21 最後の解決方法は力である(クリス談
さてと。と、いうとミッケルさんが話し出す。
さっきの会話はなんだったんだろ、一人だけ仲間はずれにされた気分だ。
「クロイスの石でしたね」
「あっ、そうそれよ。私聞いた事ないしアンナ知ってる? あれ、アンナ?」
「…………はい」
アンナが深刻な顔をして下を向いている。
小さい時に何度が見た顔だ。
「あ、あの。別に言いたくないならいいわよ。そうだっ! 帰りましょう。欲しいものがあればそれを買いましょ。ねっ」
「クリスお嬢様……下着が欲しいです」
「下着? ちょっと、男性がいる前で中々の事いうわね……いいわ、買いましょう」
「いえ、クリスお嬢様のはいてる奴が欲しいです」
ポタ……と、液体の落ちる音が聞こえた。
アンナの鼻から血が出ており小さくハァハァ言ってる。
「どつくわよ」
色ボケのアンナに私が真面目に言うと、失礼しました。と、頭を下げてきた。
「いえ、別に秘密にするような事でもないと思ったのですが、クロイス家の家宝といいますか、魔石でして」
「ふむふむふむふむ」
「………………お前、頷いているが魔石ってわかってるのか?」
ジョンから痛い言葉が来る。
頷いては見た物の、魔石なんて魔物から出る石としか知らない。
「し、しってるわよ。アレでしょ、そのあの……男の人が尿が詰まった時に石が出るってあれの魔物版よね」
ミッケルが笑顔を見せると私の言葉を訂正してくれる。
「いやはや……それは尿道結石という奴でしてね。主にストレスでなるらしいのです。
一度なると出来やすい体質になるとか、私も何度かなってましてね。解決方法はストレスを貯めない。これが出来るとよろしいんでしょうな。ねぇ、ジョン」
「…………いちいち俺に振るな」
「はいなのー! 説明するなのー! ――――」
ケラが手を上げるのでケラを見る。
なんでも、魔物だけにある第二の心臓。と、言われているらしく同じ魔物でも持っている魔物のほうが少ないらしい。
膨大な魔力が固まった石であり、使い方次第で一人の人間が国を滅ぼした。と記録があるとか。
なのなのー。とケラの説明がすんなり頭に入ってこないので、頭の中で一度整理した結果だ。
「――――なのー! わかったなの?」
「大体は。じゃぁアンナの家が襲われたのって金目的の賊が偶然襲ったのじゃなくて」
「恐らくは、そうなんでしょう。あの日はわたくしアンナの誕生日でした……父上が青白い光を放つ宝石を見せてくれたのが記憶にあります…………その後、すぐに賊が入ってきて……」
「許せないっ」
自然に口に出していた。
「クリスお嬢様っ!?」
「許せないって言ったのよ。魔石だがなんだか知らないけど、そんな石ころ一個で家族を殺されるとかっ」
「クリスお嬢様……ありがとうございます。しゅきしゅきです!」
「で、その石はどこにあるの?」
「…………スルーされました」
ミッケルもジョンもアンナのボケを無視してか突然押し黙った。
さっきから、なのなのー。と、言っていたケラも大人しくしてる。
「変な事言った覚えないんだけど……その石を返してくれるって手紙だったのよね?」
「はい、魔石から魔力を抜けばレア宝石ですからね。用途はさまざまですがあの大きさでしたら売れば十年は暮らせると思います」
「アンナやったじゃない!」
ミッケルの言葉にアンナはあまり嬉しそうな顔をしていない。
あっもしかして、昔を思い出すから?
「ごめんアンナ、昔を思い出させるような事に喜んで……」
「大丈夫です」
「いやはやこちらとしても返したいのは山々なんですが……そのなんて言うかですね」
ミッケルが汗を拭きながら話そうとしている。
ジョンが手でミッケルの言葉を制し、俺が言う。と、口を開く。
「盗まれた」
「よし、殴ろう。私が右を殴るからアンナは左を殴って、武器もあったほうがいいわね。あの割れなさそうな花瓶がいいかも、ケラ。冒険者ギルドなんだし回復魔法使える人いるよね一人待機させてもらっていいかしら」
私が立ち上がると、ミッケルが慌てて両手をだし、ジョンを守ろうとする。
「まぁまぁまぁまぁ! クリスさんっジョンを殴っても解決はしません!」
「じゃぁ、ミッケルを殴るわ」
「いやいやいやいや。ひ、一先ず話を聞いてください! そもそもその相談もありギルドマスターのケラ様に相談をしていたのです」
「クリスお嬢様、殴るのは後でもできます。ま、まずは落ち着きましょう。暴力は何も生みません」
ふう…………アンナに言われたら私としてはやめざるを得ない。
力任せにソファーに背中を預け、男共の話を待つ。
「アンナ」
「なんでしょうクリスお嬢様?」
「一つだけ生み出すものあるわよ」
「……?」
「私の気分が晴れる」
誰からか酷い話もあったものですね……。と聞こえてくるが、そんな大事な物盗まれたのなら、仕方が無いと思うんですけどね!




