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No.S 〜数字が刻まれた部隊〜  作者: 鬼子
No.1 『現れた数字』
4/55

4 『秘密基地』

 神宮寺についてこいと言われ、仕方なくついてきたのはビルだった。

 

「ビル?・・・」


「ぼーっとするな、こっちだ」


 ビルの中にはいりエレベーターに乗ると、神宮寺はエレベーターに設置されている防犯カメラに向かって、胸ポケットから取り出した手帳を見せる。


「何を見せてるんですか?」


 俺がそう聞くと、手帳を持ったままこちらを向く。

 手帳には顔写真と名前、生年月日など、個人の情報が書かれている。

 身分を証明するための、いわゆる警察手帳みたいな物だった。


 俺は手帳を見て気になる点を一つ見つけた。


「29歳・・」


 本当に30前だったのか


「なんだ、なんか文句あるか?」


「いえ、何も」


 上目づかいが可愛いと言ったのは誰だろう。

 俺より遥かに小さい女性から、睨みあげられるのは異様な恐怖がある。


「掴まれ、動くぞ」


 神宮寺の言葉の直後、エレベーターが動き出す。

 階のボタンの上にある電子板が文字化けを起こした。


「これ、どこいくんですか?」


「地下だ、秘密基地と言ったら地下だろう」


 ・・・そうだな

 もう何かを言うのは諦めよう。

 

 再度電子版を見ると、数字ではなく文字が表示される。


 『No.S HQ』


 意味わからん。

 エレベーターの扉が開き、神宮寺がヒールを鳴らしながら降りる。

 俺もそれに続き降りて、神宮寺の後をついていく。


 長い廊下を歩き、半透明の自動扉を潜ると、研究室とオフィスが合体したような作りの室内が現れた。


「なんだ・・・ここ」


「それは後で説明する、私達はこっちだ」


 神宮寺にそう言われて、さらに後を追いかける。

 足元がギリギリ見える程度の明かりしか確保されていない階段を下り、さらに進むと神宮寺が扉の前に止まった。


「ここだ」


 小さい手がドアノブを捻り、扉をあけると会議室のような場所があった。


 大きくて長い木製のテーブルを囲うように椅子がならんでいる。


 その椅子には高校生くらいの男の子と、中学生くらいの女の子が座っていた。

 仲が悪いのか、テーブルを挟んで、1番離れた角と角の席を占領している。


 男の子は金髪で、ヘッドホンをかけている。

 コードはパーカーのポケットまで伸びていて、何か曲を聴いているのだろうか。


 女の子の方は小さな袋から何やらお菓子を取り出して食べ続けている。

 チョコレートだろう。


「よし、一旦は集まったな・・・先に軽く紹介して、他の奴の場所に行くぞ」


 神宮寺が少し前に出て、彼らを指差した。


「この子達もナンバーズだ。 お前達、自分で自己紹介をしろ。」


 先に男の子が立ち上がり、ヘッドホンを首にかけた後に左腕でパーカの首元を引っ張る。


「ちっす! 俺は皇 響(すめらぎ ひびき)17歳っス!番号は19番。 能力は聴力っス!」


 そう言った皇の左鎖骨部分には19の数字が刻まれていた。


「俺は湊 美咲よろしくね」


「はいっ!よろしくっス!」


 皇は礼儀正しく頭を下げた。

 神宮寺は皇を座らせ、女の子の方を向く。


「じゃあ、次」


 神宮寺の指示で女の子はゆっくりと立ち上がる。

 非常にめんどくさそうだ。


 ゆっくりとため息をついた後、肩くらいまである髪を持ち上げた。

 右手で左側頭部の髪を持ち上げると、首元に数字がある。


有栖川 透華(ありすがわ とうか)15歳。・・・番号は37番・・・能力は観ること・・・よろしく・・・」


 口数が少なく、クールと言った感じだ。

 あまり目を合わせてくれないから恥ずかしがり屋さんなのだろう。


「うん、よろしくね」


 俺が挨拶を終わらせると神宮寺が口を開いた。


「一通りは終わったな・・・不動はいつもの場所かか?」


 この神宮寺の質問に有栖川が頷いた。


「なら次はそっちだな」


 神宮寺が会議室を出て歩き出す。

 慌ててそれについていくと、皇と有栖川もついてきた。


「なんでいるのかな?」


「ダメっスか?」


「いや、いいけど・・・」


 ただの純粋な疑問にそんな真剣に返事しないでよ・・・


 エレベーターに乗り、さらに下に行く。

 狭い空間に四人、四人いても言葉がない空間の静寂を切ったのは皇だった。


「湊さんもナンバーズなんすよね?何番なんすか⁉︎」


「えっと、俺は・・・」


 答えようとするとエレベーターがどこかの階につき、神宮寺が降りていく。

 それに気づいてまた後をついていくと、爆発音というか、何か岩を砕くような音が響く階層に来た。


「なんの音だ?」

 

「不動さんっス。いつもここで訓練してるんすよ、だいたい不動さんはこの階層にいるっス」


 長い廊下を歩くと、見えてきたのは鉄格子で囲われた広場だった。

 長方形で、テニスコートより一回り二回りほどでかい。

 何やら弾を発射する機械が設置されていて、向かい側には茶髪ソフトモヒカンのムキムキな男性が立っている。


「ここは不動ように特別に作った訓練コートだ。不動意外が入ったら確実に死ぬぞ」


 神宮寺が腕を組みながらそう言った。


 瞬間、ガコンという音と共に機械が高速で動き、凄まじいスピードの石を何発か発射する。

 男はそれを華麗に躱し、石が後ろの壁に直撃する。


 先程の爆音は石が壁に当たった音か・・・


 数分経って、男がこちらに気づくと手を振ってきた。 汗だくだが、なんだろう。爽やかな感じがして悪い印象はない。


「おや、神宮寺さん。新入りですか?」


「そうだ」


 男は俺を見てニッコリと歯を見せながら笑った。


「よろしく! 俺の名前は不動 梓(ふどう あずさ)25歳。 番号は24!よろしく!能力は見る能力」


「湊 美咲です。よろしくお願いします。」


 見る能力?有栖川と一緒だろうか・・・

 それとも別の能力か?


「見るの能力って有栖川さんと一緒なんですね」


 俺がそういうと、不動は人差し指を立て、振りながら訂正した。


「少し違う。俺は見る。動体視力や反射神経の能力だ。 有栖川は観る。メンタリストが使うコールドリーディング・・・簡単に、細かな動作や目の動きなどで心情読み取る。場所なら色々な情報を取り入れる能力だ」


 そう言いながら不動は有栖川を指差す。


「有栖川の能力は情報の整理に脳を酷使する。だから・・・」


「チョコレート・・・なるほど」


 納得していると、皇が視界に飛び込んできた。


「なぁ湊さん!アンタの番号知りたいっスよ!」


 そう言われるが、特に神宮寺からの指示はなかったから悩む。

 横目で神宮寺を見ると、気づいた神宮寺が眉毛をあげて手をヒラヒラとしてきた。

 どうぞご自由にの合図だろう・・・なら遠慮なく。


「すいません、言い忘れてましたね。番号は・・・4番です。 能力は再生です」


 舌を出し数字を見せる。

 

 3人は驚いた顔をする。


「ひと・・・桁?」

「4番・・・」

「大物だな」


 そんなに驚く事だろうか・・・

 たかが数字だ。それに、治癒能力が高いだけ、強いとは言えない。


「スゲェっス! 再生って、どんな能力なんすか⁉︎」


 皇は目をキラキラとさせながら聞いてくる。

 犬のようで、なんか半透明な尻尾が見えてきた気がした。


 だが、その質問には対応できない。

 傷がないと治癒はできない。俺は武器を所持してないし、所持していたとしてもわざわざ自傷をしたくない。


 刹那、横からカチャッと音がした。

 音の主は神宮寺・・・いや、神宮寺が持つ拳銃だ。


「見せた方が早い」


 神宮寺は俺を見上げて満面の笑みを見せた。

 あら可愛い。美人なんだよなこの人、銃口を向けられてなかったら惚れてたかも・・・


「はは、マジすか・・・」


 俺の言葉の後すぐに、銃声が数発鳴り響いた。

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