92 うちの子はやはり天才だったわね!
私は魔物を切り倒した後、剣を鞘にしまう。
スライムは散って、スケルトンだった骨はバラバラに落ちる。
ゴブリンらしきものは血を流してピクピクしていた。
ここまで統一されてない魔物も珍しい。
ゴブリンはゴブリンとして襲ってくるし、スケルトンとスライムも連携してたようなきがする。
「まっ難しい事はわからないけどね、さて…………」
「ひっ!」
私は肥満系中年男性を見ただけなのに悲鳴を上げられた。
結果的に助けた事になるのに酷い話だ…………まぁ冗談ですけどね、目の前で戦ったらそりゃそうなるわよね。
ピピーピッピッピー!
笛の音が聞こえた。
馬が走る音とともに私と肥満系中年男性の間に割って入る黒影。
「この場は協議会騎士カタリナが…………」
「どうも」
「………………」
カタリナは私と肥満系中年男性を見て言葉を詰まらせる。
そりゃそうでしょう、さっき別れたばっかりだもん。
「私にかまわず名乗っていいわよ」
「…………止めておきましょう」
カタリナがため息をだすと肥満系中年男性が突然叫びだす。
「カタリナ! 街の中に魔物が警備を厳重にしろっ!」
「承知しました。マルコス様」
「そこの冒険者。助けに来るのが遅い!」
はぁ?
遅いも何も……早かったと思いますけどねー。私は小さい声で文句を言う。
「何をぶつぶつ言ってる! 金か? 金なら出さんぞ!」
「いや、別にいらないですけど……」
私が断ると、マルコスと名乗る男は嬉しそうな顔を見せる。
「そうか! そうだな。小汚い子連れ冒険者よ。貧乏人は貧乏人らしく必死に生きるのだぞ。さてカタリナ、息子を保護しているんだろ? 連れていけ」
「ですが、現場の状況を……」
「七議会のマルコスの命令だぞ!」
これが噂のマルコスか。
フラコスの父で迷宮都市ラビリンスを牛耳る協議会メンバーって所かしら。
どうしよう、頭とか下げたほうがいいのかしらね。
でもなぁ……と一人で考えていると、カタリナが馬から降りた。
「マルコス様、馬へとどうぞ」
「気かきくのう」
「な!!!」
私が大声をあげると、カタリナが振り向いてマルコスが馬へと乗る。
私の顔を馬上からみてくると、唇のはしがニヤっとしてきた。
「ふむ、堅い尻だのう。貧乏人よもっと肉を食べたほうが良いぞ」
「よ、け、い、なっ! お世話だあああああああ!」
私が文句をいうと、マルコスは馬を走らせて逃げて行った。
残ったカタリナがため息をつく。
「まぁその…………我慢してほしい」
「断然断る! 殴る!」
「私だって我慢してるんだぞ!」
それはそっちの勝手でしょうに。
でも、少しだけ同情する。
「我慢したら何か良い事あるわけ?」
「…………大きい声で言えないが彼氏の賠償金を下げる」
「彼氏って?」
誰の事だ。
肩の部分がちょんちょんと叩かれた。
ああ、背負ったままのマリーを忘れていたわ。
「ジョンおにいさんのことですよね!」
「ああ、そうだ」
「彼氏じゃないわよ?」
「「えっ」」
カタリナとマリーの両方から驚きの声が上がった。
「君は女だよな?」
「そりゃそうよ!」
「それじゃ、あっちの彼氏と思っていた方が女……」
カタリナがぶつぶついうので、女装したジョンが頭に浮かぶ。
「やだ、気持ち悪い事いわないでよ」
「そ、そうか。やはり彼は男性だよな。その子供は預かった子で実子ではないんだよね?」
「そうね」
「三人はどういう関係だ?」
はて……そういわれるとどう説明したらいいのか迷う。
カタリナの意見では恋人でもないのに一緒に旅をする不思議な二人と言ってるのだ。
しかも、マリーを連れて。
うん、私でもわからない。
「腐れ縁?」
「そう……なのか。いや、個人的な事を聞いて申し訳ない。ではマルコス様を待たせると面倒なのでカタリナも失礼する」
部下が連れて来たと思う馬に乗って去っていった。
「はい、またね…………あっーーーーーーー逃げた! こんどあのマルコスって奴にあったら殴るからねっ!」
「逃げたわけじゃないかと……」
「だれ?」
声をかけて来た制服姿の男性を見る。
「協議会騎士団員の一人です。軽く事情を聞かせてもらえませんか?」
「断ったら?」
「街中で剣を振り回す冒険者として捕まえるだけです」
それはやだなぁ。
「冗談よ。ぱっと見たら魔物に襲われてる人がいたので助けたまで」
「なるほど、マルコス協議会員に恨みとかは」
「沢山あるわよ、あれがアイツのフルコスだっけそれの親だったのを知っていれば放置したぐらいね」
「…………聞かなかった事にします」
その間にも他の人達が魔物を調べたりしてた。
全部終わったのだろう段々とっ撤退していく、その間にも簡単な質問に答えては協議会騎士団の人は頷いたりして話を聞いてく。
「なるほど、大体わかりました。ご協力感謝します」
「どういたしまして。どっと疲れたわ……」
「では、謝礼です」
一枚のカードをくれた。
鉄製で出来ていてポケットに入るぐらいだ。
「入浴施設の入場券です」
「えっいいの!?」
「金品はだせませんけど、優待券ぐらいならですね」
得した。
いくら魔法で便利な時代になったとしてもお湯を大量に使うのは大変だ。
あっでも王国だけなのかしら、北国ではお湯は貴重だったのよね。
券をくれた協議会団員も帰って野次馬もちらほらと消えていく。
さてはて…………マリーを見る。
マリーはなんでしょう? と言いたげな顔で私を見てくる、黙って微笑むと、ほほ笑み返してくる。
さっきの事で言ってない事がある、誰よりも早くマリーが魔物に気づいた。
「マリーアレが魔物って何でわかったの?」
「ひゃい! からだからホネが見えました!」
私は思い出してもそんな物は見た事ない。
「もしかして、うちの子って神眼もちの天才なのでは!」
「しんがんってなんですか?」
冗談をいうも突っ込んでくれる相手がいないのも寂しい。
お読みくださりありがとうございます!




