世界救済
二○世紀最後の夜。
地上に姿を現した神は、人間にこう告げた。
終わることの無い争いと、終わりを約束された絶対的な幸福。
双方を天秤にかけたとして、人間はどちらを選ぶか。
神は歎いた。
大きくは国と国。 小さくは人と人。 規模の違いがあるとは言え、今の人間は常に何者かと争いあっている。
神は、そんな無益な争いを続けさせるために人間を創造したのではない、という。
神は、争いの無い平和な世界で人間が何に生きるかを見たいのだ、と。
形あるものは、満月が欠ける様に必ず滅びるという。
形定まらぬものは、潮の満ち引きの様に栄枯を繰り返しながらも滅びる事はないという。
人間は後者であり、醜い争いで盛衰を繰り返しながらも、滅びる事だけは無かった。
しかしそれでも、人間は満たされぬ欲求のためだけに、争いを続けている。
それは、とても嘆かわしい事だった。
神は問うた。
これまでの様に、醜く辛く、しかし滅びの無い世界を望むか。
これからの時代は、清く正しく、しかし必定の滅びが待つ世界を望むか。
人間は、どこまでも醜く浅ましく、強欲で貪欲だった。
人間は今まで一度たりとも満たされた事の無い世界を満たすため、滅びの待つ幸福を神に要求した。
そして――――――
――――――神は、世界を『救済』した。
ここまでお読み頂き、誠にありがとうございます。
って、まだプロローグですけど(汗)
拙い文章ではありますが、僅かにでも楽しんで頂けたら幸いです。
のんびりまったり更新していきますので、どうぞお付き合いください。
P.S.
『にじファン』の方で、『brother』と名乗り活動中です。




