第4章 凍りつく街 21
「俺は殺人者だ。行方をくらませ裏街道を歩き、人目を避けて生きるしかない。投資馬券が唯一の生活の糧だ。共犯者優香とのあらたなるサバイバルの日々を綴ってゆく」
(4) 卓上の騎士 その5
ゲームが再開された。
ぴんと張り詰めた空気が……流れることはなかった。表向きは緊張感の欠片もない。くだらないダジャレの応酬で幕を開けた。
「去年の台風すごかったよなあ。屋根ばかりか布団もふっとんだよ」たぬきがお決まりのヤツを一発かました。クスリとも笑えない。
「うちなんかすごかったよ。タンスがカルロス・ゴーンだよ」ミイラは意味さえ不明なことを言った。
「へえ~と思ったら、囲いも飛んでった!」しゃもん弟にいたっては聞いていてただ頭が痛くなるだけだった。
俺は愛想笑いを浮かべながら何度も「上手いね」と吐き捨てた。
ただ、この半チャンは目立った動きはなかった。一進一退を続け、俺が少しプラス。トップはたぬきだったがさほどの浮きではなかった。
おや。あまり派手なぶん捕りは控えたということか……なるほど。こいつらもまんざら馬鹿じゃないな。俺は慎重に事を進めなければならないと覚悟した。
それからも大きな点棒の動きはしばらくなかった。くだらないダジャレだけはうんざりするほど続いていた。
やがて12時を過ぎると『雀雀バリバリ』の店内は俺たちの卓ともうひと卓だけになった。
隣りの卓も白熱しており、よっしゃあ朝まで行くかという声が聞こえている。
マスターの出江子葉仙人も欠伸を抑えて暇そうだった。
7回目の半チャン勝負が始まった頃、どうやら奴らが仕掛け始めているように感じた。ダジャレも止まった。気配が変わったとみて取れる。
「リーチ」
しゃもん弟がリーチをかけた。その時、右側のミイラの右肩がおかしな動きを見せた。
明らかに不自然な動きだ。よし! 今だ。
「おい、ちょっと待った!!」
「なんだよ」
「え? どうした」
「何よいったい?」
「イカサマだ。おい、杉浦さん。ちょっと右手を見せてみろ。それと、ポケットの中を調べさせてもらう」
言うなり、俺はすっと立ち上がり、たそがれの野郎の右手を掴んだ。
「何すんだよ。俺がなにをしたって言うんだ!」
「いいから立てよ。ほら、ポケットの中身を出せ。お前らのイカサマは全部お見通しだ!!」
「ええ。なんだよおい。いいのかいいのか? そんなことして。もし、何もなかったらどうすんだよ。ええ。どう責任取るんだ!!」
たぬきが突っ張ってきた。
「ちょっと、狂さん。落ちつけよ」
「うるせえ。いいからポケットの中身を出せ。ホラ早く!! もし違ってたらどんな罰でも受ける!!」
ミイラのポケットからは何も出てこなかった。体中を検査したが、やはり何も出てこない。
「おい。狂さんよ。どうするつもりだ? 言いがかりをつけやがって。ええ? このままで済むとでも思ってるのか」
「ひどいよ、狂死狼さん。俺が、俺が、イカサマやってるなんて」
やられた!!こいつらに嵌められた……
「困ったなあ。こんなことされたら俺たちも気分悪いし、もう気持ち良くゲームができないじゃん。これは有り金を全部置いてもらっても、全然足りないよねえ」
奴らは執拗に、俺に責任を取らせようと迫ってきた……。
続く
ではまず、今日の結果。
1月25日(金)大井競馬
第6R 三複複軸1頭流し
③→8、10、11 (3点)
第9R 三複複軸1頭流し
⑧→3、4、6 (2点)※15倍以下切り捨て
1点=1,200円
結果は外れ。昨日よりは見どころもあったが、所詮外れは外れ。惜しいもくそもない。
その結果、総投資資金は
577,030円-6,000円=571,030円となった。
元本の720,000円からはかなり目減りしている。
しかし、まだまだだ。まだ資金が半減したわけでもない。
そして、明日は中央競馬に殴りこみをかける。勝負レースはこれだ。
1月26日(土)東京競馬
第9R 馬連流し
⑤→3、8、10 (3点)
571,030円÷48÷3≒3,900円 1点=3,900円
1月26日(土)中京競馬
第10R 三複複軸1頭流し
⑦→1、2、10、11、12(7点)
571,030円÷48÷10≒1,100円 1点=1,100円
1月26日(土)京都競馬
第12R 馬連流し
①→3、4、9(3点)
1点=3,900円
以上が明日の予想だ。
そろそろ上昇気流が吹き上がることを期待したい。
ではまた。




