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豪傑令嬢は追放されても落ちぶれない~聖女の立ち位置と王子は譲るんで自由をください~  作者: えん@雑記
二部

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80 封印施設 封印者ナンバー329

 …………おかしい、迷った。

 だって四角い部屋で扉はない、それなのに回れ右してT字路にもどろうとしたら別の部屋に入ったのだ。

 背後の部屋を見ると四角い部屋だ。



「なにこれって魔物!?」



 床から迷宮魔物のスケルトンがボコボコと沸いてきた。

 手には杖や剣、盾などをもっており完全に沸く前に私は攻撃をしかける。

 骨を砕く感触が伝わると、敵は簡単に全滅した。


 すぐに地面から新しい骨が浮かび上がる。

 無限沸きって奴? 面倒な。

 仕方がないので再度叩き潰して別の扉を開く、思った通り違う廊下が出て来た。



「参ったわね……」



 一応地図を見るも当てにならない。



「いや、参ったわね」



 二回同じ言葉をつぶやいても、問題は解決しない。

 さて……どうしようか。

 適当に歩くしかないし、地図に書いてある場所に出ないといけない。

 これでも地図ぐらい見れる女なのだ! ………………のはず。


 またも沸く魔物を倒して適当に歩く。

 だって、黙っていたって問題は解決しないしジョンを呼んでも反応もない。



「何か懐かしいわね」



 私がもっと美少女な頃、遠征先で一人になった事ある。

 四日ぐらいさ迷って、祖父に助けられた時は祖父も呆れていたわね、なんでそんなに元気なんだ。って。


 襲ってくる魔物を倒して魔石を確認する。

 爪ほどしかなくて、回収するか迷っていると霧のように消えていった。


 貰ったアイテムボックス袋に手を入れて焼いたお肉を取り出す。

 焼きたて熱々で凄い美味しい。

 何の肉なのかはよく知らない、サツキが出してくれたやつなので……オークとか言ってたような違ったような。



「ってか、宝箱の一つでもないのかしらってそう簡単にあるわけないわよね」



 ため息をつきながら、何度目なのか数え忘れた魔物を倒していく。

 さっきよりスケルトンの大きさが大きくなっているような? ってか鎧着てるやつもいるわね。

 壁が鉄板のようになってきた。

 壁にプレートがかかっており、私はその文字読もうとするけど読めない。


「文字よねこれ? まぁいいわ。入ってみましょう。迷宮ボスでもいれば楽しいんだけど」



 中に入ると大きなガラスの筒が一個ある。

 うん、ボスは居ない。



『生命体ナンバー329のケースに異常が見られます。予備武器を持ち殲滅に当たってください。もしくはコードボタンを押してください。生命体ナンバー329のケースに――――』

「うるさっ!」



 私が部屋に入ると天井から女性の声が聞こえる。

 同じ言葉を呪文のように唱えており武器を構えて警戒した。

 が、何もなく、この間にも同じ言葉を繰り返すだけだ。



「敵……ではなさそうね。生命体ナンバーってケースってこれ」



 大きく割れたガラスの筒、これがケースだろう。

 その大きさは人が入れるぐらいで、ケースからは液体が流れている。先ほどまで何か詰まっていたような感じだ。



「他にはっと……」



 台がいくつも並んでおり、割れたガラスケースから線が伸びてる。その線は台にならんであって台にはボタンがついていた。




「む……」



 何かの足音が聞こえた。

 壁に素早くいって耳を付ける、走ってる音聞こえる。



 敵……。



 段々と近づいてくるのがわかる。

 ふいに割れたガラスケースを見ていて私の顔が映った。その顔は気づけばちょっとほほ笑んでいる。



「やーねー……敵が来るっていうのに私は笑って……でもまぁどんなボスかしら」



 足音は私のいる部屋の前まで来た。

 扉が開いた瞬間私は斬り付けた。



 敵の剣と刃と刃がぶつかり火花がでる。

 私は剣を持ってる相手の(あご)を狙ってつま先で蹴り上げる。

 男はその蹴りをのけ反ってかわした、私もその隙を使って足を戻すと素早く後ろに引いた。



「惜しいっ!」

「………………どういうつもりだ…………」

「偽物を使って惑わす魔物か……悪いけど全力で行かせてもらうわよ」

「…………どういうつもりだ?」



 く、ジョンの顔で二度も訪ねてくるだなんて、なんて魔物だろう。マネマネとかいうのだろうか、他人に化ける魔物はいるのは知ってるけど詳しくないのよね。



「いよいよ本気で怒るぞ。クリス・ランバードで間違いはないか? 探したぞ」

「……そうよ。偽物のくせに……私の名前まで」

「まてっ……偽物ってなんだ」

「ジョンが私の事を探すだなんて無いわよ。今頃お土産の武器を手に入れて地上に帰るころよ」



 これ以上偽物のいう事を聞いてられない。

 私は愛用の剣をぎゅっと握って切りかかった。

 偽物は壁を蹴って私の攻撃を避ける、私はその影を追って追撃をしかける。



 剣と剣が何度もぶつかり合う。

 この剣やばいわね、ジョンの持ってる剣って魔石を切っても刃こぼれしない剣なはず、その剣と対等に打ち合える。

 もしかして本物……? いや、うん。本物よね。



「…………黙って斬られなさいよ!」

「ワザとに斬りかかってくるなっ! お前もう間違いだった。ってわかってるだろ……」



 私はジョンと距離を置くと、自らの剣を鞘に戻した。

 ジョンのほうも剣を鞘に戻して、わざとらしくため息をつく。



「…………なんでここにいるのよ? お土産はどうしたの」

「どれも使い物にならん。業物は全部壊れていた。あの女狐め……」

「そうだったの?」

「ああ、そして外に出るとお前がいない。迷ったと思い探しに来た」

「あら、心配されていたのねありがと」

「………………」



 私がお礼を言ったのにジョンは無視してガラスケースなどを調べている。

 酷くない? 最近はやっと喋るようになったと思ったらこれよこれ。



「何の封印場所だ。ここは」

「封印って?」

「外のプレート……そうかお前は読めないな。古代文字であるが封印室と書かれていた」

「へえ」



 何が封印されていたかしらないけど、ガラスケースの中は空っぽだ。

 だからさっきから天井から聞こえる声もうるさいのね。



「迷宮ボスとか?」

「…………知らん」



 なんにせよだ。心配して迎えに来てもらった事は感謝しなければならない。



「あのジョン」

「なんだ?」

「キスしてあげようか」



 ジョンは暫く私を見た後に剣を抜いてきた。

 ふわっと殺気が私に降りかかってくる。



「偽物だったか……」

「違うわよっ! そのあれよ。わざわざ探しに来てくれたんでしょ? そのお礼でもって思ったんだけど」



 ジョンは超ながーーーーーい、ため息をついて剣を収めた。



「…………」

「悪かったわよ。そんなムッとしなくてもさ」

「普通だ……無駄足だったな……」



 あーそうか。皇帝へのお土産探しにきたんだっけ。最初の目的忘れる所だったわ。

 周りを見渡してもお土産になるようなの無いしなー。

 私はアイテム袋から焼いた肉を取り出してジョンへと投げる、ジョンはうまくキャッチして私を見てきた。



「まぁ食べると少しは元気が出るわよ」

「…………悪いな」

「いえいえ」



 帰りますか。

 私が一歩前に歩こうとすると足が滑った、ガラスケースから出ている液体だろう。

 このままでは近くの台に頭をぶつける。

 と思っていたんだけど転ぶ寸前誰かに抱きかかえられる。



「…………」

「…………」



 ジョンだ。

 ジョンの顔が私を抱くようにして転ぶのを防いでくれたらしい。



「大丈夫か?」

「ああ、うん……大丈夫と思う」



 指先に何かか触れてカチっと音がした。

 いつの間にか台にあるボタンを触っていたらしい。



『緊急封印コードの確認をしました。参照パターンを確認。封印パターンの失敗を確認しました。封印施設は一時間後に自爆されます。繰り返します、緊急――――』



「はいっ!?」



 私とジョンは思わず顔を見合わせた。   

お読みくださりありがとうございます!


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[一言] いきなりピンチ! 一時間以内に迷宮脱出なるか!? 1.聡明で賢いクリスはあっという間に脱出成功する 2.無尽蔵の体力にまかせて走り抜けて脱出する 3.どうにもならない。現実は非情である(爆死…
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