表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逃亡馬券生活   作者: 狂死狼
56/259

第4章  凍りつく街 23

「俺は殺人者だ。行方をくらませ裏街道を歩き、人目を避けて生きるしかない。投資馬券が唯一の生活の糧だ。共犯者優香とのあらたなるサバイバルの日々を綴ってゆく」



(4)  卓上の騎士 その6



「警察に通報する!!」 

 やっちまった……これはまずいことになった。マスターは電話機に手をかけた。間違いなく警察沙汰になる。我に返った三人組や途中加わった隣の卓の奴らも正気に戻ると、互いに顔を見合わせた。

「いや、それだけは勘弁。お願いします。警察だけは」タヌキが頼んだ。

「すみませッしたあ。なにとぞ、警察だけはやめてくだせえ」しゃもん弟だ。

「この通り。なにとぞッ」加勢したポロシャツの男が土下座した。

 驚くことに全員が全員、通報を恐れてそれだけはやめてくれと懇願し始めた。皆、すねに傷を持つ者ばかりなのだろう。極端に警察を怖れている。

 俺も土下座をしたいくらいだったが、冷静になって頭を働かせた。

「マスター、ちょっと待ってくれ! そんなに警察が嫌だっていうんならイカサマを認めてまず金を返せ!!」

「いや、それは……」ミイラの奴はなおも渋っている。土下座しているくせに。

 この期に及んでまだ認めようとはしない。

 いまいましい奴め……すると仙人マスターが電話機を置いてやってきた。

「ええい。だまれだまれ。今どきはどんなスポーツでもビデオ判定が当たり前の時代じゃろうが。どう考えたってスマホの彼の言い分が正しい。わたしは客同士のやり取りに口を出さない主義だが、今回はそこの三人、お前らの悪事を見過ごすことは出来ん。ええい控えよ!!」仙人がぴしゃりといった。まるであの時代劇のご老侯のようだった。

「は、はあ~」三人はひれ伏した。

 それからぐちゃぐちゃになった『雀雀バリバリ』の店内を全員で片づけ終えるまで、小一時間を要した。それぞれの顔は赤く晴れ上がり、絆創膏が貼られたり塗り薬が塗り込まれていた。

 俺は三人からこれまでに負けた23万ほどの現金を返してもらった。倍返しだ、有り金全部出せや、などと関係ないポロシャツらが迫ったのだが、俺はそこまではいいと優しい声をかけてやった。

 壊れた店の器物の弁償は、一人1万円ずつでいいとのマスターの一声で済んだ。

 全ては終わった。

 もうこの店に来ることもないだろう。もともとそんなに麻雀が好きな訳でもない。きっと今、自分に起こっている過酷なこの現実から逃げたくて、心をひりつかせるギャンブルにのめり込みたかったのだろう。すでに競馬という、ひりつくギャンブルにどっぷりつかっているというのに……今頃、優香は眠りについているだろうか。ようやくふところに戻ってきた大事な金を握り締めて、俺は愛する共犯者のもとへと急いで帰りたいと思った。

 別卓の奴らはくれぐれも警察はやめてくれと言い残して帰っていった。しゃもん弟を含む俺たち4人も、もう卓を囲むつもりもないしこれで帰ろうとした。

「ごめん。狂さん。もう二度とあんなことはしないから、また麻雀しようよ」

 しゃもん弟が言った。タヌキとミイラも俺の顔を見た。

「ああ。別にいいよ。イカサマなしなら」

「じゃあ、またやろうね」

「いいよ」と言いながら、俺はタヌキとミイラを睨みつけた。

「ぜひ、また。本当にごめん」

「狂さんさえ良いなら。ぜひ」

「しゃあねえな。じゃあ、今度こそ真剣勝負な!」

 帰ろうとするところを仙人マスターに呼びとめられた。

「ああ、ちょっと、君。狂死狼君といったっけ?」

「はい。そうです。ほんと今日はすみませんでした」

「いや、もういいよ。それよりちょっといいかな」

 三人を帰らせて、俺に言いたいことがあるようだった。俺も聞きたいことがあったからちょうど良かった。

「なんですか?」

 マスターは白いひげをくゆらせて言った。

「うん。君に折り入って頼みたいんだが。君は打ちすじもきれいだし度胸もある。うってつけの人材だよ。ゆくゆくはこの店を任せたいんだが、まずはアルバイトでいいから店を手伝ってくれんかね。わたしはこの通りもう歳で、毎晩の店番はなかなか辛くてね」

「え?」

 思いもよらない申し出に、俺の心は大いに揺らいだ。



              続く


ではまず、今日の結果。


1月27日(日)東京競馬

第7R 三連複軸一頭流し

⑨→1、2、6 (2点)

1点=1,100円


1月27日(日)京都競馬

第9R 馬連3点流し

⑩→3、7、9 (3点)

1点=3,700円


いずれもはずれ……虚しい結果となった。


総投資資金は539,930円からマイナス13,300円、合計526,630円となった。

苦しいが、まだまだだ。


では、明日の南関・川崎競馬の投資・買い目だ。


1月28日(月)南関川崎競馬の予想


第7R 三複複軸1頭流し

⑥→2、3、8、9、10 (10点)


第9R 三複複軸1頭流し

③→4、7、12    (3点)


第12R 三複複軸1頭流し

⑨→5、6、7     (3点)


526,630円÷48÷10≒1,000円  1点=1,000円

※オッズ15倍以下は切り捨て


明日こそは名誉挽回、汚名返上といきたいところだが……とにかく、頑張るしかない!!

(※この予想と購入はすべて事実です!!) 


では、また明日。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ