名無つ歌 ‐ななつうた‐
俺の高校には、ちっぽけな祠がある。
夏休みが始まって数日。
俺達は、うっかり祠の鏡を割ってしまう。
そこから、全てが狂いだした。
部活動のざわめきと、蝉の声が遠くに聞こえる中庭で、俺は例の祠の前に立っていた。
九月に行われる文化祭の、下準備をするためだ。
俺達のクラスは、この高校の七不思議をめぐる、スタンプラリーを出しものにする事が決まっている。
この祠は、そのスタート地点である。
文化祭の成功は、もうひとりの実行委員若葉と、我らがクラスのアイドル、委員長にかかっているだろう。
幼馴染でもある若菜とは、なんだかんだで、幼稚園からの腐れ縁だ。
皆が祠の前に集合した時、それは起こった。
突然、空の無い奇妙な空間に入り込ん でしまった俺達六人。
不気味な黒い影に取り込まれ、ひとり、またひとりと消えていくクラスメイト。
祠に伝わる『七つ歌』の謎を解き、元の世界に戻る事が出来るのか?
全七話構成
なろう公式企画「夏のホラー2014」参加作品