第4章 凍りつく街 25
「俺は殺人者だ。行方をくらませ裏街道を歩き、人目を避けて生きるしかない。投資馬券が唯一の生活の糧だ。共犯者優香とのあらたなるサバイバルの日々を綴ってゆく」
(5) 氷点への入り口 その1
「優香! おいどうした。しっかりしろ!!」
口から血を吐いて倒れている優香に俺は叫んだ。顔に触れてみると、まだ温かい。大丈夫だ生きている。
「おい、聞こえるか?」俺は立ち上がり、壁のスイッチを手探りで探しあて、照明の明かりをつけた。
あたり一面おどろおどろしい血の海の中で、優香が白眼を剥いてのけぞっていた……が、その顔がすぐににやけた顔に変わった?
「ばああ。びっくりした?」
「え?」
優香は起き上がり、口から赤いものを垂らしながらおどけてみせた。
「死んだふり。一回やってみたかったんだ」
俺はあっけにとられたが、やがて怒りがふつふつとわいてきた。
「ば、ばかやろう! ふざけるのもいい加減にしろよッ」
「ふ、ふえええん。だって。だって。毎晩毎晩遅くて。ぜんぜん帰ってこないんだもの。うぁあああん」
優香は子供のように泣き出した。涙とケチャップか何かで造った血の色とが混ざりあって袖口をピンクに染めていた。俺はわからなくなった。これが容赦なくえぬ島を二度刺しした、あの凶悪な女と本当に同一人物なのだろうか。仕方なく俺は優香を抱き寄せた。
「ああ。ごめん。悪かったよ。もう奴らとの勝負は終わったから。ああ、でもそう、バイトが決まったんだ」
「え? ほんと。どんな」
「それがさ。今まで通っていた雀荘なんだ。そこのマスターが俺を気に入ってくれて。働いてくれないかって。いずれは店を任せたいみたいなんだ」
「えー? 良かったじゃない。良かった。嬉しい!」
優香が腕に力を込めて抱きついて来た。
「だけど、お前。これからも帰りが遅くなるぞ。もちろん仕事で」
「仕事ならいいよ。帰る時間がある程度決まっているなら、それは別に何時でもいいから」
「そうか、ありがとう。もちろん仕事が終わったら真っ直ぐ帰るよ」
「うん。うん。それならいいよ」
涙と偽造血液のピンクが俺の胸元に染みてきた。
考えてみるとこのくそ寒い夜にこの女は、いつ帰るともわからないこの俺を、こんな固い床の上で防寒もせずにじっと死んだふりをしながら待っていたんだ。おかしい。馬鹿じゃないのか? だけどわかる。俺たちはこの世界にたったふたりだけなんだ。あってはならないおぞましい共犯者同志なのだ。どちらかが欠けたらたぶん生きていけない。そういうことなのだ……。
俺は偽造血液の上で、いつまでも優香を抱きしめて離さなかった。
優香と抱き合って眠りながら、明け方に見た夢はカオリの夢だった。カオリが優しい顔で微笑んで俺を迎えてくれる。朝食の用意をしてくれた。山盛りのご飯におかずはイチゴとバナナとオレンジだった。そしてなぜか鈴蘭の花のお浸しがあった。カオリがそれを、旨そうに口に入れた。
(おい、それは駄目だ。猛毒だぞ。おーい。おーーい)
いくら叫んでも声は出なかった。やがてカオリの顔がゆがみ、ねじれていった……。
「大丈夫? 狂死狼さん」
優香が覗きこんで話しかけてくる声で目が覚めた。
「あ? ああ。大丈夫」俺は寝汗をびっしょりとかいていた。
「なんだかうなされてたみたいよ。それにひどい傷。起きて気づいた。消毒しなくちゃ」
「あ、ああ。昨夜奴らとひと悶着あって。でも、もう大丈夫。大丈夫だから。イテッ」
「ほら、ちょっと我慢して」
優香が消毒液を俺の顔に塗り込んできた。染みるが、我慢出来る痛みだった。
「それにしても……死んだふりだけは止めてくれよな」
「いいじゃないの。予行演習なんだから」
その言葉にドキリとした。何も言い返せなかった。
窓際には鈴蘭の花が揺れていた。
今日は初出勤前に、カオリの病室へ行こうと思った。
続く。
ではまず、昨日の結果。
1月29日(火)南関川崎競馬
第7R 三複複軸1頭流し
①→7、11、12 (2点)
ハズレ
第8R 三複複軸1頭流し
⑧→1、2、4、6、9(7点)
ハズレ
第9R 三複複軸1頭流し
⑫→6、8、11 (2点)
ハズレ
第12R 三複複軸1頭流し
①→4、5、8、10、11(8点)
的中 15.3倍!!
結果は投資19,000円に対し15,300円の払戻し。
トータルマイナス3,700円という結果だった。
これで総投資資金は 510,630円-3,700円=506,930円 となった。
まあ久しぶりに当たりが来ただけ良しとしよう。
では、今日の投資競馬だ。
1月30日(水)川崎競馬の買い目はこれだ!
第6R 三複複軸1頭流し
⑪→2、4、5、6、12 (9点)
第12R 三複複軸1頭流し
⑩→4、5、7、11 (5点)
506,930円÷48÷10≒1,000円 1点=1,000円
(※オッズ15倍以下は切り捨て)
今日こそは、少しでもプラスになることを祈る!!
ではまた。
(※この予想と購入はすべて事実です!!)




