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No.S 〜数字が刻まれた部隊〜  作者: 鬼子
No.1 『現れた数字』
6/55

6 『武器』

 神宮寺は俺たちを見つめて礼を言った。

 普段は態度がデカいくせして、しっかりと頭を下げる事ができる点は、良い人なんだと理解出来た。


 優しいかった神宮寺の目が鋭く変わり、口を開く。


「じゃあ、改めて武器を選べ。 それと、私に敬語は使わなくていい、立場は対等。命をかける者達を下に見るわけには行かん」


 そう言いながら神宮寺は端末を見せてくる。


 まるでアプリが並ぶストアを見るように、スクロールするたびに多種多様な武器が顔を出す。


「多いな・・・なんでもいいんですか?」


 俺が質問すると、神宮寺は目を細めた。

 敬語、丁寧語を使うなという事だろう。


「なんでも・・・いいのか?」


 神宮寺はにっこりと笑いながら続けた。

 

「あぁ、好きな物を使って構わない。各種全員分は用意してあるから自由に選んでくれ」


 3人で端末を覗き込み、画面を見る。皇だけは画面を見なかった。

 銃、剣、盾、なんなら太いだけの木の棒なんかもある。


「神宮寺、弾丸はどうなる?」


 俺の質問に神宮寺が腕を組みながら答える。


「そこに映ってるのは武器だけだ。選んだ武器に対応する弾丸はこちらから都度支給する。 これも給料から引いたりはしないから安心してくれ」


 そう言われて、かなり尽くしてくれるんだなと思いつつ視線を端末に戻す。


「湊さん、俺拳銃がいいっス」


 皇に言われる。

 拳銃がいいと言われても、かなりの種類がある。

 

「どれがいい?」


「湊さんのセンスにお任せするっス。それと、硬そうな剣をお願いするっス。 棒でも良いっす」


 なぜ皇は自分で選ばないのだろう。

 まぁ見たことも触った事も無いんだ、不安になるだろう。


 FPSのゲームをかなりやってきたが、大半はわからない。この会社が作ったオリジナルもあるのかもしれない。


 皇に言われた通り、拳銃を一丁と、背負う事ができる直剣を一本。 ナイフを選択して決定ボタンを押すと自動扉の隣の床が上がり、注文した武器が並べられている。


 皇は出てきた武器の方を向いて、手を叩く。


「おースゴイっすね」


 直剣を背負い、拳銃を持つ。ナイフはどこにしまうかわからないらしい。


 鞘におさまったままだから安心して欲しい。


 そんな皇を有栖川は見つめ、ため息をついた。


 そんな中、突然神宮寺が口を開いた。


「あ、忘れてた。ちょっと端末を貸してくれ」


 そう言われて端末を渡すと、何やらぽちぽちとした後に遠くの床が上がる。

 そこには服が掛けてあった。


「なんだ、あれ?」


 俺がつぶやくと、神宮寺が答える。


「軍服だ、全員に着てもらう」


 近づいて手に持ってみると、かなり良い素材を使っているのか触り心地が凄くいいのがわかった。


 灰色を基調とし、黄色のラインがいくつかと、右胸にSの文字が刻まれている。 これはスレイヤーズと言う意味だろう。


「すまない、引き続き武器を選んでくれ」


 神宮寺は端末を渡してきた。


 再び覗き込み、画面を確認する。

 そうすると、不動が口を開いた。


「先に選んで良いかい?」


「はい」


 不動に端末を渡すと、素早く操作してすぐに武器を選択した。


 床が上がり、武器が出てくる。

 両刃剣と拳銃が一丁だ。


 両刃剣は初めて見た。

 一本の棒な両端に薙刀のような刃がついている剣だ。 両刃剣とは言うが、剣と呼んで良いのかは甚だ疑問だ。


 こちらも両刃に鞘がついている。 どう戦うんだろう。


「じゃあ・・・次は私・・・」


 そう言いながら有栖川が端末を俺から奪う。

 奪うと言っても動きが遅いため、嫌な感じはしない。


 有栖川は数分悩んだ後に操作を開始して、画面を何回かタッチする。


 床が上がり、姿を現したのは小さいが大量の武器だった。

 サプレッサーが付属した小音銃と、ナイフが数本。それに、これはなんだろう・・・指より長く遅い鉄製の杭みたいなのものがある。


「暗殺に特化した武器選択か・・・」


 俺がそう呟くと、有栖川はこちらをみて小さく頷いた。


「あとは・・・あなただけ・・・だから」


 そう言って端末を渡してくる。

 端末を受け取り、操作する。

 

「改めて見ると数がすごいな・・・」


 下にスクロールしていくと、あるものが目につく。

 刀身が真っ黒の刀だった。


「良いじゃん・・・日本人と言ったら刀だよな」


 それを一回タッチする。

 あとは、拳銃と・・・遠近両方戦えた方がいいだろう。一旦はこれでいいか?


「神宮寺、後日また選べたりするのか?」


 俺が神宮寺に言うと、はっきりと答えた。


「あぁ、そこにある武器は全てお前達のだ、引き出しは自由、好きなだけ使うといい」


 神宮寺はそう答えた。

 なら、今はこれだけでいいだろう。


 床が上がり、武器が現れる。

 その台に近づくと、武器が2つと、指輪が二つある。


「指輪?」


 なんだこれ、わからない。


「神宮寺、この指輪はなんだ?」


 そういうと、不動達も神宮寺を見た。


「あぁ、それは認証指輪だ。 特殊な機構の武器を製造しているからな。他者が勝手に利用しないように抑制する必要がある。 指輪をつけてる者じゃ無いと剣は鞘からすら抜けない仕組みだ。 取り敢えず全員嵌めてみるんだ」


 言われた通りに指輪を嵌める。

 装着すると、指輪に刻まれた緑色のラインが光り出す。


 それを確認したあと、神宮寺が口を開く。


「不動、両刃剣をそのまま構えろ。 構えはなんでもいい。指輪を嵌めてる手でだ」


 神宮寺に言われ、鞘に収まったままの両刃剣を不動は構えた。瞬間、鞘が割れて取っ手の中に収納される。


「すっげ・・・」


 不動が思わずつぶやいた。

 それを見て、神宮寺が少し笑いながら言った。


「他の武器も似たような構造だ。扱ってみろ。拳銃にはセーフティロックが存在しない代わりに、指輪が無いとトリガーを弾けない仕組みになってる。 上手く扱え」


 なるほどね・・・

 だが、一個気になる点があった。俺が受け取った刀身が黒い刀は刀身がない。

 柄しかないのだ。


「神宮寺、俺の武器だけ刀身がないんだけど?」


 俺がそういうと、神宮寺は身体を大きく動かしながらジェスチャーをする。


「振るんだ、柄に収納された刀身が出てくる。刀身を収納する場合は鍔を少し捻るんだ。 強い力は必要ないが、戦闘中の衝撃程度じゃ収納されない造りだから安心しろ」


 神宮寺がそう言った。

 言われた通りに柄を振ると、金属音を立てながら刀身が姿を現す。


「これもすごいな・・・」


 なんというか、男のロマンが詰まったような武器ばかりだ。


「よし、一通りに回ったな?なら次は実践訓練だ。安心しろ、流石に本物の武器は使わない。 あ、それと、最初に接触した指輪を持ち主として認識するから、それぞれの武器は他者では使えない。覚えておけ」


 ということは、指輪そのものが他者の手に移らない限りは使われる心配はないな。

 指を切り落とされたり、手首から両断された場合は話は別か・・・


 それから数分。

 神宮寺の言う通り、訓練が始まった。

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