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騎士と魔女SS  作者: 来海
3/3

~小泉 雪 編~

日にちが空いて、すみません。


騎士と魔女SS第三弾!

今回はゆきの話です。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

私、小泉 雪は内緤高校の入学式の日、クラスメイトに恋をした。

彼の名前は前田 しゅんすけ。背がスラッと高くて顔もイケメンな男の子だった。


「前田 しゅんすけ です 。出身中学は山野中で、中学時代は帰宅部でしたけどスポーツは好きです。まずは一年間よろしくお願いします」


そう言ってニカッと笑った顔に胸を射たれた。

本当はその日のうちに話したかったけど、彼は学校が終わるとすぐに帰ってしまって、その日は何も出来なかった。


一週間経っても彼は休み時間は男子に囲まれ、帰りはすぐに帰ってしまうから、一度も話すことが出来ないでいた。


でもそんな私に女神は微笑んだ。


++++++++++++++++++++++++++++


高校に入学してから二週間が経った。今は放課後。

私は中学では演劇部をしていて、この学校も演劇部が強いと知っていたから決めたし、入学してから三日で部に入部した。

本当は他の一年生と一緒に見学した方が良いんだけど、私はもう入部しているので先輩達に混じって舞台に出ていた(もちろんエキストラでね)。

そんな時に彼は来た。


休み時間に話している男子達の内の一人と部活見学に来たようで、彼は興味深そうに稽古を見ていた。


そして、見学の時間が終わり、帰ろうと彼等が私の前を通ったとき、


「あれっ。もしかして小泉さん?」


と声をかけられてしまった。


「うん…そうだけど。前田君よくわかったね?」


上ずりそうになる声を抑えて私は聞き返した。


「あぁ、まぁ記憶力は良い方なんだよ、俺」

「へぇ、そうなんだ。… あのさ!どうかな演劇部。先輩達優しいし、楽しいよ。入らない?」


私が勇気を出してそう聞くと、彼は迷うように目を深く瞑った。


「あー、少し考えさせてくれない?あっでも明日も見学に来るよ。そしたら決める…かな」

「…わかった。良い返事待ってるから。…じゃあまた明日!」

「おう。また明日」


彼の後ろ姿を、私は見えなくなるまで見送った。


++++++++++++++++++++++++++++


そして、次の日の放課後


++++++++++++++++++++++++++++


「あっ小泉!言っていた通り今日も来たよ」

「うっうん。楽しんでってね」


昨日の宣言通り、前田君は見学に来た。


「今日は、よろしくお願いします」


…見たこともない女子を連れて。


「えっと。そちらは?」


背中に冷たい汗をかきながら、私は前田君に聞いた。


「あっそっか、二人とも初対面だもんな。…えっと、まずこっちは俺の小学生の時からの…友達。 ほらあんな、挨拶」

「…中村 あんなです。クラスは1ーBです。」


中村さんは黒髪長髪のおとなしそうな女の子だった。


へっへぇ。小学生の時からの友達…


思わず顔が引きつりそうになるが、 そこは渾身の演技力で乗りきった。


「で、こちらが今同じクラスの小泉さん」

「こっ小泉 雪です。前田君と同じ1ーAです。よろしく」


そう言って笑うと、彼女は無表情のまま言った。


「はい、しゅんすけがいつもお世話になってます」

「いや、お前は俺の母親かよ」

「嫌よ。こんな手のかかる息子」

「はぁ?そんなのこっちから願い下げだっ」

「あの!!」


喧嘩が始まりそうになり 慌てて止めに入ると、二人とも一斉にこちらを振り向いた。


「あっ、えっと。もう劇が始まるから座った方が良いんじゃないかなぁ、 なんて」


冷や汗をかきながら答えると、二人とも冷静になったようで、私に謝りつつ席に座った。


・・・・・・


劇が始まっても、私の頭の中は二人のことでいっぱいだった。


二人は本当に友達なのかな。付き合ったり…してないのかな。名前で呼び合うほど仲が良いみたいだし…あぁもう、わけわかんない!


そう内心、頭を抱えて悶えていた。


・・・・・・


劇が終わった後、先輩達の片付けを手伝いながらチラリと前田君と中村さんを見ると、何やら話していた。 よく見ると、中村さんは無表情のまま少し頬を赤く染めていた。

私は慌てて二人の会話に耳を集中させる。


「どうだった?」

「すっ…」

「す?」

「すっごく面白かった」

「だろ?楽しそうな顔してるよ」


えっ?あれが楽しそうな顔!?


私は耳を疑った。


「ハハッ。いつも思うけど、よくわかるね」

「そりゃあまぁ…長いこと友達やってるし?」

「あぁ、なるほど」

「でもまぁ、こんなに楽しそうなあんな、はじめて見るかもな」

「うん?そうなぁ。…そうかもね」

「連れてきて良かった」


そう言った前田君の顔は、本当に嬉しそうだった。


「ハハッ。連れて来られて良かったよ」

「あんなはどうする?入りたいか?」

「うん。入りたいっ!」

「そっか。俺も面白そうだと思ってたし入るわ」

「じゃあこれからもよろしくね。 しゅんすけ」

「おうっ!!」


そう言って彼はニカッと笑った後、私を呼んだ。


「小泉さん!ちょっと」

「…何?」


私は声に棘が含まないように気を付けながら答えた。


「俺達二人、入部したいから部長さん呼んできてくれないかな」


…そしてこの日、前田君と中村さんは見事演劇部に入部した。


++++++++++++++++++++++++++++


あの日から早二年と少しが経ち、私達三人は良い友人関係を築いている。

結局部員は私達三人しか入らないし、恋して一ヶ月でしゅんすけの、 あんなに対する溺愛ようを知って失恋するし(今となっては黒歴史)で散々だったけど、その代わりに私はかけがえのない二人の友達と居場所を得たのだった。


・・・・・・


そして私達三人、最期の

支部大会当日。

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