第四話:過去、そして運命
新年あけましておめでとうございます!
ここ数日は部屋の大掃除とかで色々あたふたしてました
そしてなんとか四話を作り終えることができて少しホッとしました
転生幽霊四話
食後、イヴの自室にて。ファマとイヴが話をしていた。
何時もであれば、イヴが将来冒険者になって旅に出る話や、
明日は何をしようと言った他愛もない話になる。
――だが、今回は違った。
部屋は暗く沈んでいる。いつもはそう感じないのに今日だけは特に強く感じてしまう。
「今日は凄かったな」俺がそう言うとイヴは小さく頷いた。
少女の目や鼻は少し赤くなっていた。
「パパがあんなに怒ってるの初めて見た。すごく怖かった。でも」
少し考えて、というよりも思い出したように彼女は
「悲しそうだった。」と続けた。
目の前にいるこの少女はどこまでも健気だった。
俺があの怒号を聞いていた時、正直死ぬかと思った。それほどまでの迫力だったのだ。
それをこの子は「悲しそう」と言えてしまう程に優しい。
部屋は静寂に包まれたまま。外からは月の光が差し込んでくる。
「私がね、なんで冒険者になりたいか教えてあげる」
少女に月の光が差し込んだ時、彼女はそう言い放った。
月の光に照らされた少女の顔はとても美しく、
銀色の髪が、天の川のように煌めいた。
俺は心がざわつき、思わず自然と彼女に耳を傾けた。
「私がね、本当に冒険者になりたい理由はね、世界を見て回りたいの。」
いつもと話す内容と同じなのに、今日は意味が全く違って聞こえてくる。
まるで何かを悟っているように。
「みんながね、私の事病気って言ってくるんだ。でも本当は違うの。」
確かに、ずっと不思議には思っていた。
すると少女はこう言い放った
「私ね、呪われているんだ。」
俺は驚いた。しかし同時に腑に落ちた。
病気と言われている彼女が、なぜこんなにも元気に走り回れているのだろうと。
理解ができない俺を横目に彼女は語りだした。
三年前
「お兄!こっちだよ!」「待ってよ!イヴ!」
オリス村の草原、楽しそうにはしゃぐ兄妹がいた。
いっぱい走って、転んで、笑って。
気づけば空はオレンジ色に染まっていく。
二人そろって泥だらけで帰っていく。
「「ただいまー!」」ドアを思い切り開けて、元気よく家に入っていく。
「おかえりなさい。あんた達泥だらけなんだから先にお風呂入ってきなさい。」
母親の話を最後まで聞くまもなく、兄の手を引っ張って、その勢いのままお風呂に直行していく。
廊下を走ってると大きい何かにぶつかる。
「おう!お前ら本当に元気がいいな!」父親だった。
体からは少し湯気が出ていて、いい匂いがした。
「パパただいま!」満面の笑顔でそう言うと父親は、
綺麗にした体や服で躊躇なく二人を抱きしめた。
「おかえり!風呂入ったら今日何があったか聞かせてくれよ!」
そうして二人を風呂場へ送っていった。
「明日は何しようかな?」お風呂でイヴがそう呟いた。
兄が「川へ行くのはどう?」と聞くが「川は前にも行ったしいいや」と断った。
すると妹は思い出したように「そういえば森には行ったことないわ!森に行こう!」
そう提案するのだが、兄は「ダメだよ。森は危ないって母ちゃんと父ちゃんも言ってたよ」と制する。
妹が少し不貞腐れ「お兄の意地悪。」というと兄は「言ったな~?」と言い妹をくすぐり始める。
そしてくすぐり合戦が始まろうとしたとき「もう出なさい!夜ご飯ができるわよ!」と母の声が聞こえてきた。
そうしていつも通り、ご飯を食べ、またじゃれて、そして寝る。こんな日が当たり前のようにずっと続いていた。
あの日までは。
いつも通り、イヴと兄が外で遊んでいる。
「お兄!今日は森に行こう!」とイヴが言い出した。
いつも通り兄は制する...が今回はイヴも引き下がらなかった。
危ないのは分かってはいたが好奇心が勝ってしまったのだ。
「じゃあお兄はついてこなくてもいいよ!私一人で行くもん!」
そう言って一人で森へと入っていってしまった。「待って!」とその背中を兄が追う。
「イヴ、待ってって。本当に危ないから戻ろう?」そう兄は言うがイヴは聞く耳を持たない。
暫く歩くとひらけた場所に出た。まるで何かがあったかのようにそこだけが日の光が差し込む。
「ここ、凄くきれい!しかも来る途中も全然危なくなかったし本当は嘘なんじゃないの?」
そう言うイヴを見て「確かに」と納得してしまった。
道中特に襲われることもなく、木々の隙間から入り込む日差しはとても綺麗だった。
「もしかしてここを独り占めしたくてナイショにしたかったのかも!」
「そうなのかなぁ」と兄が呟くが、「絶対そう!」と信じてやまないイヴを見てすっかり信じてしまった。
「じゃあ、今日からここが私たちの秘密の場所ね!」そう笑顔でイヴは言った。
それから来る日も来る日もイヴと兄はそこで遊んだ。
兄もここが危険な場所だという認識もすっかりなくなっていた。
しかしとある日
その日は局所的な激しい雷雨だった。
窓を見ながら「今日は雨かぁ...」とイヴが落ち込んでいる。
「晴れたらさ、またあの森に行こうよ。そして秘密基地を作ろう!」
兄がそう励ますとイヴの瞳が輝きを取り戻した。
どんな秘密基地を作ろうか兄と話していた時
『ドカーーーーン!!!!!!』凄く近くで雷が落ちたのだ。
これにびっくりした二人は泣き出してしまった。
「おう!大丈夫か!?」と父親がすぐ駆けつけ、抱きしめた。
そして安心してさらに号泣する二人。
泣きつかれていつの間にか寝てしまった。
次の日には晴れ、兄妹はいつも通り森へ向かった。
いつものひらけた場所に出ると、そこには赤黒い柱状の鉱石がそこら中に刺さっていた。
濃く美しい赤色は、まだ幼い子供達にとって強い刺激だった。
あたりをぐるぐると何度も見まわす。
「お兄、凄くきれいだね。」そう言うと兄が頷く。
するとイヴが閃く。
「ねぇ!この石を持って帰ってパパとママにプレゼントしようよ!そうしたらきっと喜んでもらえるよ!」
兄も「いいね!そうしよう!」と言い、二人で石を砕く方法を考える。
すると突然、柱がひび割れて砕けてしまう。
「イヴ!危ないっ!!!」そう言う間もなく、イヴは柱の下敷きになってしまった――
「私死んじゃうのかな。」
体が重い。視界がどんどん暗くなっていく中、どこからか謎の声が響いてくる。
「――小娘。」
誰だろう。重い目を開けるとそこはさっきまでいたはずの森じゃなかった。
あたりは暗闇に包まれているのに、視界はハッキリと見えている
目の前に人がいるのが見えるからだ。
「目が覚めたか小娘。」
意識がはっきりしてきた。ただ立てそうにもなく床に伏していた。
倒れてきた柱も無くなっていた。
「私は八大悪魔が一人、フォルティッシモだ。」
大悪魔と聞いて身の毛がよだった。
ママがよく悪いことをしたら悪魔に連れていかれると教えられていたからだ。
しかし悟ったように「悪魔さん、私死んじゃうの?」と絞るような声で尋ねる。
しかし悪魔は高笑いをし「案ずるな小娘よ、お主は選ばれたのだ。」と答える。
「このままではお前は死んでしまう。そこでお主に提案だ。今からお主に呪いをかける。」
そう言うと悪魔は私に向けて、空中に魔法陣を書き始める。赤黒く紋様が浮かび上がる。
まるでさっき見た石のように。
「この呪いは寿命を吸い続け、その分体内で魔力が増幅される。魔力を吸い続けると体が持たずに爆ぜてしまう。」
イヴが分からなさそうな顔をすると悪魔は「要は体が爆発するってことだ。」
この言葉でイヴは戸惑う。続けて悪魔は「この呪いに打ち勝つことができたならお主は生きられよう。」
"生きる"この言葉に反応してイヴは内心すごく喜んだ。
「ただし猶予を定める。3年以内にこの呪いと向き合えなければ、村は爆発で壊滅する。」
イヴはその言葉を聞いても尚、"生きる"と言うことが頭から離れなかった。
「さぁ選べ、今ここで死ぬか、呪いを克服して生きるか...と言いたかったがもう既に決めたようだな。」
イヴは生きたいと願っていた。そして暗闇が次第に白く明るくなって気づけば悪魔の姿すら見えないほどの光に包まれた。
第四話、いかがでしたか?
今回はイヴの過去編でした。
次回は過去編の続きからですかね~
またゆるりと書いていくので、気長に待っていただければなと思います。




