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小谷静香の俺様なヤツ。

~静香~


私の彼氏は、ちょっと問題アリなんだ。


「おい、サルのギャグを明日まで考えて来い」

「サルのぉ?サルが去る。みたいな?」

「さむッ!お前今の正気かっ?」

「いや、ギャグを考えろっていきなり言われても。なぁ、小谷」


「えっ?あ、あぁ。うん。そーだね」


私の彼のパシリである野ノ村遼平(ののむらりょうへい)(自分ではパシリだとまったく気づいてないみたい)にあわせる。


「サルが去るでも別にいいんじゃない?」

「ダメだ。それじゃすぐに負ける」


勝負系が大好きな彼――――王野勇樹(おうのゆうき)は拳をにぎりしめながら、


「勝たないと、明日合コンに連れて行かれる」

「ゴーコンッ!?」


野ノ村君が大げさにリアクションをしつつ私の顔を見ながら、


「それは・・・・・・大事件だな」

「別に、私のことは気にせず行って来たら・・・・・・」

「却下。俺はお前しかいらないのにわざわざあんなとこに行きたくない」


じゃあ考えとけ。と、野ノ村君に言い、勇樹は私の手をにぎりしめて歩き出した。


~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*


「なに頼む?」

「う~ん、じゃあ、私はジャスミンティーで」

「ケーキは?モンブランとかいらねーのか?」

「今ダイエット中なのよ。おなかの肉がちょっとね」


落ち着いた感じのカフェで、私達は向かい合わせで座っていた。


「別に、お前はダイエットしなくてもやせてるし可愛いよ」


素面でそんなことを言える勇樹。

親友の佳奈(かな)いわく、

『あいつは、最強の自己チュー野郎で、最強の俺様で、最強のドSさんで、最強のツンデレ馬鹿。あんなに優しい微笑を浮かべるなんて、静香(しずか)の前だけだよ』

だそーで。


「じゃあ、ショートケーキ1つと、ジャスミンティー2つ下さい」


付き合い始めてから知ったこと。

勇樹は、こどもっぽいものが好きだということ。

特にショートケーキは大好物なんだけど、学校では、

『はぁ?ショートケーキ好きだとかありえねー!5歳かお前』 

とかって言ってる。

あの時は笑いをこらえるのに必死だった。


学校ではそんなだけど、私の前では優しい。

だから、ずっと好きなんだよね。


「そういやぁ、野ノ村もそろそろ独り身ってのがかわいそうだよな」

「あー、そうだね。あのルックスだとモテなくはないと思うけど・・・・・・」

「え?あいつ女から見てイケメンなわけ?」


野ノ村君は、いつも勇樹のそばにいる。

風見学園の三大美男子の1人である勇樹の隣にいれば、結構なイケメンでも輝きがなくなっちゃう。

勇樹は、カッコいい。

ルックスも性格も、魅力たっぷり。


と、ブーッブーッと制服のポケットで携帯が震えだした。

画面を見ると、


『メール受信:桜井(さくらい)佳奈

 デート中ごめん!家のカギ忘れてファミレスで1人待機中。デート終わったら静香ん家行かせて!

 ☆KANA☆』


「1人で待機って・・・・・・」


佳奈は美人な方だから、男性に絡まれる可能性が高い。

一回、1人でコンビニにいたときに絡まれたって言ってた。


「勇樹、ごめん!ちょっと急用が出来ちゃった!またね!」

「えっ?あ、ちょっ、静香!?」


私は、超特急で学校の近くのファミレスに向かった。


~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*~~~*

~勇樹~



「お待たせいたしました。ショートケーキとジャスミンティーでございます」


店員が、もういなくなった空っぽの向かいの席に、コップを一つ置いていく。


「何だよ急用って。あんなに急ぎやがって」


「急用ってのは、急ぎの用事という意味だから当たり前じゃない。脳みそ入ってる?」


声をいきなりかけられた。

顔を上げると、


「枝野!」

「なにおどろいてんの。すっげーその顔キモイ。やめて」


枝野(えだの)マキ。ウワサによく聞く。超クールビューティーなおかつとんでもない冷血女。

すごい美人だが、とにかく口が悪い。

俺のタイプじゃない。


「静香ちゃんに逃げられたの。哀れね」


と言いつつ笑っている枝野がかなりムカつく。

しかもちゃっかり静香の席にすわりやがった。


「てめぇはなんでここにいる」

「どこの人間があたしがこのカフェに来ちゃダメって決めたの?そいつのことぶん殴るから教えて」

「・・・・・・」

「あっ、すみません、ガトーショコラ一つ下さい」


なんか勝手に頼んでやがる。


「うわっ、ショートケーキ・・・・・・。クッソキモイわーあんた」

「黙れハゲ」

「はぁ?ハゲ?あんた頭ヘーキ?あたしの頭見えてる?どこがハゲか30字以内に簡潔に答えなさい」


くそ、こいつとしゃべってるとイライラが止まらねぇ。

がむしゃらにショートケーキを食っていると、


「ちなみに、あたしのガトーショコラもあんたのお金だから。マネーマネー」

「はっ!?」

「あたしは静香ちゃんの代理。

 カフェでなんか飲み食いしようかと思ってたら財布に10円玉二個しか入ってなかったかわいそうな静香ちゃんの代理。

 払ってね☆」

「払うか!」

「じゃあ、学校であんたの好物がショートケーキだって言ってあげる。写真つきで」


カシャリと音が鳴ると同時に、枝野の携帯の画面に俺とショートケーキの画像が写った。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・払います」


お見事!と言いつつ、枝野はケーキを食う。


「そういえば、お前今日春斗フッたんだろ?」

「だからー?」

「あんなイケメンを泣かすなんて怖い女だなーって」


ピクリと、枝野の眉が動く。


「イケメンとかどうでもいい。つかこの世に存在しなくていいからマジで。

 もっちあんたも。イケメンといるとヘドが出る」

「じゃあ、今へドが出そうなのか」

「えーかなり」

「じゃあ何でここに座った」

「金欠じゃなかったらあんたのこと無視してるから。利用してるだけよ」


あ。


「それに静香ちゃんに誤解されるのもヤだし・・・・・・なに人の顔見て笑ってんの。ゲロキモ」

「いや、なんでもない」

「うわなんだこいつなんでもねーのに笑ってやがるつか笑顔キモ!」

「うるっせーよ。フハハッ!」


なんだよ、お前、かわいいとこあんじゃん。


辛口なこと言ってるけど、ほっぺにクリーム付けてやがる。

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