、お母さまはおじいさん達の家に押しかけてきたのです。

「私の可愛いシンデレラを返してちょうだい!!」

お母さまは怒り狂っていました。

それも無理ありません。

自分の娘を勝手にさらわれ、しかもひどい目に遭わされているのですから…… 結局おじいさん達がしたことはお母さまの怒りを買うだけだったのです。

おじいさんとお婆さんは必死になって謝りましたが許されませんでした。

おじいさん達は牢屋に入れられてしまいました。

それからというもの毎日のように拷問を受けました。

鞭打たれたり火炙りにされたり…… それでも二人は口を割ろうとしませんでした。

そんなある日、一人の男が牢屋の見張りをしている兵士に話しかけてきました。

「あなた方はなぜそこまでして頑張るのですか?」

「え?何を言っているのだ?」

「いえ、別に答えなくて結構ですよ。ただ気になっただけなので……」

兵士が不審そうに見つめていると、男はポケットから鍵を取り出しました。

「私はこういう者です。実はこの国の女王様より密命を受けてまいりました。今、この国は隣国との戦争で疲弊しています。国民は飢えに苦しみ明日食べる物にも困っている状況です。そこで女王様はある作戦を考えつきました。それがこの国の姫君を敵国の城に送り届けることなのです。」

「なんだって!?︎では、お前がその使者なのか?」

「はい。でも安心してください。もうすぐこの国の王女がここにやってくる手はずになっております。その時、あなたのお仲間も助け出して差し上げましょう」

「ほ、ほんとうだな!!約束してくれるな?」

「はい、お任せください」

こうして男と兵士の取引が成立しました。

翌日、馬車に乗せられた美しい女性がやってきました。

彼女はこの国の第一皇女であるシンデレラ・マルレーン。

この国の希望であり、国の誰もが愛する女性だったのです。

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