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姉、嫁、俺  作者: 灰汁の天災
第一章 シゴー国、ロクシ街にて
2/8

2

とりあえずの二話目

サブタイちゃんと考えた方がいいのかな?

「んで?今日は何しに来たんだ?」

「さっき言ったじゃんか・・・親方達が今やってる仕事を見に来たの」

「私はもちろんその付き添いよ!」

「嬢ちゃんはわかりきってるっての。」

「リューリさんはまたアイディア探し?」

「ああ、皆がどんな事で困ってるとかが分かれば思いつきやすいからさ」

「そんなんで思いついたら皆発明家だろよ」

姉とは違った才能を見せつける弟にその場にいた全員がそう思った。

「俺は今はお前さんがこないだ持ってきたコンロの量産化する為の準備だな」

「親方はそういう事の方が得意だもんね」

「うるせぇ!」

「キミは?」

「あたしはおじょーさまの持ってきた術式の検査~全っ然うまくいかないけどね」

「ハッ倒すわよ!?」

「やめて~でも事実だし」

「この!」

「どうどう姉ちゃん」

「でも・・・」

「姉ちゃんのやつは姉ちゃんありきだからしょうがないさ」

「むぅ・・・」

「むくれるなって、姉ちゃんも俺の手伝いするつもりだったんだろ?」

「・・・うん」

「ならそれだけで十分だよ」

「リュウ・・・」

「はいそこ~人の工場でイチャコラしない~」

「してるつもりないんだが・・・」

「私はしてるわ!」

「はいアウト~」

「まあそれは置いといて」

「「置くな!」」

「今日までなんか要望とか来た?」

「え~っと・・・いくつかあるけど、聞く?」

「ああ」

「綺麗になった水を煮沸するのが手間」

「たしかにそうだな」

「埃取りが布を巻き込む」

「布には使えないって言ってあるんだが・・・」

「胃が痛い」

「医者行け」

読み上げるキミにリュウリは一つ一つ答えているが、割としょうもないものばかりである。

「少しは自分でなんとかしようとは思わないのかしら?」

「だろうな。坊主が作った奴は複雑そうに見えるから自分で触り辛いんだろ?」

「確かにね。リュウとあの女の作った術式は良く見ると単純な仕組みなのよね」

忌々しいような表情をしながらも、ナレアは弟達をしぶしぶ認めていた。

「それとね~鍋の焦げ付きなんとかして」

「おっそれはなんとかなりそうだな」

「相変わらずリューリさんの琴線はよくわからないね~」

「そうか?」

「そうだぞ?この場の誰も違いがわからん」

リュウリが顔を見上げると、周りの全員が首を横に振った。

「いや、姉ちゃんはいいとして他の連中は分かれよ」

「無理っすよ!」

「坊ちゃんの目線と同じにせんでくださいよ!」

「そんなんじゃいつまで経っても自立できんぞ?」

「「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」」

「あんまり若ぇのいじめるなや」

「つい」

「も~う、リュウったら♡」

「おじょーさまはリューリさんに甘すぎ」

「そんな事ないわ!」

「そうだな」

「親方も~?」

「甘いのは両方だ」

「ん?」

若手を使って鍋に細工していたリュウリは呼ばれた気がして顔を上げるが、姉が笑顔なだけだった。

「にしてもおじょーさま、また大きくなってない?」

「そう?」

「いや下着とかきつくなったとかあるでしょ?」

「私下にしか身に着けない主義だから」

「「「!?」」」

その場にいたリュウリ以外の男全員が反応した。男とは素直な生き物である。

「じゃあお嬢は今素肌にその服なのか?」

「そうよ、リュウの為でもあるし」

「なんでまた・・・というかそもそも坊主の為の服ってどういうこった」

「だって私が服着こんだらリュウを抱っこできないじゃない」

腰に手を当てて、さも当然のようにナレアは言ってのけた。全く当たり前ではないが。

「抱っこするからの意味がわからないんだけど?」

「だって私の胸の間にリュウの頭を挟むのよ?ちょっとした動きで擦れて痛いじゃない」

これまた当然だと言わんばかりの表情でナレアが答える。だから当然じゃないって。

「じゃあ何か?弟の為なら下着とか裸体を見られても平気だと?」

「ええ、貴方達が私を妄想の中でどう扱おうが私の知ったことでは無いし、興味もないわ」

「「「おぉ!」」」

「まあそんな虚しい事で満足するならね」

「「「くそぉ・・・」」」

美人に上げて落とされること程、男にとってショックな事はないだろう。

たとえそれが事実だとしても。

「若い男を誑かすのはどうかと思うよ~」

「そっちの勝手でしょう?」

「嬢ちゃんはもっと他人に興味持った方がよくないか?」

「持ってるわよ。ただそれがリュウに遠く及ばないだけ」

「そんなんじゃまたリューリさんに怒られるよ?」

「努力はしてるもの」

「やれやれ」

むくれるナレアにキミはわざとらしくため息をついた。

「つまり焦げ付きの原因は鍋についた肉汁とかが熱せられた結果だから、表面に一枚滑レアすい

 素材でも噛ませれば問題解決するんじゃねーか?」

「なるほど・・・熱に強くて滑る素材か・・・」

「後はお前らに任せるよ。その方が燃えるだろ?」

「おうよ!」

「一から十まで坊ちゃん頼りとは言わせねぇぜ!」

「せめて実物は俺達が作ってみせらぁ!」

「頼もしいな、おい」

やる気に満ち溢れた男共をリュウリは叱咤激励していた。

「さて、キミさん!」

「な~に?」

「姉ちゃんが作った術式見して」

「リュウ!」

「いいけどまず使い道が微妙だよ~?」

「いいからいいから」

キミが渋々術式をまとめた紙を持ってくると、リュウリは黙って考え始めた。

「・・・」

「~♪」

そんなリュウリをナレアは上機嫌で膝に乗せていた。しかも頭を撫でるオプション付きで。

「なんでお嬢は自然に、しかもいつの間にかあの状態になれるんだろうな」

「さ~?才能の無駄遣いってやつじゃない?」

相変わらずの性能と行動原理にキミ達は呆れるやら驚くやらだった。

「つまり姉ちゃんは水の無い場所でシャワーを浴びれるようにしたかったんだな」

「ええ!よくぞわかってくれたわ!何処かの寝坊助顔にはわからなかったみたいだけど」

フフンと勝ち誇るナレアにキミは不機嫌そうに見つめていた。

「それはなんとなくわかったけどさ、そんな魔力使うの一般的には使えないって」

「これでも少ない魔力でできるようにしたのよ?」

「おじょーさまと比べたらそうだろうけどね」

「ふむ・・・だったら足りない分は周りから貰う事にしよう」

いとも簡単に解決策を思いつくあたりこの男も大概である。

「いやいやいや、周りってったって空間に漂ってる魔力なんてたかが知れてるでしょ?」

「いや魔力じゃないよ。使うのは水の方」

リュウリの言葉にキミは首を傾げるしかなかった。

「水って・・・それが無いからその術式なんじゃないの?」

「前に言ったろ?空間の中には魔力だけが漂ってるだけじゃないって」

「言ってたけど・・・」

「まず本人が使う魔力を今の百分の一にして、その内の三割を水を作る術、もう三割を水を集める術、そんでもう三割を作った水と集めた水を増やす術にして、残りを制御に回せば行けそうだな」

「・・・・・・」

「てことでキミさんよろしく」

「いやいやいや、確かにそれぞれの術式は一応あるよ?でもそれをいっぺんに制御するなんて芸当、それこそおじょーさま並みの才能が必要っしょ?」

「いんにゃ、そんなもん要らんよ」

「はい?」

「いっぺんじゃなくて順番にやれば問題ないだろ?」

「順番?」

「水を作って、集めて、増やす。それなら魔力が少ない人でも簡単だろ?」

「むむむ、確かに・・・」

「凄いわリュウ!さすが私の弟ね!」

「姉ちゃんの弟ならもちっと身体能力欲しかったなぁ~」

「あら、私は今のリュウが大好きよ?」

「あんがとよ」

「ええ」

「だーかーらーナチュラルにイチャつくなってーの!」

再びラブラブし始めた姉弟に、キミがついに耐えられなくなった。

「いい?アンタらは普通なのかもしれないけど、相手がいない人にとっては苦痛なの!」

「キミさんお相手いないんだ・・・」

「それはそうよ、こんな男まみれの場所で術式弄るのが唯一の楽しみなんだから」

「黙れ駄乳」

青筋を浮かべたキミはナレアの胸を鷲掴みしようと素早く腕を伸ばした。

「触るな」

「イッタ!?」

しかしながら圧倒的に能力差のあるナレアに簡単に払われた。しかも手酷く。

「ちょっとは加減してよぉ・・・」

「私の身体はリュウ以外お触り禁止よ」

「なんか卑猥だな」

「そう思う坊主は結構興味あるんじゃねーか」

「否定はしない」

「まぁあんなのに毎日絡まれてレアキツイだろ?」

「ノーコメント」

「難儀だな」

そんなリュウリを男達は菩薩のような顔で慰めていた。

「少しは分けてくれてもいいじゃん」

「何をよ?絶対嫌だけど」

あっちはあっちでまだ言い合っていた。




この姉はアホですが天才という設定。

お嫁さんが出てくるのはもうちょっと後になります。

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