第4章 凍りつく街 13
「俺は殺人者だ。行方をくらませ裏街道を歩き、人目を避けて生きるしかない。投資馬券が唯一の生活の糧だ。共犯者優香とのあらたなるサバイバルの日々を綴ってゆく」
(3) 愛しき共犯者 その1
その夜優香は当直だった。不審な男の気配を感じて病室の入り口の影で立ち止まったという。
(こんな時間に誰?)
深夜のことだ。あり得ない事態だろう。
「ごめんね。カオリさん。僕が絶対にあなたを助けるから。こんな目にあわせた男を絶対に捕まえるから……」
男は色白のふくよかな顔に、カオリのか細い手を引きよせて頬ずりしていたという……。
「間違いない。そいつはチャンゴだ!!」
何故あいつが? 優香は俺が話したあいつの特徴にいちいちうなずいた。
あの野郎、何が目的でそんなことを……あれからやつは一切の消息を絶っていた。携帯も換えたのだろう、電話もメールも音信不通だった。
それなのに真夜中にカオリの病室に……いったい何を考えているんだ。
俺は今でもあいつをぶったことを後悔していた。謝りたいといつも思っていた。
「ここで何をしてるの?」
優香が声を掛けると一瞬振り向き、一目散に逃げたという。
それが優香を初めて抱いた夜の、きっかけの会話だった。
それまで、俺たちはほとんど会話を交わしていなかった。といってもぐうたらな俺には彼女はもったいないくらいの女性だった。身の回りの世話を、何ひとつ愚痴をこぼすことなくしてくれていた。まさかこの女があんな残虐な行為をしたなんて……まるで考えられないことだった。
そして、俺たちは静かに燃えた。お互いの過去を、身体を、人生を、むさぼるように求めあった。
まるで互いを支配し、征服しようとするかのように……。
お互いの欠落したぽっかり空いた穴を見つけ出してはそれを埋め合わせるかのように、互いを密着させたのだった。
俺はあの中島に優香が弄ばれていたという過去、その映像を勝手に頭に思い浮かべては敬遠していただけだったのかもしれない。
それにしてもチャンゴの奴。
どうしても奴に会って話をしなければならない。そしてカオリを壊したあの男、あいつをを見つけ出しそれ相応の目に合わせなければならない。
そのあとでこの街を出よう。優香とともに。
俺は覚悟を決めた。
もう過去のこと、自分の生い立ちや経験、起きたことを悔みはしない。俺は自分の、いや自分たちの道を歩もう。たとえそれがどんなにいばらの道であったとしても。
本当の逃亡生活がきっとそこから始まるのだ。
さて、今のところまったく生活の糧とはなっていない『投資競馬』も見直す必要がある。リスクを恐れるばかりに本当の勝負には出ていないと感じている。
もしも駄目ならば駄目で、その時はその時だ。遊びで投資などしたところで見返りは期待できないだろう。
まずは、今の中央競馬と地方競馬の資金分割を止めて総資金を合算させる。そのうえで資金を大きく転がしてゆく。
さらに、ようやく過去の集計を終えて見込み度が高い中央競馬の三連複投資も始めてみようと思う。こちらは過去4年間で450レースほどに絞ってみた結果、回収率170%の結果となっている。これが今後も叩き出せれば万事OKだ。
両方の資金を合算させた資金は現在690,530円だ。俺にとってはなけなしの命の金だ。
このほかの手持ちの生活資金はすでに50万円を切っている。もう後がない状況だ。
この69万の資金を今後48分割して投資してゆく。
36分割だの48分割だの、ずいぶん細かいと思うだろうが、これにも意味がある。中国古来の12進法というのは人間の運勢と密接した関連性がある。12支や方角、あるいは12時間の時計。全ては古来からの人間の営みに基づいた理由があるのだ。
今週末の中央競馬からは本物の投資競馬をお見せしようと思う。
そして、今後は小説と投資馬券の予想と結果とを、切り離してお伝えすることもあると考えている。どうぞ興味のある方はついて来て欲しい
そして今日1月16日(水)の南関船橋競馬の結果だ。
船橋10R 三連複軸1頭流し
⑪→1、7、12 (3点)
このレースは3点全て15倍以下のオッズとなり見する他なかった。
船橋12R 三連複軸1頭流し
③→2、9、10、12 (6点)
※オッズ15倍未満は切り捨て
惜しかったが、残念ながら外れだ。
では、また。




