第9章 転がる石のように 6
「俺は殺人者だ。行方をくらませ裏街道を歩き、人目を避けて生きるしかない。本格的な投資馬券と命を食いつなぐサバイバルの日々を綴ってゆく」
第9章 転がる石のように
1 最悪のどん底 その6
正月3が日を朦朧とした意識の中で過ごした。その間なぜかアリサは献身的な看病をしてくれていた。うつらうつらぼんやりとした頭で聞いた話しでは、ここK市は彼女の生まれ故郷なのだという。地元の高校を出て△△市に一人で就職したらしい。最初はデパートに勤めてそれからホテルや商社などを転々としているうちに自然と夜の勤めについた。ルージュには3年勤めたのだが仲の良かった優香が辞めてしまったためにぶらりと田舎に帰る決意をしたそうだ。久しぶりの故郷に舞い戻った時、偶然にも町なかをブラついていた俺を見つけたんだそうだ。
そして彼女は今、平成ホテルの同じ階、俺の居る部屋から三つ隔てた304号室にいる。この街に戻ってきたのはいいのだが実家に居場所はなかった。母親との折り合いが悪く、喧嘩して飛び出したんだそうだ。ここであらためて俺を見つけた。偶然のなせる運命を感じて、こうして看病してくれているのだというのだが。
「どう? 少しは楽になった?」
アリサはおかゆにゆで卵を作ってくれたり、みかんにリンゴ、バナナといった果物にタマゴ酒も作ってくれた。
「ああ。ありがとう。すまない」
いくら感謝しても足りないくらいだった。
時々成田も心配そうな顔をして部屋にやってきた。ビールや日本酒を置いてゆくのだが、さすがに飲みに付き合うことは出来なかった。
献身的に看病してくれる仮にも自分よりも若い女、アリサをありがたく思うしいくら感謝してもし足りないくらいだった。
それなのに実に申し訳ないことなのだが、もう少しスタイルの良い子だったらもっとなあなどと不謹慎なことを考えていたりする……いや、止めておこう。こんな状況の自分が何を贅沢なことを。馬鹿な……彼女だってただ親切で看病してくれているだけのことだ。それを俺は。なんて罰当たりなんだ。どん底の底の状況にあっても、無意識にいい女を欲しがっているだと。自分の思いあがりに心にほとほとあきれ、恐ろしささえ感じた。いったい何を高望みしているのだ。そんな余裕など微塵もないではないか。
4日目にはすっかり回復して起き上がり、歩くことも出来るようになった。
そうなると落ち着かないのはギャンブラーの性だ。
アリサと野村には丁重にお礼を言い、5日夜に新年会を開こうと約束した。
それまでは寝込んでいた分やることが溜まっているので、部屋に来ることを遠慮してもらった。競馬の予想に集中するためだった。
今年から競馬で身を立てることと、その準備を全身全霊で始めるつもりでいたのだから胸がはやる気持ちを押さえることは出来なかった。
2020年中央競馬初日の中山金杯で、今年初めの勝負をすると決めた。俺は競馬専門誌を買い込んで自分なりの必勝法タイムラップスター2を駆使して中山金杯の出走各馬をじっくりと検討した。
導き出した答えが軸馬は7番トリオンフだ。
あとにつづくのは2番ブラックスピネル、1番テリト―リアル、4番ノーブルマーズ、3番クレッシェンドラヴ、16番マイネルサーバスだった。 最後まで取り捨てに迷ったのが8番ウインクシードと6番マイネルハニーだ。
結果は8番ウインクシードが2着に入り馬券は飛んだ。
外れた馬券に惜しいも糞もない。とにかく今年最初の勝負は20,000円の負けだ。
これとは別に円月殺法パート3を駆使した投資馬券は2日間4レースに投資したのだが全て外れ。27,400円を失った。
今年最初の勝負は惨敗で終了となった。
ちなみに今後、毎週重傷1レースを2,000,000円を元手に勝負してゆく。次週の残金は180,000円だ。
一方、投資馬券は500,000円を元手にスタートとする。
次回は
500,000円-27,400円=472,600円
472,600円÷48≒900円
1点各900円の投資となる。
今週の勝負レースはシンザン記念とする。買い目は明日ブログにて発表しようと思う。
今週こそは初当たりと行きたいところだ。
続く




