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逃亡馬券生活   作者: 狂死狼
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第8章  かなしき口笛 30

「俺は殺人者だ。行方をくらませ裏街道を歩き、人目を避けて生きるしかない。投資馬券はいまいちだが、共犯者優香とのあらたなるサバイバルの日々を綴ってゆく」


⑶ 死闘の彼方


 その1


 さあ、極道のための極道による、極道野球のし烈な闘いの幕が切って落とされた!!

 その場所はO市営野球場。高校野球が開催されるそれなりの設備を備えた球場だ。よくも集まったものだといえる、約2000人ほどの観衆が集まっていた。観客のほとんどは極道者たちの関係者なのだろうが怖い雰囲気など微塵もなく弁当を広げ、缶ビールを片手にのどかに応援の態勢に入っていた。単なるピクニック気分のようでもあった。黄色い声援を送るグループもあった。おそらくは日頃互いのシマで稼いでいらっしゃる風俗嬢の皆さん方だ。

「ハーイどっちも頑張ってネー」

 この試合を主宰している警察側の代表であるシンちゃんは、黄色い声援に笑顔で手を振った。だがその笑顔には今にも力尽きるかも知れない命の儚さと、この世の理不尽さを恨むかのような怒りに満ちあふれていた。俺には痛いほどわかった。シンちゃんの最後になるかもしれないこの仕事=試合の全てを、最初から終わりまで、俺はしっかり見届けようと考えていた。

 シンちゃんは確かにこの街で根をはって生きていた。

 あれから方々に聞いた話ではシンちゃんはこの街で、暴対法の制定とともに荒んでいった裏社会の奴らをこれでもかというくらいに面倒を見ていたのだという。堅気になろうとした者もしっかりサポートし、この世界で生きると覚悟を決めた者にも親身に相談に乗ってやり、的確なアドバイスをしたという。警察という枠を超えた人と人との心の触れ合いを重視したのだ。

 俺の知らないところでシンちゃんは、確実にこの街の顔役になっていたのだった。それは警察と極道の垣根を超えたものなのだろう。俺にはとうてい不可能な神技に見えた。

 互いのチームのメンバー表が手渡された。出院監督はそれを見て渋い表情を見せた。


【ゴッド・ハンズ】

監督 奥村 竜也

1番 殿原 真二 :センター

2番 西 万作  :ライト

3番 バッテラ・スーシ・レアドン :ピッチャー

4番 テリー・ファンド・ジュニア :キャッチャー

5番 カルロス・デンジャー :ファースト

6番 長渕 津芳 :セカンド

7番 アントニオ 力動 :サード

8番 エレキテル 蓮伍 :ショート

9<番 卯巣裸 葉毛   :レフト</p>

控え 小田数正 井上要酔 矢沢平吉 吉田達郎 川島英六 尾崎不作  


【スーパーピエールズ】

監督 出院 寅之助

1番 狂死狼   :ライト

2番 天見 民治 :捕手

3番 伊藤 光  :ファースト

4番 星野 哲男 :ピッチャー

5番 間抜 伍作 :センター

6番 矢吹 直人 :ショート

7番 小倉野 桂馬:サード

8番 黒井 亜留与:レフト

9番 岩城 権造 :セカンド

控え ナカムラ 定正シン ミウラ しゃもん弟 ウサミ 


 あきらかにゴッド・ハンズのメンバーがおかしい。外人二人枠のルールを早くも無視しているのではないのか? 横文字の名前が5人も見受けられる。こちらはあえて外人枠を使わなかった。気の合う仲間だけで闘うことに決めたのだ。それにしてもバッテラにテリーとはなんだ。どこかで聞いたような設定じゃないか。バツとテリー……二人揃ってバッテリーだと、ふざけるな!!

 不穏な空気がすでにもうもうと立ちのぼっているかのようだった。

 開始前から早くも、嫌な予感は的中するのだった……



  続く

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