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No.S 〜数字が刻まれた部隊〜  作者: 鬼子
No.2 『闇に潜む者』
13/55

5 『豪脚と暗視』

 御堂筋の構えたナイフがキラリと光る。


「白銀さん!ランカさんと下がって! 皇、二人を守るぞ!」


 瞬間、背後から声がした


「おいおい、俺を忘れてもらっちゃ困るぜ・・・」


 最初に現れた男だ、名前すらわからない。

 男はズボンのポケットに手を入れると、銀色の玉を二つ取り出し、床に投げた。

 その玉は床をころころと転がり、開いて板のようになる。


 板状になった何かの上に男が足を乗せると、カチカチと音を鳴らしながら靴を覆う。


「マジか・・・」


「あぁ、マジだよ。鉄製の靴の完成だ。これで蹴られたらどうなるか、わかるだろ」


 男はニヤリと笑いながら言った


「靴・・・脚力か?ならパイプはどう射出した?」


 俺の呟きが聞こえていたのか、男はニヤリと笑いながら答えた。


「たとえば、どんなものでもいい、コップでも、ピーナッツでも・・・衝撃ってのは、ぶつかるから発生するんだよ。だから壊れる。 でも、押せばいい」


 男はそう言いながら靴の先端にビー玉を乗せる。


「だからっ!こうする!」


 男が足を振り切った瞬間、後の壁にビー玉がめり込み、砕けた。


 あぁ、これはまずい・・・

 俺は本能的に後ろを見て、モタモタと逃げる白銀に声をかける


「白銀さん!早く退避して!皇、戦闘準備!」


「湊さん、前向いて!」


 皇の声が館内に響き、前を向く。


「しまっ!」


 映ったのは靴底、腹目掛けての蹴りか?

 回避・・・は間に合わない。


 瞬間、腹部に激痛が走ると同時に身体が後ろに引っ張られる。


「湊さん!」

「神楽さん!」


 皇と白銀の声が響く、その直後、背中に強烈な痛みと浮遊感が走る。

 どうやら壁にあたり、止まったらしい。

 当たった壁は砕け、頭に落ちる。


「俺は昔陸上の選手でな? まぁ大怪我をして走るのが嫌になってた・・・だが手に入れた能力は足。皮肉だよな? って聞いてないか・・・さぁ、まず一人だ」


 男が俺に言う。

 揺れる視界と、耳鳴りが続く。


 まだ・・・


「終わってないぞ」


 すでに傷は治っている。

 蹴られた瞬間、骨が砕けたのだろう。能力の力は凄まじく、蹴り飛ばされてから壁に当たるまでの間に、砕けた骨は完治している。


 だが、治すのはあくまで『傷』であって、脳震盪による眩暈や吐き気は残る。


 ガラガラと瓦礫を払いながら立ち上がる。


「なんだ・・・まだ死んで・・・無傷?」


 男の顔が歪む。

 かなり本気で攻撃を浴びせたのだろう。


「なにしとんねん!もっと本気でやらんかい!」


 御堂筋が男を怒鳴りつけた。

 

「いや、本気だ!少なくとも、人間が耐えられるような威力じゃない!」


 男が大声を上げる。

 普通なら、内臓が破裂して重症になるかもしれないが、俺の身体は即死でもしないと、確実に耐える。


「神楽さん!避難完了しました!」


 背後から声が聞こえて振り返ると、白銀はかなり下がっていた。

 それはもうやり過ぎなくらいに避難していた。


「いや、下がりすぎ・・・まぁなんかあるよりいいか・・・」


 肩を落としながらもそう呟く。


「湊さん、俺も戦えるっス」


 皇がそう言いながら武器を構える。


 御堂筋がゆっくりと前に出てきた。


「あーあ、めんどくせぇ・・・お前ら全員殺してやるから、覚悟せぇ」


 そう言いながら御堂筋が指を鳴らす。

 瞬間、光という光が全て消え、あたりは暗闇に包まれる。


 何も見えない。

 感覚だけが頼りだ


「ワイの国へようこそ。 ワイの能力は暗視、光が一ミリもなくても昼間と同じに見えるっちゅう能力や。貴様ら、戦ってみぃや」


 御堂筋の声が、深い闇の中に消えた

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