木村里穂の幼なじみなヤツ。
~里穂~
「ねーねーっ!特大サイズのニュース見つけたよっ!」
「って、ミカに言われても信憑性ゼロ~」
「でもさ、聞きたくない?特大サイズなんだし」
朝、風見学園に来ると、うちの友達はガールズトークに花を咲かせていた。
「ほら、里穂も聞きなよ!」
「あいさー!」
小走りで、3人グループの中にいれてもらう。
いつでも一緒にいる友達。
「昨日ね、富永春斗が告白したらしいよ!」
「えーっ、ウッソマジで!?」
「待った待った。誰に?」
「それがねぇ・・・・・・枝野マキだってさぁ!」
「キャァッ!あの超クールビューティーに!意外とやるぅ!」
「でも、結果丸見えだわさー」
枝野マキ。
この学校で一番美人なんじゃないかな。
でも、彼女にはいろいろとデメリットがある。
『口が悪い!性格サイアク!そして告白した男子には、とんでもない罵倒を浴びせながら背を向けて帰っていくのが彼女流のフリ方!!!!』
クラスが違うから話したことないけど、なんかおもしろそうなんだよね。
「あ、ウワサをすれば富永ご登場~」
くっらーい雰囲気の富永。
富永春斗は、この学園の三大美男子の一人。
結構いつもは明るいし、下ネタ言いまくりだから、こんなに暗いとこみたの初めて。
「なになに?お前、枝野にフラれたんだって?」
・・・・・・・・・・・KY男。
富永に笑いながらそういったのは、うちの幼なじみの向井皐月。
幼稚園からずっと一緒で、なんだかんだ言ってまだ仲が良かったりする。
「ちょっとサツキ!あんたもっと空気読みなさいよ!」
「なんだよ朝っぱらからうるさいなぁー。勇者は称えるべきだろうが。
はいみなさん、このイケメン勇者さんに拍手~」
パチパチパチ!!!!と、盛大な拍手が教室中から巻き起こる。
富永、泣きそうなんだけど。
「里穂以外の優しいやつはお前を慰めてるんだ!元気出せ!なっ!」
「ちょっ、サツキ!うちだって、」
「おうっ!木村以外の優しいやつ、ありがとうなぁ~」
ウォーッ!と、男泣きをする富永を横目に、サツキをにらむ。
「なんだよそのヘビみたいな目は。俺、石になりそうなんだけど」
「なっとけ勝手に。つか人をメデューサにするなぁ!!!」
「まぁまぁ。
あ、そうだ。今日、お前んち行くわ。おばさんに夕飯頼んどいて。
アルバイトあるから、7時くらいに行く」
「わかった」
サツキの家は共働きで、小さい頃からよくうちでご飯を食べていた。
それがこの歳になっても続いているっていうのが、不思議だ。
キーンコーンカーンコーン―――・・・・・・・・・・
チャイムが鳴り、みんなが椅子に座る。
うちも自分の席に着きながら、ため息をついた。
なんで、あんなヤツが、うちの幼なじみなんだろうか。