第4章 凍りつく街 30
「俺は殺人者だ。行方をくらませ裏街道を歩き、人目を避けて生きるしかない。投資馬券が唯一の生活の糧だ。共犯者優香とのあらたなるサバイバルの日々を綴ってゆく」
(5) 氷点への入り口 その6
「いったいどういうつもりよ!」
優香はかなりおかんむりだった。それも仕方がない。留置場から出してくれた最初のデートの途中で理由も告げずに退席したのだ。
「ごめん。悪かった、この通り」
ひたすら謝るしかなかった。
「頭にきて二人分のパスタ全部食べたから。ああもう、おなかパンパン」
「なかなかやるねえ」
「うるさいッ」
「いやそうじゃなくて、俺を留置場から出してくれたことさ。いったいどうやって」
「それは……朝になっても帰ってこないし、電話も通じないし。バイトが決まったって言ってたから、あの麻雀屋さんに行ってみたんだよ。そしたらマスターの出江さんが親切にいろいろと動いてくれて」
「そうか。さすがだね。でも、警察に来るのは怖くなかった?」
「そりゃあ少しは」
「いろいろ訊かれただろ」
「うん。どういう関係ですかって訊かれたから、内縁関係ですと言っといた」
「げええ。それヤバくないか?」
「げええはないでしょ!」
「もしものことがあったら……俺たち間違いなくいっしょに」
「その時はその時。覚悟はできているし。ふたりいっしょなら構わないから」
「そうか。でも、不思議にあの事件については何も尋問されなかったな。きっとシンちゃんのおかげだと思う」
俺は優香を抱き寄せた。二人分のパスタで下腹が少し膨らんでいた。
「良かった。戻ってきてくれて……でもどこに行ってたの。あの男はいったい誰?」
正直に言うべきか迷った。
「昔の同級生にそっくりで。そいつには金を貸してあったから追いかけたんだ。けど見失ったよ」
優香はじいっと俺の顔をにらんだ。
「嘘でしょ。顔に書いてある」
むむむ。鋭い女だ。しかし、本当のことを言えば心配するだろうし、奴を探し出すことには猛反対のはずだ。
「本当に悪かった。明日からは働きに出るし。変なことは何もないから」
「もう、どこへも行かない?」
「ああ約束する。優香を見捨てるなんてことは絶対にないから。安心して」
優香は首に腕をまわしてぎゅっと抱きついてきた。俺の胸に顔をあててつぶやいた。
「そんなことしたら……ころしてあげるね」
全然冗談に聞こえないところが怖かった。
次の日から、昼間はあのマンションを張り続けた。奴の車のナンバーも抑えた。しかし、限られた時間ではなかなか奴の姿を見つけることはできなかった。
気長にやるしかなさそうだ。このマンションに住んでいることは間違いないのだからいずれ必ず見つけだせるはずだ。それにしても高級なマンションだ。こんなところに住めるということは相当な金持ちなのか、いいところのボンボンってところか……。
夜は『雀雀バリバリ』で働いた。あれ以来しゃもん一味が顔を出すことはなかった。やってくる客はほとんどがサラリーマンの仲間同志で、代打ちで卓を囲むことはめったになかった。客層は良い麻雀荘だった。マスターも面倒見が良く、働きやすい店には違いなかった。営業で培われた経験があり、客商売は得意だった。客が楽しそうに麻雀を打つ姿を見るのはまんざら悪くないとも思えた。
昼間のマンション監視は続けていたが、奴の姿を見つけることはできずにいた。
ある時俺は、作業服に帽子をかぶり、段ボールの箱を抱えて宅配業者に似せた格好をしてみた。安いワーキングショップで仕入れたものだ。マンションの入り口に立ち、適当な部屋の番号を押した。
「こんにちわ。宅急便です」インターホンに出た知らない住人は、疑いもせずに入り口ドアを開けてくれた。
続く
さて、投資競馬だ。まずは昨日の結果から。
2月4日(月)南関・大井競馬
大井競馬 第11R 三連複 軸1頭流し
③→7、9、10、12、13(10点)
※オッズ15倍未満は切り捨て
一点=1,100円の勝負!!
結果はハズレ
総投資資金は
534,320円-11,000円=523,320円
となった!!
負け惜しみではないが、そうそう当たりが続くことはない。今日の結果は仕方がない。
では、明日の投資競馬の買い目だ。
2月5日(火)南関・大井競馬
大井競馬 第8R 三連複 軸1頭流し
⑧→1、5、14、15 (6点)
※オッズ15倍未満は切り捨て
総投資資金523,320円÷48÷10≒1,000円
一点=1,000円の勝負!!
大井競馬 第11R 三連複 軸1頭流し
⑭→3、7、10、12 (6点)
一点=1,000円の勝負!!
さあ、今日はどんな結果が待っているのだろうか?
ではまた。
(※この予想と購入はすべて事実です!!)




