表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逃亡馬券生活   作者: 狂死狼
92/259

第6章  競馬狂の詩 4

「俺は殺人者だ。行方をくらませ裏街道を歩き、人目を避けて生きるしかない。投資馬券が唯一の生活の糧だ。共犯者優香とのあらたなるサバイバルの日々を綴ってゆく」


(1) 親父の狂言  その4


 

 腕っぷしが強いだけの脳みそ筋肉男ウサミsんと俺はアルメティオ・メッツとかいう怪しげな団体に被害を受けた家族を訪問してみたのだった。

 それぞれに共通していたのは旦那や息子、あるいは婿など、一家の大黒柱と言える立場の人間がある時チラシや街頭での誘いに乗って総本山を訪ねたのが切っ掛けとなった。初めは軽い気持ちから、一度でも足を踏み入れてしまった者はその日を境にガラリと人が変わってしまい、競馬でひと山当てるのだと金の亡者になってしまう。何を言っても聞き入れることなく、大金を抱えては足げく通い詰め、しまいには完全に出家信者となって家にも帰ってこなくなるのだと言う。

仕事を持つ者は団体に寝泊まりしながら通い給与を団体に取られ、年金生活の者は年金手帳も取り上げられてしまう。そして日夜、狂ったように競馬を当てるための『大霊会』と称する修行を行うのだそうだ。

 団体を主宰しているのは『木原元気』という人物で、まだ20代の若者らしい。こいつの後ろには大きな力を持つ黒幕が控えているのかも知れない。当然ながら、周りを幹部だとか親衛隊とかいう面倒な奴らが常に囲んでいるらしい。


 この団体が△△市にやってきたのは今から5年ほど前になる。初めは町なかの開館などを借りては土日に限り『競馬道場』として年寄りや少し頭の弱い人を中心に集めては集団心理につけこんで怪しげな競馬必勝本や必勝グッズを法外な値段で売りつけていたらしい。それが次第に爆発的に売り上げを伸ばし、やがては□□山に総本山を持つにいたったのだ。これまで、常に怪しいうわさが絶えないものの、表向き刑事事件を起こしたことはないため警察にも黙認されてきたという側面がある。しかし、ここ最近は派手に出家信者を募るまでになってきているので警察が裏で動き出しているのではないかといったところまでの情報はすぐにつかむことが出来た。

被害家族が声をそろえて言うのは、金はもう帰ってこないなら仕方ない。せめて入信して帰ってこない親や息子を返して欲しいということだった。

 団体に問い合わせてもそのような人物はいないとの一点張りだという。


 これは大きな事件になりそうだ。引き受けるには荷が重過ぎるのではないだろうか……。イモを引くようなことは言いたくないが、自分の立場ではとうてい無理だ。

「何とかしてください。お願いします」

「頼みますだ。おとっさんを取り返してくだせえ」

「なんとしても救いだして欲しいんです」

 家族の悲痛な叫びが耳に響いてくる。

 さて、これは困ったことになった。いったいどうすればいいものか。

「狂死狼! こうなったら今からその団体に殴りこんでみるか」

 ウサミさんは筋肉の脳みそで考えたことを口にした。太い右腕を鼓舞して見せた。

「まあ、それは少なくとも所長の許可を取ってからにしましょう」

「お、おう。それもそうだな」

「とにかく事件のあらましは掴んだのだから、あと手掛かりとなるのは競馬場くらいか」

「お、おう。それだ。競馬だ。明日は土曜日だ。まずはウインズに出向いて団体に関連する怪しいものが出入りしていないかチェックしてみるか。しかし、今時は馬券なんてみんなパソコンとかで買うみたいだから、ウインズなんかに人が来るのか?」

 ウサミさんはないなりに頭を働かせたようだ。

「馬券のネット販売は足がつく。安くはない税金を取られるからさ。宗教団体だとしてもこれは免れないと思うな。当然、でっかい金が動く話しだ。足がつきにくい金のやり取りなら、直接馬券を買うはずだよ」

「お、おう。やるな狂死狼」


 あくる日、俺たちはC区にあるウインズへと向かった。

最近はネット販売の方が大きく数字を伸ばし、考へ来る客の数は激減している。2号館が閉鎖したせいもあるが、それでもここ1号店は大勢の客でむせかえるようだった。俺は各階をさりげない顔をしてじっくりと観察してみた。ひとり見覚えのある親父を発見した。

あ。あの男は。

優香の店で倒れ救急車で運ばれた。確か『岩元』といった。新聞とにらめっこしながら必死にマークシートを塗っている。

 俺は男の後ろに立ち、その様子をしばらく窺った。 




 さて、久しぶりの投資馬券だ。もちろん、蓮子と源のあの事件にかまけて、投資馬券を忘れていた訳ではない。今週の南関船橋競馬に期待値の高いをレースを見い出すことが出来なかった、ただそれだけのことだ。


では、3月10日の中央競馬の結果から報告する。


中山 第10レース 3連複軸1頭流し

⑪→2、7、9、12、13 

1点=800円の勝負だ。 


ハズレ!!


中京 第6レース 3連複軸1頭流し

④→3、5、10、11、15 

1点=800円の勝負だ!


ハズレ!!!!


これで総投資資金は

389,910円-16,000円=373,910円となった。


負ける時はあっという間だ。72万円の軍資金の内、ほぼ半分ほどを失うこととなった……。


さて、今日の中央競馬だが、中京11R、阪神6R、10Rに期待値の高さを見出した。


では買い目だ。

3月16日 中央競馬、

中京 第11レース 3連複軸1頭流し

⑪→6、7、10 

373,910円÷48÷10≒700円 1点=700円の勝負!



阪神 第6レース 3連複軸1頭流し

⑨→3、5、6

1点=700円



阪神 第10レース 3連複軸1頭流し

⑮→5、7、10

1点=700円



買い目を強気の少点数に戻しました!!

さあ、今日はどんな結果となるのか?

急浮上できる日は来るのだろうか?


この予想と買い目は全て本当のことです。



続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ