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トラブルシューティングとドルフィンウォッチャー

 1月13日 1309時 ディエゴガルシア島


 2台のスイーパーが滑走路から離れていった。ハンヴィーが数回、点検のために滑走路をゆっくりと走行していき、やがて、誘導路を通ってエプロンの方に戻っていった。

「こちら整備班。滑走路の点検完了。飛行機を降ろしても大丈夫だ」

『こちらタワー、了解。ジョーズ01、離陸を許可する』

 S-3Bが誘導路から移動して、離陸していった。2時間近く待たされたため、途中でホットピットを受けていた。だが、それよりも問題なのは、上空で待機している戦闘機の方だった。


「一番燃料が少ないのはどれだ?」

 スタンリーはレーダーを確認した。航空機はやや遠巻きに飛んでいて、レーダーの覆域ギリギリのあたりにいるようだ。

「"ウォーバード8"ですね。先に誘導しましょう」

 リー・ミンはヘッドセットのマイクを調整した。


 1月13日 1311時 ディエゴガルシア島上空


 JAS-39Cが基地へと方向転換した。他の戦闘機も続き、島の上空でぐるぐると円を描くように飛びながら待機し始めた。

『"ウォーバード8"、着陸を許可します。ランウェイ13を使ってください。風は南東から2ノット、横風はありません』

「了解タワー。ジェリーたちは大丈夫だったの?」

『全員無事です。飛行機も燃えずにすみました』

「よかった。"ウォーバード8"、着陸する」


 1月13日 1317時 ディエゴガルシア島


 戦闘機が列を作って、基地へとアプローチを始めた。スタンリーは再び管制塔からエプロンへ出て、彼らの出迎えに行った。最初にJAS-39Cが着陸し、続いてMiG-29、F-16がアプローチを開始する。誘導路にはフォローミー・カーが待機しており、戦闘機の列を先導する。

「ぷひゅー、一時はどうなるかと思ったぜ」

 ジェイソン・ヒラタはF-16をタッチダウンさせると、誘導路へとタキシングさせた。誘導員(マーシャラー)がパドルを振りながら飛行機をエプロンへ向かわせる。ヒラタはバックミラーを見ると、タイフーンが後ろから付いてきて、ミラージュ、続いてフランカーがタッチダウンし、最後にF-15が2機編隊で着陸するのが見えた。

『みんな無事だな?デブリは早い所済ませて、昼飯にしよう』

 スタンリーが無線で戦闘機のパイロットたちに話しかけた。


 1月13日 1326時 インド洋上空


 モーガン・スレーターはMADとESMの画面を見ながらターキー・サンドイッチに齧りついた。彼らは、一週間のうち、約半分程度はS-3Bヴァイキングの機内で食事を取っている。

「MADに異常は無し。ESM、FLIRにも反応無し」

スレーターは4つの画面を順番に、注意深く見ている。時折、インド海軍やパキスタン海軍の潜水艦を見つけることがあるが、その時はパッシブソノブイを数個、投下して情報収集をしている。

「今日は真夜中に飛ばずに済みそうだな。あまりあんな時間ばかり飛んでいると、いい加減体内時計がおかしくなってくる」

 ロイ・クーンツは晴れた空を見上げた。北半球暦の上では季節は冬とは言え、この赤道直下の島には全く関係のないことであり、日差しが常に強く、サングラスは必須だ。

「おい。9時の方向、見てみろよ」

 副操縦士のバリー・ベックウィズが窓の左側に目をやって言った。すると、海面をイルカの群れが飛び跳ねているのが見えた。ベックウィズはバッグからキャノンの一眼レフカメラを取り出すと、数枚撮影した。

「おいロイ。もうちょっと近づけないか?」

「おう、いいぜ」


 S-3Bはゆっくりと高度を落として、イルカの群れの真上を低空・低速で飛び始めた。ベックウィズがレンズを向けて、シャッターを切る。天気の良い昼間の洋上パトロールの途中で見かけたクジラやイルカの写真を撮るのが、彼らの任務中の密かな楽しみだった。勿論、司令官には内緒だ。

「おい、バリー。もうちょっと近くで撮りたいか?」

 クーンツが振り返って、ニヤリと笑ってみせた。どうやら、海面ギリギリ近くまで飛ぶつもりらしい。

「そいつは最高だな」


 1月13日 1341時 ディエゴガルシア島


 午後からのアラート任務のため、Su-27SKMとタイフーンに空対空ミサイルと燃料を満載した増槽が取り付けられる。物資輸送のために飛来していた、航空運送会社のIl-76とA-400Mがタキシングを始め、相次いで離陸した。一番大きな格納庫では、先程トラブルを起こしたKC-130Rの大規模点検が行われている。一応、予備機もあるが、そればかりに頼ってしまうと、機材繰りの関係で、全く使えなくなっていまう恐れが出てくるため、なるべくメインの機材を使うようにしていた。幸いにも、機体に損傷は無く、消火剤と油を洗い落とし、剥がれた塗装の一部を塗り替えるだけで済みそうだ。


 スペンサー・マグワイヤは技術部のメンバーとともに、この輸送機を点検している。機体外板は勿論、フラップ、エンジン、ギアやアビオニクスまで全てにおいてだ。流石に、これだけ大型の輸送機となると一度に全部を点検し切るのは難しいため、数日間、数カ所に分けての点検となった。

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