相棒
遥がかえってきた、という話をきいても、美羽はたいして喜ばなかった。
『学校でね、……暴れたらしいの。もう、……』
よりこさんが、玄関でつぶやいた言葉が耳にちらつく。
ただ、美羽は、
「わたしね、いよいよ、魔女になるの。」
他になにをおいても、とばかりに、二人きりになるやいなや。
「莉子が迎えにくるの。わたしが魔女になったら、まっさきにナツちゃんを迎えにいくね!」
はつらつと、大きなこえで、ささやいてきた。
*
夜──
二十三時。ぴいんと高い音、スマートフォンのアラーム。
菜月は、ばたんとはね起きて、アラームを止めた。それから、手早くボタンをはずす。脱いだパジャマを放り捨てたまま、クローゼットから青いワンピース、それからカーディガン。たんすを開けて、靴下とブラジャー、アンダーシャツ。
ぜんぶ身につけてから、長い髪を後ろでくくって、眼鏡をかけ直す。
腕組みをして、……ベッドの上に転がっているダースにむかって、強い声で。
「ダース。起きなさい。行くよ」
睨むように待つこと、5秒あまり。
ダースは、むくりと起き上がって、くるんと首をうごかして言った。
「……ようやく、呼んでくれたね」
「やっぱり。ずっと起きてたんだ。」
「ちがうよ。今きみが起こしたんだ。」
「でも、……」
「さあ、ゆこう。今夜しかないんだろう?」
はつらつとそういって、ダースはベッドから飛び降りた。




