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鏡に映る悪魔  作者: 酒池肉林


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第一話 趣味

「おりゃあああああああ!」

思いっきり振り抜いたパンチが目の前の異形の存在にクリーンヒットする。

同時にその人ならざるものは木っ端微塵に消し飛んだ。

これで今日何体目だ、、。

流石に多すぎる。

現世に下位の悪魔や悪霊が流れ込んでいるとは聞いていたが、ここまでとは思わなかった。

ただ文句を垂れていてもしょうがない。

あの頑固親父は数匹(はら)った程度じゃ絶対うちには帰らせてくれない。

「どうしたもんかなぁ、、」

その時だった。

「ーー貴様!何者だ!!」

殺気と警戒心を伴った声。

気がつくと俺は赤い髪の女に剣を向けられていた。



この世界には3つの領域が存在する。

人間族が住む現世。

天使族が住む天界。

そして悪魔が住む魔界。

これら3つの領域はそれぞれが大きく干渉し合うことのなくまるで並行世界のような関係にある。

ただ昨今、現世に魔界から下位の悪魔やそれよりさらに下位の存在である悪霊が大量に流出しておりそれがこの世界において一つの大きな課題となっていた。

「と、いうわけだ。今回お前にはこの現世に流れて人間族に危害を加えるくだらん奴らをはらってきてもらいたいのだ。」

ここだけ聞いた人はまるでお願いをされているように聞こえるかもしれないが、決してそんな拒否権のあるものではない。

今俺の目の前にいる立派な髭を蓄えた大男はその名を()()という。

決していい年した痛々しい厨二病なんてわけではなくて魔界を統べる歴とした魔王なのである。

そんな魔王にお願いという名の命令をされた俺は魔王の一人息子であり本来なら可愛がられて超過保護に育てられるべき存在だ。

というかそうじゃないのがおかしい!こんなことならこの家に生まれるんじゃなかった!

そう心の中でぼやきつつ

「でもよ親父、俺一人で現世で生活なんてできっこないぜ!どう考えても2日で餓死する自信しかねぇよ。」

「安心しろバカ息子。お前みたいなのを一人で行かせるわけがないだろう。お前の教育係のガイルと、身の回りの世話をできる娘に付き添わせる。」

そう親父が話すと

親父が若い時から親父に使え、俺の教育係をしてきた白髪の上位悪魔とメイド服の小さな悪魔娘がぺこりと頭を下げる。

もう俺以外には話が通ってるみたいだ。

さすがは親父、最初から俺に拒否権なんてなかった。


そんなわけで何日かで支度と現世についての勉強をして準備を整えた。

と言っても現世の流行り、特に漫画やアニメなんかは魔界でも人気なので現世の情報というのはすでに魔界でも一般的なものであり、特に新しい情報があるわけもなくほとんどおさらいのような内容だった。

そしてあっという間に準備が終わり、禍々しいゲートへ向かう。

基本的に現世との行き来は禁止されているため厳重に警備されていてその道のりは絶妙に長い。

何だかソワソワするので気を紛らわそうと口をひらく。


「なぁ、確認なんだけどゲートって誤作動とか起きないの?」

「そうですな、、、」

俺の質問に答えるのは白髪の上位悪魔ことガイルだ。

「今までのデータからすれば平均して半分の確率で体が跡形もなく消え去ります。」

「ダメじゃねぇか!!」

「心配に及びません。それは下等な魔族も含めた全体でのデータです。我々上位の魔族の絞れば99%無事に通過できております。」

「・・・・残りの1%は?」

「祈りましょう。」

「終わった、、、、。」

それを横で聞いていた現世での世話係を務める小さい魔族のメイド娘が震えていた。

この娘の外見が幼いためか、俺のせいじゃないのにとても悪いことをしてる気分だ。

「おいガイル、この娘は大丈夫なのか?」

「ふむ、、、。大丈夫、とは言い切れませんな。上位の魔族ではありませんから。」

「おい、俺嫌だよ。現世についたら一人消え去ってるとか。」

「では坊っちゃまが今この娘に名前をつけてやればよろしいのでは?」

「なるほど、その手があったか、、」

元来も魔族には固有の名前を持つという文化がない。

ただ長い年月を経て今では魔王による名付けの儀式が年に数回行われ、上位の魔族に限り名前を持つようになっていった。つまり名前があるかどうかでその魔族が上位かどうか判別できるとも言える。

逆に下位の魔族でも名前をつけてもらうことである程度の力を持つ。

本来なら親父である魔王のみが行えるものではあるが、俺はその息子であり次期魔王に当たる。そのため親父ほどではないが魔族への名付けとそれによる能力向上バフを与えられる。

「よし、お前もそれでいいか?」

俺の問いかけに魔族の娘は必死で頷く。

「そうだな、、、お前の名前はフィナだ。」

特に何の根拠もないが、即興にしてはまずまずの名前だと思う。

俺が名付けると同時に娘の体が眩い白い光に包まれた。

「ほう、白い光ですか、、。魔王様の名付けでは黒い光に包まれるのですが、親子でこうも違うとは。興味深い、、」

「あぁ、親父にも理由はわからないらしい。」

そうしてガイルと話している間に娘、フィナの名付けが完了した。

「お前、、なんかめっちゃ成長してないか?」

先程まで小さい子供のような姿であったフィナは、現在メイド服がはち切れんばかりの悩殺ボディのおねいさんになっていた。

「坊っちゃま、名付けしていただきありがとうございます。私フィナ、誠心誠意お世話させていただきます。」

「なんか饒舌に話せるようにもなってない?」

「おそらく名付けによるバフでしょうな。」

俺の質問にガイルが答える。

肩膝立ちでそう告げるフィナはさっきまで来ていたメイド服ではサイズが合っていないため中々に際どい服装になっていた。そんな格好で肩膝座立ちだと目のやり場に困る。非常に困る。けしからん。ありがとう。

「お、おう。現世ではお前が頼りだ。頼んだぞ」

「はっ!」

屈託のないその笑顔に溢れんばかりの罪悪感を感じていると

「では坊っちゃま、そろそろ向かいましょうか。」

そんな俺の胸中を見透かしたガイルが話を戻してくれた。

「そうだな、これでフィナも消え去ることはないしな。」

そうして俺はガイル、フィナと共に現世へと赴いた。


「現世に着いたのか、、?」

ゲートを潜り抜けた先にあったのはどこかの部屋だった。

「ここが我々が現世で活動する上で拠点となる屋敷です。」

古びていながらも今までしっかり整備されていたことがわかるそんな屋敷だった。

「こんなにあっけないとはな。もっと体に負荷がかかるかと思ってたぜ。」

「魔王様も初めてゲートを通られた時は同じことをおっしゃっておりました。」

「おい、親父が初めてってガイルお前何歳だよ、、。」

親父の教育係までしていたと噂の上位悪魔ガイル恐るべし。

「では坊っちゃま、私はこの屋敷を隅々まで掃除して参ります。」

「あぁ、頼んだ。」

そう言い残してフィナは大掃除に取り掛かった。

知らない屋敷で、しかも目の前でフィナが大掃除をしいている中くつろぐというのも居心地が悪い。

「ここにいてもやることないし、ちょっと散歩してくるよ。悪霊たち見つかるかもしれないしさ。」

「そうですね、それがよろしいかと。では私は一応屋敷に結界でも張っておきましょう。」

そう言い残してガイルも部屋を出ていった。


現世は広い、そうそう簡単に悪霊どもも見つからないだろうと思っていたが、、

俺の目の前を悪霊が素通りしようとしていた。

「あ。」

そんな俺の言葉に反応して悪霊がこちらを確認する。お互いに目が合い少しの気まずい時間が流れていく。

そして悪霊は慌てて逃げ出す。

無理もない、魔界にいるはずの魔王の一人息子と現世でばったり出くわしたのだから。

ただ俺もこいつらを祓うために現世に送り込まれている。

ただの悪霊なんかに速さで遅れをとるわけがない俺は猛スピードで回り込み、渾身のパンチをお見舞いした。

そこからも何度も悪霊を発見し、見つけては追いかけてパンチ。

ただひたすらにこれを繰り返していた。


ここで話は戻る。

「ーー貴様!何者だ!!」

俺は何故か赤い髪の少女に剣を突きつけられていた。

「先ほどから霊の反応が不自然に消滅しているので不思議に思い駆けつけてみれば、一体誰だ貴様は!」

まずい、流石にここで魔王の息子などと人間に言えたものではない。

さらに言えば仮に正直に話したとて信じてもらえるものでもない。

やばいやつだと思われて余計に怪しまれる可能性だってある。

何とかしなければ、、。思い出せ、現世の知識を。できるだけ自然で納得してもらえる説明をしなければ。

「お、俺は、、()()()()()退()()をやっているものだ。」

そういや昨日はワン◯ンマンを読んだんだっけ。

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