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サッカーの方程式

作者: さきら天悟
掲載日:2018/07/08

「見えたッ」

男は机の上のメモに『v』と『h』を書いた。


v     h


しかし、同時に日本の戦いは終わった。

終了間際、ベルギーの超高速カウンターを食らってしまったのだった。


「俺だったら優勝に導ける・・・」

と男は叫んだ。

ワールドカップ ベスト8をかけたベルギー戦、

ホイッスルの直後だった。

男は天才だった。

もちろん、サッカーではない。

天才科学者なのだ。



「そういうことだ」

そう言うと、彼はペンで『v』の字をコツコツした。

「だから、西野監督はポーランド戦でメンバーを変えたのか。

選手の疲労を取るために」

日本VSポーランド戦、

西野監督の作戦は日本中に物議を呼んだ。

主力メンバー6人の入れ替え、

そして、後半10分の戦い。

「v、つまり速度が重要なんだ」

『v』とは物理方程式に使われる速度の事だった。

「戦も同じだな。

信長の桶狭間の奇襲、

義経の鵯越。

機動力が勝敗を握るんだ」


今度は『h』をペンで差す。


「でも、高さ、hも必要だ。

セットプレーや守備で」


「でも・・・」

『v』に『^2』(二乗)を追記する。

「v、つまり速度の方がより重要なファクターだ」


v^2    h


「日本の戦い方を見れば明らかだ。

個々の能力が劣る日本人選手が、速度、運動量で補う。

そして、実際に補えた。

日本は世界に証明したんだ」


彼はペンを走らる。

そして、選手の能力の方程式を記述した。


P=av^2+ah


P:選手のポテンシャル

a:選手の能力(身体能力及び技術)

v:速度

h:高さ(身長)


彼はニヤリとした。

もう気づいた人はいるだろう。

物理学の運動、位置エネルギーの方程式に類似していることに。


E=1/2mv^2+mgh


ただこれでは、個人の能力の値であって、

試合の勝ち負けは表せない。


「フィールドプレーヤー、10人の力の差、

それが得点だな。

日本をPj、ベルギーをPb」


Pb=av^2+ah

Pb=av^2+ah


「シグマで・・・」


Σ(Pj-Pb)


「・・・で、時間で積分すれば良い」


∫Σ(Pj-Pb)dt


「そして、その答えが『0』以上なら日本の勝ち」


∫Σ(Pj-Pb)dt>0


「だから、スーパースターがいても負けたんだ。

速度、つまり選手の運動量がより試合に影響を与えるんだ。

前線、いや全選手のハードワークが、日本に良い結果をもたらした」


彼はそう言うと、

どうだ結論を導いたというキメ顔をした。


「でも、これは自分たちが相手より弱いという戦力分析が

チーム全体に浸透していたからだろう。

でも・・・やっぱり・・・」


「こういう献身さに

サッカーの神様は、ほほ笑んだのかな」





その後、彼は論文を完成させ、国立科学研究所に提出した。

彼はスポーツ関係団体に発表しても、

バカにされるだけだと知っていた。

しかし、二年が経ち、ワールドカップ・カタールの予選を勝ち抜いても発表されることはなかった。




2023年、日本サッカーに衝撃が走った。

日本サッカー協会は、外国人監督の招へいしないことを発表した。

ついに日本の悲願が。

実は彼の論文が極秘に研究されていたのだった。

そして、実証されていた。

U16、U19の世界大会で優勝したのだった。

監督の発表が告げられた。

彼の論文をもっともよく知るもの、

彼?

ではなかった。


AI、人工知能だった。

心配された意思疎通も良好だった。

小学生から勉強させられた英語より、

スマホでコミニケションの方が楽な世代になっていた。


そして、日本は2026年ワールドカップの優勝候補に名を連ねた。

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