表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/101

フレイムボール作戦-6

 2月19日 1228時 アルバニア・コソボ国境付近上空


 Mi-28の部隊が低空飛行しながらレーダーサイトを目指していた。上空ではEA-6Bが飛び回り、妨害電波を発しながら敵のレーダー誘導式地対空ミサイルの照準を封じている。ECMOが何度かレーダー受信装置やESMの作動画面を確かめてみたが、敵は完全にレーダーを封じてしまっているようだ。


 Mi-28のパイロットはレーダー波のベクトルのデータを頼りにターゲットへ向かっている。既にプラウラーの部隊からデータリンクでレーダー・サイトの場所は確認していた。ミサイル攻撃を避けるために、地面スレスレを飛行していた。

「見つけた。あと8マイル」

 WSOがデータリンクで更新された地図情報を見て言った。そして、携行式地対空ミサイルを持った敵がいないかどうか、キャノピー越しに地面の様子を確認する。

「レーダーロック・・・・発射!」

 9M120が連続して発射され、レーダー本体へと飛んでいった。ミサイルが命中し、大爆発を起こす。続いて、ロケットも数発発射され、回りの施設も破壊していった。

「こちら"ビートル1"、ターゲット破壊完了」

『"ビートル2"、こちらもターゲット破壊を確認』

「"ビートル隊"より"ゴッドアイ"へ。任務完了。帰投する」


 2月19日 1231時 アルバニア上空


 スタンリーはESM画面で敵の防空レーダーの電波が消失したのを確認した。ペーヤの南部を防御していた対空部隊の殆どが壊滅したようだ。これで航空部隊が心置きなく、地上部隊を援護できるようになるはずだ。

「"ゴッドアイ"より航空部隊へ。敵レーダーの脅威の消滅を確認した。これより、敵地上部隊を排除せよ」


 2月19日 1236時 アルバニア・コソボ国境地帯


 F-15Eが低空飛行しつつ、敵の機甲部隊の方へ向かった。F-15CとF/A-18Cがすぐ後ろを飛び、援護している。彼らは攻撃の第1波となる。そして第2波はSu-30SMが担う。援護するのはミラージュ2000CとMiG-29Kだ。航空部隊のうちの数個編隊は武器を使い果たし、補給のために基地へと帰還していた。上空を飛んでいるのは、最初に出撃した部隊のうち、4分の3程だ。


「"ウォーバード6"、ターゲットを確認。攻撃を開始する」

 F-15Eには12発のCBU-97が、Su-30SMにはRBK500が6発、搭載されていた。中身は対装甲子爆弾と対人子爆弾のミックスの構成になっている。このターゲットを攻撃するのは、"ウォーバーズ"とケレンコフの他、6つの攻撃隊が反復攻撃を行って、完膚なきまでに壊滅させる事になっている。


 セルビア陸軍少佐は、最初はアルバニア国境付近まで前進し、次の命令を待つよう指示されていた。しかし、次の命令を待っている間に、こちら側のレーダーサイトが破壊されたとの報告を受けた。司令部に問い合わせてみると、上もかなり混乱している様子で、なかなか次の命令が送られて来ない状況が続いている。

「クソッ、司令部のバカどもは何をやっているんだ?早く反撃しなきゃならんのに、状況の確認中、だと?待機しろ、だと?そうしている間にも、前線部隊はやられているんだぞ!」

「少佐!」

 通信係の軍曹がやって来た。

「何だ?」

「命令が来ました。ペーヤまで前進し、アルバニア軍を排除せよとのことです」

「くそったれどもめ!遅すぎだ!」

 だが、低空飛行する飛行機の音が段々と近づいてくるのが聞こえてきた。

「くそっ!敵機だ!」

「ミサイルはどこだ!?」


 F-15Eがクラスター爆弾を時間差をつけて4個、投下した。後ろから付いてきたSu-30SMはそのまま飛び去っていく。4つの爆弾は空中を暫く落下した後、4つに分割された外殻を弾き飛ばした。その直後、無数の子爆弾の雨が地上に降り注いだ。子爆弾は兵士を挽肉の塊に変え、車両を穴だらけにした。


 そこから数キロ離れた地点で、ジャック・ロスとデヴィッド・バークが爆撃の様子を高倍率のカメラで確認していた。このカメラは、昼間用光学・夜間用赤外線暗視・爆弾やミサイルの誘導にも利用できるレーザー測距儀と、3つの機能が備わっている。

「爆弾投下を確認・・・・・・ターゲットに命中。直撃だ」

 地上で花火が上がり、BMP-1やクルガネツ25が燃えているのが確認できる。

「"ゴッドアイ"、"ゴッドアイ"。こちら"オブザーバー"。ターゲット破壊を確認。引き上げる」

『"オブザーバー"、こちら"ゴッドアイ"。了解しました。迎えを寄越します』


 2月19日 1245時 アルバニア ティラナ・リナ空港


「さて、もう一仕事だ。行くぞ」

 シモン・ツァハレムがアパッチ・ロングボウのエンジンをスタートさせた。先程、燃料と兵装の補給を待っている間、軽く食事も取った。隣のヘリスポットでは、ブライアン・ニールセンとキャシー・ゲイツもCH-53Eの離陸準備をしている。見知った顔の地上整備員や誘導員が慌ただしくヘリの回りを走り回り、離陸前の最終チェックをしている。

「エンジン、異常無し。システムオールグリーン。行くぞ」


 アパッチ・ロングボウとスーパースタリオンが羽音を立てて離陸した。後は回収地点へ向かい、仲間を拾い上げるだけだ。だが、それには、確実な空中援護が必要だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ