34 七つの石を集めても願いは叶えれません
サーディスさんに出してもらった小さい箱。
その箱にクロイスの石が保管されていたらしい。
それがいまテーブルの上に置いてある。ミッケルは懐から四角い板を取り出すと説明してくれる。
「これは借りた魔石鏡面……というか魔法アイテムですね。残っている魔石の魔力を登録すると、あら不思議同じ魔石を方角で示してくれるという便利アイテムです」
「へぇ…………所で同じような魔力が沢山あったらどうなるの? 私ギルドで使い捨ての魔石とか売ってるって休憩中にアンナから教えてもらったんだけど」
使い捨ての魔石とは、普通の魔石より精度も低く光の魔法をいれると永続的に光をだしたり、効果がきれると宝石すらならなくただの石となる。簡単に言うと一回限りの魔法を発動させるアイテムだ。
私の言葉にミッケルの体が固まる。
笑顔で私に向き直った。
「クロリスの石でしたら、そうそう同じのは無いと思いますので」
「あと、魔力抜いていたのよね。魔力が抜けた石も探せるの?」
「………………」
ケラの所での説明では魔力を抜いて宝石にしてると聞いた。
果たして魔力を抜いた奴を探せるのだろうか?
ミッケルが完全に止まった。
「ま、まずはやってみましょう。ケラ様を信じるのです! そう、なのなの教にはいるなのー!」
「あ、壊れた」
ミッケルがやけっぱちに魔石鏡面というアイテムを使う。
覗き込むと鏡全体に砂粒が落ちたようになっている。
「これは…………」
「点滅が多いんだけど、壊れてる? これ全部魔石!?」
「およよー湖の底の魔石に反応してるね~。ちょっと貸して~」
サーディスさんが魔石鏡面を触ると、中の点が切り替わっていく。
「れーだーみたいな奴だね~。ケラっちのお手製かな~、ここをこうクパアして、要らない魔力の感知をけして~現在地の地図を差し込んで~、はいできました」
「れーだー?」
「いっていの範囲にある魔力探索器~と思ってくれればいいよ~」
四角い魔道具を、いやれーだーをテーブルに戻してくれると、画面の中に世界地図が現れた。
帝国中心部に青い点。
王国北部に赤い点が付いている。
「青い点が~このアイテムの位置~、赤い点が~魔石ちゃん」
「「「………………」」」
「およよ~?」
私達三人は無言になった。
他の二人はわからないけど、これってとても面倒な事になってそうだから。
小さく手を上げる。
ミッケルが直ぐに声をかけてくれた。
「はい、クリスさん! 発言を許可します!」
「石は無かった。以上! って事は?」
「我々は嬉しい限りですが、アンナさんになんと説明を?
あと、限定危険アイテムとして登録されていて、私達の上司のさらに上の上司…………平たく言えば皇帝様ですね。説明が出来ません」
無言のジョンが、れーだーとなった手鏡を指差し聞いてくる。
「グラッツ王都付近か? サーディス。この地図は拡大できるのか?」
「およよ~できるわよ~。こう指をくぱぁって」
一々表現が際どい気がするのは気のせいかしら。
でもサーディスさんが二本の指を左右に開くとれーだーの中の地図が拡大されていく。
グラッツの王都から少し離れた場所で赤い点が点滅していた。
「あっ消えた」
「もう~場所が遠すぎ、近くに行けば映るわよ~」
「なるほど」
ミッケルがお茶を最後まで飲むと立ち上がった。
「サーディス様。お時間をとらせて申し訳ありませんでした。
手かがりも出来たのでこの辺で」
二人が帰るらしいので私も、ありがとうございました。と挨拶をして立ち上がる。
一つ言おうかどうしようか考えて、サーディスさんを見つめてしまった。
「はいはい~。また遊びに来てね~あら、クーちゃんなにかしら」
「お腹の一撃は借りにしますのでっ」
なんだかんだで、お腹に打ち込まれた一撃を思い出して、つい捨て台詞を吐いてしまった。
クックックとサーディスさんは小さく笑いだす。
「まってますよ~。だから人間って面白くて好きよ~」
小さく手を振られて私達は十四層へと上がり始める。
帰りも徒歩なので足早に歩く。
「結局ドラゴンってサーディスさんなわけよね」
「そうですね」
「だからこのダンジョン封印してるの?」
「封印というか、あの人は出ようと思えば出れますけどね。
ええまぁ…………ああ見えて帝国と付き合い長いと聞き及んでます。
私は見た事はないんですけど、普通に人も食べるようです」
サーティスさんが人をねぇ。
「討伐しないの? 王国だったら……っても上過ぎる人の考えはわからないけど、服従させるか討伐するかってのが出ると思うんだけど」
「…………王国は野蛮だな」
「わ、悪かったわねっ!」
「ええまぁ…………サーディス様は友好的。といっても帝国を守護してるわけでもなければ、襲っても来ない。それとその帝国の歴史上の人と仲がよかったらしくでですね、相談役としてこちらにいます」
ふーん、仲が良かった。ねぇ……。
さっき調子からみると、人を食べてるも別の意味で食べてるようにしか思えない。
あまりのピンク想像に頭を振って意識を飛ばす。
「……どうした?」
「なんでもないわよっ! ってか、ジョン私の裸見てっどうしてくれようかしら」
「ゲッホゲホゲホッ。は、裸っ!? ラ……ジョン! クリスさんの裸を見たんですかっ!?」
眉を潜めはじめるジョンは歩きながら嫌そうな顔をする。
「……見たくて見たんじゃない。裸ぐらいで煩い、お前らも敵を殺したり、奴隷の裸とか見た事あるだろう。それともお前、金でも欲しいのか?」
「で、ですが……その貴族の裸を見たとなっては」
ミッケルが慌て始めるも、私はイラ度爆上げ中だ。
別にもう貴族じゃないしー!
「あのねー、お金が欲しいとかじゃなくて。少しは驚きなさいよってフリだったんだけど、喧嘩売ってるわけ?」
「……売ってきたのはお前だろう」
「まぁまぁまぁ。お二人とも仲間なんですから喧嘩はいけません」
「「仲間じゃない」わよ」
ミッケルの言葉を返したけど、ミッケルは、そういう事にしておきましょう。と言い出し次の階層へと進んでいった。




