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豪傑令嬢は追放されても落ちぶれない~聖女の立ち位置と王子は譲るんで自由をください~  作者: えん@雑記
一部

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40 別れのち再会する者達

 帝都フランベルドの城下町を守る門前で私は背筋を伸ばす。

 いやー久々に帰ってきたわね。


 既にジョンやミッケル達帝国調査隊と別れた後だ。

 門兵に冒険者ギルドカードを手渡す。ギルドカードには魔法の一種が組み込まれているらしく前回よりも半額で入れた。

 アンナと一緒に町をぶらぶらと歩く。



「さて作戦会議の前に食事したいわね」

「いいですね、クリスお嬢様にお任せします」

「それにしても、協力金をもらえるとは思えなかったわ」

「良かったですね」



 おかけで私達の財布はホクホクだ。

 まぁその分、私も練習試合をジョン以外の隊員ともしまくったけど、結局私と渡り合えるのはジョンだけだった。

 協力金はそのお金である。


 空を見ると太陽が真上にある、教会の鐘の音が聞こえないけどもう直ぐお昼に近いだろう。あちこちで飲食をしている人が目立つ。



「よし、何か飲み物でも買ってくるわね」

「では、ここでお待ちしています」

「了解ー!」



 一緒に来ればいいのに、まぁでもいいか。

 近くの飲食店に入り、人のよさそうな店主に挨拶し果実ジュースを買う。


 私はアンナの側に寄ろうとすると、金髪の青年がアンナの側にいる。

 はて? どこかで見たような。

 アンナは綺麗だもんねー、そりゃナンパもされるか。



「あ、クリスお嬢様。聞いてください、この方が私達の食事を奢って下さると……」

「噂の連れだね、君のような美人な子の連れなら美しいんだろうね。僕の名はアルベルト、こう見えてもC級冒険者でね。あっ自慢じゃないんだ。

 帝都に不慣れな旅人をもてなすのも冒険者の務め、一般人が入れないような店を知っていんだ。どうだいよかったら食事と一緒に名前を…………」



 早口のアルベルトが私の顔を見て無言になった。



「間違えてなければ、冒険者ランクF級のクリス……」

「あら、覚えてくれてたの?」

「死んだんじゃなかったのか……」

「どういう意味よっ!」

「まてっ! ぜひ、この綺麗な人を紹介して欲しい」



 ちらっとアンナを見ると、お嬢様にお任せします。と顔が言っている。



「別にいいけど、親友のアンナ」

「親友と同一に持ち上げられて困惑していますが、クリスお嬢様のメイドをしているアンナでございます」

「ナンパだったのに私がいてお邪魔だったみたいね。別な子を探すといいわよ」



 微笑むとアルベルトは一歩前に踏み出してくる。



「僕も男だ。食事は奢るよ」

「いや、別にいいわよ。さてアンナ行きましょうか」



 そうですね。とアンナと一緒に歩き出す。

 別に無理して奢ってもらいたくは無い。



「まってくれ、可愛いクリスさんに、綺麗なアンナさんっ!

 いや、女神アルティナに負けずとも美しいお二人、このあわれな男にチャンスを」

「…………名指しで言われたらしょうがないわね。あと必死すぎるんですけど」



 私は立ち止まりアルベルトに向き直る。

 膝を付いて両手で祈りだしているので目立つ目立つ。

 私達の周りを人が避けて歩いていく。



「そりゃもう、可愛い子には目がなくてね」

「正直な事で」



 流石に私も意地悪しすぎたかな?

 私の好みじゃないじゃけど、顔はイケメンよね。さわやか系スマイルが似合いそう。

 腰にロングソードを装着しているけど強そうには見えない。

 着ている装備が軽装にみえるけどそれだけじゃない気がする。



「クリスさん、そう値踏みされては……」

「あっごめん、でもいいの? こないだ逃げたわよね?」



 こないだというのはギルドマスターケラにあった日だ。

 私の噂を聞いて、逃げていった。


 アルベルトはサラサラな金髪を手でかきあげる。いちいちポーズが決まっているというか。私達の横を通る通行人から、かっこいい……とか黄色い声が聞こえてくる。



「前回は本当に用事があったんだ。この僕に間違いはない。

 クリスさんも良く見ると可愛いじゃないか。もちろん、メイドのアンナさん。貴方も綺麗だ」



 よく見ると(・・・・・)。ってのが引っかかるけど、まぁ悪い気はしない。

 過去に私に対して、顔は綺麗な癖に……。とか言っていた貴族よりは高感度は持てる。

 サービスしてあげましょうか。



「美人二人をナンパして、安い店だったら怒るわよ?」



 私はアルベルトの右腕に自分の腕をクロスする。



「クリスお嬢様? 少しはしたないかと……」

「いいのよアンナ。左側お願い、こうするときっと凄い所に連れて行ってくれるわよ」

「……ですが、アルベルトさんに、そこまでさせるのは」



 チラッと見るとアルベルトの鼻の下が伸びている。

 これでC級なのよね。本当に実力あるのかしら。



「べ、べつにサービスされなくても美味しい所には連れて行く!」

「ではクリスお嬢様の頼みであれば……」



 アンナがアルベルトの左側の腕を組むと、アルベルトはさらに鼻息荒くなってきた。



「私、帝都で一番高い料理食べてみたい」

「クリスお嬢様…………それはちょっと酷いと思いますけど、これは色仕掛けですよね?」

「ただの呟きよ、呟き。別にいいのよ、アルベルトが美味しいと思うのが屋台の料理でも、私も屋台大好きだし。でもなぁ」



 チラチラ。



「はうっ! わ、わかった! このC級冒険者アルベルト。知る限りの高級店に連れて行くよ!」



 男ってこれだから……。

 でも、ジョンは色仕掛けとか無縁そうだったわね、普通はこっちが正常よね。

 あれ? こっちに来る、あの三人って。



「よう、ねーちゃん生きていたかっ」「ほっほ」「お久しぶりです」

「あっミラクルジャン!」

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― 新着の感想 ―
[一言] チョロベルトw そしてズッコケ三人組。 ミラクルジャン「え、俺たちも奢ってもらえるのか!?」 チョロベルト「んなわけあるか!シッシッ」
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