にほんのて
ひた、
ひた、
ひた、
と、肘から先の腕と手だけが、二本で、行進をするように歩いている。
菜月とダースは、ちょうど、その手に案内されるように、つかつかと歩き続けていた。
「……これも、怪異なの。」
「だろうね。」
やはり、どこかそっけない、ダースの返事。
「魔女のしわざって事?」
「そうとは、限らない。怪異は、怪異を呼ぶんだ」
ならば、ダースがこうして喋るのも、魔女に『呼ばれた』怪異のひとつということか。あるいは──
「止まって!」
するどい声。菜月はつんのめるようにして足を止めた。ダースが、ちょこちょこと足をのぼってくる。器用に耳元まではいのぼって、低くささやく。
「気をつけて。……星が墜ちる」
え、と問い返すまもなく、空がきらめいた。
見上げる。流れ星、というにはずいぶんと大きく、遅い。太陽よりもずっと大きな光のかたまりが、何度も、どん、どんと何かをつきやぶるような音をたてて、空をすっ飛んでゆく。そして、
それが、墜落した。
どこに落ちたものか、幾重にもかさなった音の衝撃が、菜月の耳をたたき、光が脳裏をつらぬいた。それが、連続して二度、三度、四度。ようやく収まった。
「いまのは……、」
「わからない。なにかが──」
いいかけて、ダースは菜月の肩の上でびくんと跳ねた。
「来た!」
叫ぶ。




