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逃亡馬券生活   作者: 狂死狼
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第2章 逃亡者の休息 2

「俺は殺人者だ。行方をくらませ裏街道を歩き、人目を避けて生きるしかない。投資馬券が唯一の生活の糧だ。生きるか死ぬか、あるいは捕まってしまうのか……究極のサバイバルの日々を綴ってゆく」

第4回


(2) パラダイス  


逃亡先のH道△△市は今日も大荒れの天気だった。

吹雪の中で、建設作業員たちが黙々と仕事に没頭している姿を見た。

俺には何もない。仕事も、夢も、希望も、生きる意味さえもない……。今日一日のこれからのことさえ、どうなるか知れたもんじゃない。

凍える冬に備えて、なけなしの金で買ったオーバーに身をくるみ、肩をすくめて往来を通り過ぎた。

向かった先はぼったくりで有名なパチンコ店「パラダイス」だ。

 ここの休憩ルームは空調が効いていて、防音効果も高い。置いている漫画や雑誌の種類も豊富だし、何よりも広い。ただで一日暇をつぶせるのはありがたい。

しかし、こんなところにも縄張り争いのようなものがあった。

 俺はパチンコはしない。若い頃にはまったことが一度あった。けれど、どう考えても勝てやしない、期待値の低いギャンブルだと気づいてからは一度も玉を弾いたことはない。もう、15年にはなるだろうか。もちろんスロットもやらない。俺にとってのパチンコ店の利用価値とは、トイレと休憩場所を無料ただで利用できるという、ただそれだけだ。


おいこら、誰に断ってそこに座ってるんだ!!

いきなり怒鳴りつけたのは、ここの主と目されている「タクランケ」と呼ばれる中年男だ。「タクランケ」とは、H道弁で「たわけ者」といった意味だ。

「ここは俺の席だ。ふざけんなや!!」

俺は席を譲るよりほかになかった。仕方がない。もめごとは起こしたくない。

聞いたところによると、奴は素性は知れないが古くからのここの常連であり、

なんでも、アイドルグループの追っかけをやっているという。

おもにBAK69から派生したユニット、HIN42の追っかけだという。

HINとは平安(HEIAN)美女のユニットで、お歯黒+12単衣で踊るグループらしい。俺は全く興味もないしわかりもしないが……。

メンバーの中の「ずんだ ほかり」とかいう名の、ズンダ餅をほおばったような顔をした子が「推し」だという。確かに平安時代の美女なのだろう。まあ、好きにしろや。

それでも、情熱を燃やすものがあるというのはいいことだ。

俺にはそんなものはない……。

しかし、やつの上から投げつけるような罵声にはどうにも承服しかねる。ま、いいだろうさ。いずれ雌雄を決する時が来るだろう。それまで……勝手に吠えるがいいさ。

他にも個性的なメンバーが、ここには憂鬱になるほどそろっている。

おいおい紹介していくとしよう。


そして、今日の競馬は負けだ。

俺の軸馬「メイショウゴテツ」は、最後の直線、謎の失速で12着に敗れた。しょうもない……。

とにかく気を取り直して、明日の買い目だ。


12月2日(日)  JRA 中山競馬

第10レース 馬連3点

5-10 6-10 10-12

(総投資資金345,870円÷36÷3≒3,200円)

明日も1点=3,200円の勝負だ!!!


「イマジン・ハウス」のパソコンで事件報道を眺めていると、内村明美(44)容疑者が窃盗罪でつかまったというニュースが目に入った。

ネットカフェ「ネバーランド」で、客の財布から金を盗んだという……あの風俗嬢だ!!

どうやら、内村容疑者は被害者を装っては油断させて何度も犯行に及んでいたらしい。

「他にも多くの余罪があり……被害総額は……」

友よ。疑って悪かった。すまん。

                  

           続く



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