第4章 凍りつく街 36
「俺は殺人者だ。行方をくらませ裏街道を歩き、人目を避けて生きるしかない。投資馬券が唯一の生活の糧だ。共犯者優香とのあらたなるサバイバルの日々を綴ってゆく」
(6) 決壊 その2
「いつか借金を返して余裕が出来たら、その時はもう一度ギャンブルで生計を立てる。その目標を絶対に実現させる」
しゃもん弟の言葉が俺にはなんだかまぶしく感じられた。その目標が実現するかどうかはわからない。成功の確率はかなり少ないだろう。だが、俺のような行き場も未来もないゴミ屑のような犯罪者とは訳が違う。失敗しようとも次の人生もあるだろう。俺にはない。今挑戦している投資競馬にしたって、たとえ成功しようが失敗しようが先は見えているのだ。
それでも生きていかなければ。受け止めるしかないのだ現実の自分を。誰かの歌にあった愛や真心なんてものはないが……いや、かりそめの愛ならばある。
ただそいつは脆くて、いつくち果てるともしれない愛や真心だ。
俺は次の日の午後、バスに揺られながら『岡林探偵事務所』を探した。
△△市H区の小さな商店街の一角にそれはあった。小さな雑居ビルの二階だ。
築40年といったところだろうか。ところどころコンクリートにヒビが入った外壁、錆びた階段の手すり、ボロとしか言いようのない建物だった。
『岡林探偵事務所』の看板は普通でまともに立てかけてあった。
事務所のドアをノックして開けた。すると女性がいらっしゃいませと笑顔で迎えてくれた。美人とブスの中間といった感じの小柄な婦人だった。
「あ、あのう。岡林さん……所長さんはいますか?」
「ただいま外出しておりますが。どのようなご用件でしょうか? お名前は」
いきなり岡林との面会を求めたのは失敗だったか……。
「所長さんに、ここで働いてみないかと声を掛けられたもので。狂死狼と申します。どのような職場なか……この目で確認できたらと思いまして」
「あら、そうなの。それでしたらアポイントを取っていただけたら」
「ええまあ、普通はそうなんですけど。普段のありのままの職場を見たいと思いまして……所長には何も言わずに、突然来てみたんですよ」
「そうなんですか……でも今は私一人ですので」
「差し支えなければひとつだけ教えてもらっていいですか?」
「なんでしょうか」
俺は直球をぶつけてみることにした。
「ここの事務所では……たとえば、ひき逃げ犯人を探すだとか、あるいは中国方面とか、国際的な事件なんかも扱ったりするんですか?」
「うーん。そうですねえ……見かけは確かに小さな探偵事務所ですけど、扱う事件はけっこう……あの、私から聞いたことは内緒でお願いできますか?」
「もちろんですよ!」俺はわざと、とにかく明るい声で答えた。
「それなら……少しは」
事務員の名は竹下智子、38歳バツイチの女性だった。しゃべり始めた彼女はかなり深いところまで話してくれた。秘匿事項と思われることまでも教えてくれた。ただし、確信に触れることは話さなかった。当然だろう。それでもかなり多くのことが確認できた。
わかったことは、あの麻雀に来た4人は全てここの社員であること。俺が探っているマンションを偶然かどうかはわからないが、今4人が交代で監視をしているらしいこと。もちろんマンション名は隠していたが……どう考えてもあのマンションに違いない。そして彼女が言うには、今回の案件は相当にやばそうだということ。
新人さんには関わって欲しくないと、入社する気などさらさらない俺に言った。そして一言。
「ねえ。ここで働くなら大歓迎よ。いつでも誘ってね」
なんだか怪しい雰囲気になってきた。彼女はどうやらその気があるらしい。俺は早々にお礼を言って事務所を出た。
これ以上の女難はごめんだった。
続く
まずは昨日の中央競馬の結果から。
2月10日(日)
東京 第7R 三連複 軸1頭流し
⑤→7、10、16 (3点)→2点に変更
※オッズ15倍未満は切り捨て
一点=900円の勝負!!
的中!! 5-7-16 13.3倍
900円×13.3倍=11,970円
(※ただし、直前オッズならば買っていない倍率だからなんとも微妙だ……)
東京 第10R 三連複 軸1頭流し
③→6、11、14 (3点)
一点=900円の勝負!!
ハズレ
京都 第11R 馬連 3頭流し
⑫→2、10、11 (3点)
一点=3,300円の勝負!!
ハズレ
という結果で終わった。
これで総投資資金は
479,220円-2,430円=476,790円となった!!
なかなか増えない焦りを感じる……。
だがまだまだこれからだ。まだ始まったばかりなのだから。
今日は中央東京競馬と南関船橋競馬があるのだが、いずれも期待値の高いレースがないのでお休みとなる。
ではまた。
(※この予想と購入はすべて事実です!!)




