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更なるターゲット-4

 2月13日 コソボ国内 1943時


 4機のA-10Cが戦闘捜索救難(CSAR)を援護するために低空を飛び始めた。その下では、HH-60Gが撃墜されたパイロットを探している。A-10の役目は、自走対空砲や地対空ミサイル、その他救難部隊の脅威になりそうな敵地上部隊を即座に排除することだ。そのため、2つの増槽の他には、大量の武装をぶら下げていた。が、いくらA-10が頑丈な飛行機であっても、対空兵器の餌食になりやすい、危険な任務であることには変わらなかった。

『"ルースター1"から"ナイチンゲール1"へ。レーダー警報装置に反応無し。引き続き警戒する』

「"ナイチンゲール1"了解。援護に感謝する」

 

「何機やられた?救助はどうなっている?」

 スタンリーが原田に訊いた。

「今まで5機が撃墜。3名のパイロットと連絡が取れません」

「我々の方は・・・・・まだ大丈夫か」

 モニターには"ウォーバーズ"の戦闘機の状況が表示されていた。どうやら、全て無事なようだ。スタンリーは正直、ワンが滑走路の破壊をすることになったので、ある程度の事は覚悟していた。が、最初の対空兵器の排除が功を奏したのか、撃墜されることは無く、無事、任務をやり遂げた。

『護衛機の交代です、司令官』

 機内マイクでハリー・トムソンが告げた。窓の外を見ると、先程まで自分たちを護衛していた4機のF-14Dがその場を離れ、代わりに見慣れた4機の戦闘機が近づいてきた。

「やはりあいつらを見ると安心するな」

 スタンリーは小声でそう言った。


 F-15CがE-737の右斜め前方の位置に付いた。左はユーロファイター、右はMiG-29Mが固め、後はSu-27SMが警戒する。

「"ウォーバード1"より"レッドテイル1"へ。援護に感謝する」

『こちら"レッドテイル1"。これより帰投する』

 他の"ウォーバーズ"の戦闘機とケレンコフは、一旦、兵装を搭載するために基地へ向かっていた。4機のF-14Dのうちのフライトリーダーが翼を左右に振り、その場から燃料補給のために帰投していった。

『"ゴッドアイ"より"ウォーバード"各機へ。燃料の状況知らせ』

「こちら"ウォーバード1"、そろそろきつくなってきました。タンカーを呼んでください」

『了解だ。ちょっと待ってろ』


 スタンリーと原田が航空機の管制をしている一方で、リー・ミンはESM/ELINTアンテナを使って敵の電子情報を集めていた。敵の秘話通信とその内容、無線周波数、レーダーの周波数等々・・・・・。味方に電子攻撃機がいるため、これらの情報は非常に役に立つはずだ。


 2月13日 コソボ国内 2001時


 4機のAV-8BハリアーⅡが今しがた爆撃した基地の上空を低く飛び回り、攻撃の評価を始めた。パイロットが暗視ゴーグル越しに基地の様子を目視して、どれだけの施設が破壊されたのかを確認する。

「こちら"ナイトホーク1"。警報装置に異常なし。基地の施設は・・・・・建物が潰れているのが確認できる。滑走路も穴だらけだ」

 ハリアーにはAIM-9MとAGM-65、増槽、アデン機関砲ポッドが搭載されている。彼らの仕事は、攻撃の効果を確認し、必用とあれば残った敵の車両などを破壊することだ。

『"ゴッドアイから"ナイトホーク1"へ。地上部隊を降ろしてもいいか?』

「"ナイトホーク1"より"ゴッドアイ"へ。問題無さそうだ。いいぞ」


 CV-22BやCH-53E、CH-47DがAH-64DやMi-28に護衛されながら飛んできた。ヘリには完全武装の傭兵たちが乗っている。彼らの役目は、この飛行場で何が行われていたかを調べ、占領することだ。地上からは戦車や装甲車を主体とした部隊も向かっている。コソボ亡命政府は、この飛行場を接収することを考えており、敵を制圧次第、ここを前方展開基地として造り変える計画だ。

「こちら"パイソン2"、空域の安全は確保できているんだろうな?」

 ブライアン・ニールセンが苛立たしげに言った。出動してからターゲットに向かうまで、かなりの時間、待たされていたのだ。そのため、途中、KC-130JやA-400Mから3回も空中給油を受けていた。更に、攻撃ヘリには空中給油機能が無いため、地上部隊が設置した補給地点に4回も離着陸する羽目になっていた。

『"ゴッドアイ"から"パイソン2"へ。今度は大丈夫だ。信用しろ』

「あんまりカッカしないで、ブライアン。怒っても何もいいこと無いわよ」

 隣で操縦桿を握っているキャシー・ゲイツが相棒をたしなめた。

「おいおい、俺たちにとっては死活問題だろ。敵が残っているかどうかは」

「それもそうだけど・・・・・そろそろ見えてきたわよ」


 飛行場にヘリがアプローチしてきた。アパッチやハヴォックが先に基地の上空を飛び回り、危険が無いかどうか確かめた。レーダー警報装置もミサイル警報装置も、何も言わない。

「"アナコンダ"より全機へ。いいぞ、ヘリボーン開始」


 オスプレイとヘリは飛行場の滑走路や誘導路の無い場所でホバリングを開始した。滑走路上にはトーネードがばら撒いた対人地雷が置かれたままなので、人が入ることはできない。彼らの目的は、建物の中に突入し、出来る限り焼け残った情報を持ち帰ることだ。

「おいおい、これで何か残っていると思うか?」

 兵士の一人が相棒に訊いた。

「俺が知るかよ。だけど、この分だと、すぐに調べ終わりそうだな」

 彼は燃え盛る格納庫や管制塔の方を見て言った。

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