第4章 凍りつく街 32
「俺は殺人者だ。行方をくらませ裏街道を歩き、人目を避けて生きるしかない。投資馬券が唯一の生活の糧だ。共犯者優香とのあらたなるサバイバルの日々を綴ってゆく」
(5) 氷点への入り口 その8
「次は息子をここに連れて来て、競馬の醍醐味を教えてやろうかと思ってね」
「へえ、そうですか。それも免疫療法の役にたつんですか」
「うむ。負けた時のストレスがどう関わってくるのか……若干心配もあるんだが、きっと良い刺激にはなると思うんだ」
「そうなるといいですね」
「じゃあ、ワイの出番だな。ワイが勝ち方を教えてあげますよ」ミウラは上機嫌だ。
「まあ、仲良くしてやって欲しいな」
「まかせといて」
気を良くしたミウラがビールをおごってくれた。気のおけない仲間とワイワイしながらの競馬はいいものだ。確かに適度に遊ぶ程度なら身体にも良い効果があるのかもしれない。
ゆい吉先生は途中で帰ったが、最終レースまでミウラと少額の馬券を買って過ごした。ネットで買ってある投資競馬の方はさっぱりだった。先日の中央競馬で少しプラスにはなったが、大井競馬でことごとく不的中が続いている。このままではじり貧だ。さらに研究をする必要がある。手をこまねいていても物事は好転しないだろう。
競馬が終わると俺は真っすぐ『雀雀バリバリ』へと向かった。今日は昼から予約が入っているとかで、マスターが一人で切り盛りしていた。二卓が埋まっていた。
「いらっしゃいませ」とお茶を運んだところ、俺に笑顔で手を上げる男がいた。
「よお。元気そうだな」
あ、岡林!!
岡林は留置場で見たみすぼらしい感じはすっかり消えていて、貫禄のあるダンディな中年紳士に生まれ変わっていた。「あ、もう出られたんですね。よかったですね」
「ああ、とんだ濡れ衣だったからな」にやりと笑った。
確か、留置された理由はとある詐欺事件に巻き込まれとかだった。そのうち親会社が手を回してくれたらすぐに出られるんだと言っていた。その通りになったということか……。一緒に卓を囲んでいる奴らも身なりはきちんとしているが、やはり堅気には見えない。その筋の方々のようだ。かなり大きなレートで遊んでいるようだった。
「狂死狼ちゃん、どうだ。俺のとこでやってみる気はないかい」
「ありがとうございます。しかし、ここのマスターに恩義がありまして。当分はここで頑張ります」
「そうか。まあいい。いつでも声をかけてくれよ」そういって岡林は煙草に火を付け、名刺を出した。
名刺には『岡林探偵事務所 所長 岡林 信彦』と書いてあった。
「え? 探偵……」
岡林は辺りを睨むように見廻した。対面が『中』を河に捨てると、とたんに「ドン、大三元!!」と牌を倒した。
「調子いいですね!」
「おお。絶好調だ。ほら、ご祝儀だ」といって3万円を俺にくれた。
「ありがとうございます」こういうときは遠慮しちゃだめだ。しかし、どういう人なんだろうこの人は……。
「ところで、狂死狼ちゃん。あのマンションに執着しているようだが、誰を探してるんだい?」
「え? 何のことですか」
「25階建てのあのマンションだよ。宅急便の格好までしてご苦労なことで」
「な、何を言ってるんですか?」
この男は何故それを知ってるんだ?
「心配しなくても邪魔はしないよ。ただ。あんまり素人が変な動きをするのは感心しないなあ。あれだろ。あそこに住んでるボンボンに用事があるんだろう、名前は言えねえが。ただ、うちの仕事に関わるから邪魔はしないで欲しいな」
俺は茫然となった。何でこの男は俺の動きをここまでつかんでいるんだ。この男ももしかしたらあいつを追っているのか? どうして?
「顔がはてなマークになってるな。こいつのことだろ」
岡林が出して見せた顔写真は、間違いなくカオリをストーカーしたあげくにひき逃げしたあの男だった。
続く
まずは昨日の結果から。
2月6日(水)南関・大井競馬
第6R 三連複 軸1頭流し
②→5、6、9、11、14(9点)
一点=1,000円の勝負!!
ハズレ!
第11R 三連複 軸1頭流し
⑦→3、4,14、15 (6点)
一点=1,000円の勝負!!
ハズレ!!
第12R 三連複 軸1頭流し
⑭→8、9、15 (3点)
一点=1,000円の勝負!!
ハズレ!!!
またしても不的中で終わった。
これで総投資資金は
511,320円-18,000円=493,320円
となった!! (ハア……)
気を取り直して、今日の投資競馬、買い目はこれだ!!
2月7日(木)南関・大井競馬
第8R 三連複 軸1頭流し
⑨→3、6、7、11 (5点)
※オッズ15倍未満は切り捨て
一点=1,000円の勝負!!
今日は期待値の高いレースはこのひとつのみ。
今日こそは当たりますように!!
ではまた。
(※この予想と購入はすべて事実です!!)




