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逃亡馬券生活   作者: 狂死狼
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第4章  凍りつく街 3

「俺は殺人者だ。行方をくらませ裏街道を歩き、人目を避けて生きるしかない。投資馬券が唯一の生活の糧だ。共犯者優香とのあらたなるサバイバルの日々を綴ってゆく」


(1)  友よ その3



 その日を境にチャンゴの姿をみることはなくなった。

 もともと、どこに住んでいるかも知らないし派遣の仕事とは言っていたが、どんな仕事なのかも知らなかった。考えてみればプライベートなことは何も知らなかった。俺と同じく天涯孤独だと言っていたが、それが本当かどうかもわからない。馬券売り場で出会っただけのただの遊び友達だ。だからこそ、気兼ねなく何でも話せたのだが。

 気付かれたかもしれない俺が起こした通り魔事件のことはその後触れないでいた。もちろん俺は完全否定を決め込んでいる。チャンゴもあれから詮索することはなかった。

 なのに、今さら俺の私生活に首を突っ込んでくるとは……やはり疑っているということなのだろうか。

 女嫌いだとも言っていた。俺の女難の境遇ははたから見れば羨ましいのかもしれないが、まさかあいつが嫉妬するなんて……。

 まあいいさ。どうせ赤の他人だ。いちいち干渉しあうなど、愚の骨頂だ。

 あいつは他人の思考が視えるのだから、きっと誰よりもわかってくれるはずだ……

 それにしても、殴ってしまったのはまずかった。何故、あんなに腹がっ立ったのだろう。自分にもよくわからない……。

 俺は深く考えることを止めた。


 その日は優香が作ってくれた雑煮を食べてぼうっと過ごした。優香の部屋もカオリの部屋とあまり変わり映えはしなかった。若い女の部屋にしては何もない、さびしい部屋だ。

 優香がこの街にやって来てようやくひと月が経っていた。

 俺たちはあの日、互いの全てを吐きだした。これまでの生い立ち、経験、考え方、趣味嗜好、あらゆることを洗いざらい話し合った。

 仕事もせずに競馬の投資で何とかしたいというクズの考えに対しても、否定も同調もしなかった。

 否定されたところでどうしようもない。俺にはどちらでも良かった。

 殺風景な部屋に一輪の花が飾られていた。『君影草』とも呼ばれる白い花、鈴蘭だ。一番好きな花だと優香は言った。

 花言葉は「幸福の訪れ」「純愛」

 愛しい男の影にひっそりと生きる悲しい女、そんなイメージの花だ。そして猛毒を含んでいる。

 優香は何も言わない。俺たちが今後どうなってゆくのか、どうするべきなのか。何も求めず、問い質すこともなかった。ただ淡々と勤めに出て家事をこなし、俺に食事を作ってくれた。あれほどの残虐さで人を殺す女には到底見えなかった。

 俺はいつもソファの上で毛布にくるまって眠った。まだ一度も彼女の体には触れていない……当分、触れることはできないだろう。

 カオリのことがやはり気がかりだ。優香からは日々の様子を聞いてはいたが、実際この目で確かめたい。


 俺は正月気分の抜けたとある日、カオリが眠る病院へと向かった。危険を顧みず、どうしても会いたかった。それが大きな過ちだったとあとで知ることになる……。 



              続く




さて、今日の中央競馬の結果は。

中山第9レースが 3-12 で的中した。しかし8.4倍とまたしても本命筋の固い決着だ。

2,800円×8.4=23,520円

中山第12レースは残念ながら外れだ。


中央競馬総投資資金は308,340円から6,720円の微増、315,060円となった。

わずかながらでもマイナスを取り戻すことができた。まだまだだが……。

 明日からは南関浦和競馬が開催となるが、これまでの集計をまとめた結果、浦和競馬は残念ながらプラス計上になりにくいとの判断結果が出た。そのため、今週の南関競馬はお休みとする。

 次週、中央競馬三日間開催で大きく飛躍できるよう、準備をしようと思う。


 では、また。



            続く



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