表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
豪傑令嬢は追放されても落ちぶれない~聖女の立ち位置と王子は譲るんで自由をください~  作者: えん@雑記
三部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/131

85話 アンナから言わせるとハネムーンになりますと言われた。

 84.5 北の新王 


 王の寝室。俺はそう心の中で呟くと、椅子にすわり酒を飲み干す。

 ガラスに映る俺の顔は表情が無く、その様子がおかしくて笑いそうだ。


 散々俺をコケにしてきた親父は心臓発作であっけなく去った。

 この数ヶ月俺の記憶は曖昧な事が多い。

 俺自身振り返ってもなぜあんなに狂暴だったのかのすらわからない。


 寝室がノックされた、その音はとても小さい。



「入れ」



 俺より年上の宰相だ。親父の派閥だったが、今はこうして俺の下に一番でついた。



「失礼します閣下、今晩も月が綺麗でもうすぐ雪の季節と……」

「前置きはいい」

「では、帝国はクリス・コーネリアなる人物は知らぬと申し開きしてます」

「…………探せ」

「王国に連れ戻し処刑を……?」



 俺は黙って宰相を見ると、宰相は頭を低く下げる。



「い、いえっ。意見など……では失礼します」



 部屋が静かになる。

 俺は酒瓶から自分で注ぐ。



「処刑などさせるものか……この俺に逆らう女だぞ……くっくっく……なんとしても俺の女になってもらおう、なぁ|聖女の魂を受けつぐ者よ《・・・・・・・・》」




 ◇◇◇ 85話 アンナから言わせるとハネムーンになりますと言われた。



 背筋がゾクっとした。

 日の光がまぶしく暖かいのに、一瞬王国にいた時を思い出した。



「……どうした」



 簡素な旅馬車。その唯一の乗客仲間のジョンは私を見て聞いてくる。



「いや、ちょっと悪寒というか。悪いわね寝てたのに起こした?」

「起きてた」

「そう? ならいいんだけど」




 私達は既に馬車の中。

 もうすぐ国境にあたる最後の砦が見える。あの砦を超えると……。



「迷宮国家ラビリンス」

「……そうだ」

「どんな国なのか聞いていい? あっごめん……ミッケルじゃないから説明できないわよね」



 嫌味でもなく、気軽に言うとジョンは胸ぽっけとから一枚の紙を取り出す。

 感情のこもってない声で淡々と喋りだしだ。



「…………ラビリンスは国であり国ではない。評議会と呼ばれるメンバーで構成された国ですので、クリスさんや、ジョンみたいな貴族崩れみたいな人間でも割と簡単に入れます。……だそうだ」



 紙を渡されて私はその文字を読む。ミッケルの文字だ。

 他にもラビリンスの国の大きさなどが書いている。

 国の大きさは王国や帝国もよりも地図(・・)上では小さい、しかし障壁の内部が迷宮のようになっており増えたり減ったりする場合もあるそうだ。


 その特徴が地下のダンジョン。

 何百層もあるらしくその地下は未知数との事。


 私も挑戦してみたいけど、たぶん無理ね……そんなに時間ないし、それよりも問題起こさずにひっそりと半年ぐらい潜伏してくださいね。ってミッケルから釘を刺された。


 オジサマは好きにしていいぞ。って言われたんだけどなぁ。



「どうした?」

「いや、考え事、説明ありがと」



 私が紙をジョンに返すと馬車が止まった。

 人の通りはそこそこあり国境の砦についたのだ。

 自由国家ラビリンスの兵と帝国の兵が談笑しているのがみえる。この砦は二国で運営しており、その前後にそれぞれの第二軍事施設がある仕組みだ。

 だからめったな事では戦争も出来ない。



 私もジョンも冒険者カードを見せてすんなりと国境を越えた。

 ザルすぎる。



「こんなもんだろ」

「…………心読まないでくださりますー?」

「……顔にでてるぞ」

「あら、失礼」



 砦からでて迷宮国家側に入ると空気が変わった……先ほどまで南風だったのに王国の秋風似た涼しい風が肌に気持ちい。



「ジョン」

「…………俺は説明かかりじゃない。ラビリンスは魔法障壁で守られている。いや……国が巨大な迷宮に近い。雪が降ったり砂漠の場所もあるそうだ」

「なるほど、じゃぁ魔物も?」

「…………そうだな、こっちよりも強いだろう」



 楽しみが増えた。

 ここからの馬車は手配していなく、冒険者ギルド出張所で手続きした馬に乗る。



「こっちじゃ女性が馬に乗っても驚かれないのね」

「……そうみたいだな」



 地図を見ながらゆっくりと馬を走らせる。

 途中で何人もの冒険者や魔物を見た。

 いちいちかまっていたら日が暮れるという事で特に倒さないで目的地まで進む。


 はずだったけど遠くに森が見えて来た当たりで私は一気に馬を走らせた。

 隣を見るとジョンも同じで全力で走らせている。


 すぐ横にジョンが馬を近づけると、



「右に行く」



 と、小さく言う。



「了解!」



 私の前方には巨大な火柱(・・・・・)壊れた馬車(・・・・・)、何人もの動かなくなった人達もいる。


 魔物の大きさは馬車よりも大きいのが二体、牛みたいな顔でミノタウルスだっけ。

 本で読んだけど忘れた。


 ざっと数十体の小さいのは剣や盾を持っているゴブリン。その種類まではわからない。

 馬車の上空には変な鳥が飛んでいて様子を伺っているのがみえる。

 最後に戦っていたと思われる人もミノタウルスに頭を割られた。



「ちっ」



 あと少し問う所で私の乗っている馬にゴブリン共がしがみ付く。

 このままでは数の暴力で持たないのがわかる。



「ごめん。がんばったわね……逃げなさい」



 優しく馬の首をなで、まとわりついてるゴブリンを薙ぎ払う。

 直ぐに荷物を結んでいるロープを切って馬を自由にさせた。少しは生存率が変わるでしょ。



 馬から飛び降りて周りの雑魚モンスターを切った。

 腰を深く落として一気に跳躍する。


 一瞬ミノタウルスと目があった……が、



「遅い!」



 着地をし、反対側を見る。

 ジョンは私と違って首じゃなくて足から斬りミノタウルスを倒し終わった。

 残ったゴブリンを適当に散らして周りを確認した。



「参ったわね……」

「ああ……」



 人だった物が七人。壊れた武器などを見ると冒険者かな? 死体を調べていたジョンが何かを見つけてため息をつく。

 冒険者カードだ。それを集めしまい込む。


 他の死体は身なりのいい服装をしていて雇い主だったんだろうな。

 馬もなく壊れた馬車の内部に顔を入れた。

 そこには十歳ぐらいの女の子がいて、すやすやと寝ているのた見えた。



「何か見つかったか?」



 ジョンの言葉に私は女の子。としか答える事が出来ない。



お読みくださりありがとうございます!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] おや、アホ王子の様子が……? [一言] 主人公が旅に出ると馬車が襲われる法則。 こんな大騒動の中でぐっすりとは、図太いのか、馬車の防音が高いのか、あるいは魔法で眠らせたのか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ