第4章 凍りつく街 31
「俺は殺人者だ。行方をくらませ裏街道を歩き、人目を避けて生きるしかない。投資馬券が唯一の生活の糧だ。共犯者優香とのあらたなるサバイバルの日々を綴ってゆく」
(5) 氷点への入り口 その7
住人が開けてくれた入り口ドアを悠々とかいくぐって中へ入った。
管理人がじろりと俺を睨んだ。
しかし、すぐに室内のテレビ画面に目を向けた。俺の格好を見て何も疑うことはなかった。
俺は集合郵便受けへと向かい、眺めるふりをしながらスマホのカメラでその全てを収めた。シャッター音はアプリで鳴らないようにしておいた。その後もできる限り、何か手掛かりとなるものがないか探ってみた。お知らせの張り紙掲示板もカメラに収めた。エレベーターで最上階とその二つ下の階は降りて各部屋を探ってみた。本物のボンボンなら、最上階近くに住むのではないかと思ったからだ。常識だがマンションは高層階ほど価格が高くなるのだ。
あまりうろうろしていても怪しまれる。俺は空っぽの段ボール箱を素早く広げて小さくた折りたたんだ。それを作業服の腹の中に仕舞い込んだ。
エレベーターを降り、1階のロビーへと出た。いかにも荷物をお届けいたしましたよってな顔をして、管理人ににこっとあいそ笑いをしてからマンションを出た。その間、だいたい10分ぐらいだった。最後まで怪しまれる事はなかったはずだ。
探偵じみた真似をして集めた情報では、やはり奴を特定することは出来なかった。安いワークショップとはいえ作業服や帽子、その他変装用品の購入は痛い出費だった。それに見合う結果とはいかなかった。
まあ、仕方がない。またしばらくしてから試してみる価値はありそうだ。
俺は気長に調査を続ける決心をしていた。まあ、探偵ごっこが割と嵌ったというのもあるが。
それ以外の俺の日常なんて退屈なものだ。日々、競馬の予想をしてそのあと料理洗濯をして、夜は雀荘の客相手の仕事をこなして朝方帰ってくる。たまの昼間はあのマンションで探偵ごっこだ。
殺人を犯した犯罪者だからといって逃亡生活など、決して派手なものではない。むしろ声をひそめて息を殺し、透明人間のように生きなければならないのだ。人様にお見せして面白いエピソードなど何もない。
いつもはネット購入しかしていないからめったに行かないのだが、その日はしばらくぶりに場外馬券売り場へ行ってみようと思った。
凍りつく街の中、電車を降りると目的地はすぐ目の前にあった。
連絡も取りあっていないのに、なぜかミウラとゆい吉先生が待ち構えたかのようにそこで馬券を買っていた。
「やあ。調子はどう?」俺は二人を見つけて声をかけた。
「ワイは絶好調や。ここのところ当たりまくりやで」
「へえ~さすがミウラ。先生は?」
「うむ。わたしも絶好調ですよ。複勝100円買いがポリシーですが、今日はなんと4回もころがしが成功して今のところ380円も勝っています!」
「そうですか。そりゃあすごい」自然と笑みがこぼれる。ゆい吉先生の競馬は金額や儲けとかいうものを超越しているのだ。だが、勝負にかける情熱は人並をはずれている。全く勝負師の目をしているのだ。
「息子さんもお元気で?」
「おお。それなんだよ狂死狼君。実はね。この前……とうとう、あの店で息子と一緒に」
「おっと先生、そこは声を小さく」
「おお、そうだ。そうしたらね……息子の数値が著しく良化していてね」
「それは良かった。協力した甲斐があったというものです。いや嬉しいです」
「うむ。さらに良くなってくれればいいのだが」
「じゃあ、今度僕もご一緒しますよ」
「ほほう。君も嵌ったね」
「あ、いや。そんなこと……少しはあるかも!!」
俺はいつかまた、ゆい吉先生と女装クラブで盛り上がりたいと強く感じていた。
続く
まずは昨日の結果から。
2月5日(火)
大井競馬 第8R 三連複 軸1頭流し
⑧→1、5、14、15 (6点)
※オッズ15倍未満は切り捨て
一点=1,000円の勝負!!
ハズレ
大井競馬 第11R 三連複 軸1頭流し
⑭→3、7、10、12 (6点)
ハズレ
残念ながらどれも不的中に終わった。
これで総投資資金は
523,320円-12,000円=511,320円
となった!!
とにかく大きな配当を当てなければ話にならない。そのためには続けるしかない。
では、今日の投資競馬、買い目はこれだ!!
2月6日(水)南関・大井競馬
第6R 三連複 軸1頭流し
②→5、6、9、11、14(9点)
※オッズ15倍未満は切り捨て
一点=1,000円の勝負!!
第11R 三連複 軸1頭流し
⑦→3、4,14、15 (6点)
一点=1,000円の勝負!!
第12R 三連複 軸1頭流し
⑭→8、9、15 (3点)
一点=1,000円の勝負!!
さあ、今日こそは気持ち良く当たりといこう!!
ではまた。
(※この予想と購入はすべて事実です!!)




