第4章 凍りつく街 15
「俺は殺人者だ。行方をくらませ裏街道を歩き、人目を避けて生きるしかない。投資馬券が唯一の生活の糧だ。共犯者優香とのあらたなるサバイバルの日々を綴ってゆく」
第4章 凍りつく街
(3) 愛しき共犯者 その4
「すぐに来て欲しいんだ。お願いがあって……」
しゃもん弟の声はひっ迫してるように思えた。今にも危機が迫っているかのような息遣いだった。不安がよぎった。まさか兄しゃもんのように、不法な金融屋に追い詰められているのではないのか。あの嫌な光景が思い出される。
凍りつく夜の△△市の中を俺は息を切らせて歩き続けた。
指定された場所は繁華街の裏通りだった。古い雑居ビルが立ち並んでいる、いかにも昭和の匂いが色濃く残るレトロな商店街だ。怪しげな金融会社の看板が並ぶビルの一階入り口の前でしゃもん弟が立っていた。
「やあ、狂さん。急に呼び出して申し訳なかった」
俺は身構えた。だが、しゃもん弟は意外にもあっけらかんとしている。
「なんだよ頼みって」
「来てくれたらわかるよ。今晩、多少時間はある?」
「ないことはないけど」
何を頼もうというのだ? 借金の保証人ならお断りだ。第一、無職の俺には保証人などとても無理だ。
しゃもん弟はビルの階段を上って行った。
『雀々バリバリ』という看板の店のドアを開けた。
「え? なんだここ」
「雀士を連れてきたよ!」
中を見ると、まさに昭和の古き良き時代の雀荘だった。
「狂さん、さあそこ座って、早く」しゃもん弟は店の右はじにある卓に俺を座るよう指示した。すでにふたりの男が座っていた。
「え? いや俺、麻雀はあんまし。点数の数え方も良くわからないし」
「いいからいいから、そんなの大丈夫。役ぐらいは知ってるんでしょ」
「ま、まあな……でも」
「千点100円。そんなに大きく賭けないからさ。とにかく半チャン2回だけ。ピンチヒッターで頼むよ」
二人の男は自己紹介を始めた。
「杉浦です。たそがれのチートイ野郎です。お手柔らかに」
眼鏡にひげの小柄な男が会釈した。病的なほどげっそりと痩せている。人間性は悪くなさそうだ。
「喰い喰い単騎のタッチャンです。本名野村辰巳。よろしく」
スポーツ刈りのガタイのいいさわやかタイプだが、目つきは鋭い感じがする。でもまあ悪い人間ではなさそうだ。おそらくあだ名の単騎は裸単騎待ちというより、気の短い方の短気なのかもしれない。
ここのマスターは人の良さそうな好々爺に見えた。まるで仙人のような雰囲気を醸し出していた。
それでも俺はこのメンツに対して一切警戒心を解くことはなかった。もしかすると壮絶な戦いの末、身ぐるみはがされはしないだろうかそんなことも頭をよぎった。……いや、点100円のファミリールールだ。半チャン2回。たとえ天和を2回食らったとしたって1万円も負けることはない。
しょうがない。相手になってやるか。
実は俺だって一時は相当麻雀にハマった経験がある。うんと若いころだ……毎晩毎晩、徹夜で麻雀にいそしんだものだ。おかげで親指の感覚だけでどの牌も見分けることは出来るようになった。盲牌というやつだ。だから勝てるというほどのものではないが……
「もう1回だけ、ねえ、狂さん」
しゃもん弟とタッチャンが頭を下げてお願いしてきた。
俺は半チャン2回でボロ儲けとなった。といっても点100円にしてはだが……。
2回とも断トツのトップとなり合計2万5千円のプラスとなった。すると彼らは悔しさをにじませて、さらなる勝負を申し出たという訳だ。
しゃもん弟とタッチャンの懇願に負けて俺はもう少し付き合うことにした。
そう、それが奴らの手だったのだと気づくまで、それから少し時間がかかった。
今頃、優香が心配して俺を待っていることだろう。
だが、勝負に熱くなるとそんなことには気づきもしない。それがギャンブラーというクズ人間の破滅へのシグナルなのだろう……。
続く
今日の買い目、船橋第7R 三連複軸1頭流し
⑦→1、3、11 (3点)
全くのはずれだった…
いよいよ明日からは。中央競馬資金と南関競馬資金を合算させます。
総投資資金は 中央297,960円+南関競馬366,570円=664,530円 となる。
元々の資金が合算で720,000円だった訳だから、現在の総合的な回収率は92.3%!!
もちろんマイナスなので褒められる数字ではないが……。
そして、明日1月19日(土)の中央競馬の買い目はこれだ!!
中山 第7R 三連複軸1頭流し
⑨→1、6、11 (3点)
京都 第11R 三連複軸1頭流し
⑧→2、5、6 (3点)
総投資資金 664,530円÷48÷10≒1,300円
1点=1,300円で勝負だ!!
明日こそは大きな当たりを期待したい。
ではまた。




