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No.S 〜数字が刻まれた部隊〜  作者: 鬼子
No.2 『闇に潜む者』
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4 『潜む者たち』

 俺たちは手に入れた情報を信じ、水族館を目指して歩き出す。


 そんな道中、皇が変なことを言い始めた。


「俺、魚って見たことないんすよねー」


「どう言うことだ?」


「泳いでる魚っスよ?料理のは見たことあるっス」


 皇はそう言いながら慌てた様子で訂正した。

 そんなに慌てる必要もないだろうに、まぁ確かに高校生にもなって泳いでる魚を見たことがないのは不思議だよな。


「水族館行ったら観れば?」


「湊さん、遊びじゃないんスよ?」


 なぜ成人の男性が男子高校生に正論をぶつけられなければならないのか。


「バレなきゃいいんだよ」


 ずる賢く生きれば得はある。

 なんなら得しかない。


「まぁ、もっとも・・・観れればの話だな」


 そう言いながら足を止めた。

 視界に映るのは入場前の広場だ。


 装飾品やガラスは割れている。

 観光ができるような状態じゃない。


「白銀さんは外で待っててください」


 俺は白銀にそう言ったが、それに対して皇が反応した。


「いや、一般人を一人にするのはマズイかもしれないっス。ナンバーズが他にも潜んでいるかも」


 皇の言う通りだ、やっぱり連れて行こう。


「だ、そうなんで、やっぱ行きますか?」


「最初からそのつもりです」


 そう言いながら暗い建物内に侵入する。


「暗いから気をつけろよ」


「俺は反響でわかるんで、なんなら目を瞑りながらでも歩けるっス」


 皇はそう言いながら、視界が悪い水族館内をズカズカと先に歩く。


 魚の飼育は行き届いているが、小さな照明は全て灯がついていない、水槽内の灯のみがついている状態だ。


 明らかに異常だ。

 館内に足音が響く。

 キラキラと光に当てられて魚が泳いでいる。


 ランカさんはここにいるのだろうか。

 情報通り、人は見当たらない。

 従業員も、客も、一人もいない。


 光がない通路は壁に手を添えながら歩かないと前に進めない。


 そんな中でも皇は普通に歩いている。

 あれが聴力か・・・


 瞬間、皇が突如走り出した。

 タンタンと早いリズムで館内に足音が響く。

 

「湊さん!」


 俺を呼んだ皇を追いかけると、かなり広い場所に出た。大きい水槽の前だ。


 そのまえに、目隠しをされて椅子に縛り付けられている女性がいる。

 金髪で、赤のメッシュが入ったかなり派手な格好だ


 近づき声をかける。


「大丈夫ですか? 皇、縄を解けるか?」


「やってみるっス」


 そう言って皇は女性の後ろに周り縄を解こうとする。


「何があったんですか?」


「わからん・・・家におってゲームしとったんよ、そしたら急に・・・」


 やけに落ち着いてるな。

 状況が読み込めていないのか?


「あなたがランカさんですか?」


 その質問に女性が顔を上げる。


「なんで、その名前・・・」


「俺は神楽です。それに・・・」


 白銀の方に手を向けると、白銀が気づいた。


「白銀です。ボイスチャット中に襲われてたんで、きました」


 それを聞いた女性がポロポロと涙を流す。

 あぁ、強がっていただけか・・・

 瞬間、縄を外そうとしていた皇が勢いよく立ち上がり、闇を見つめる。


「なんかくるっス・・・」


 その直後、闇の中で何かが光り、キラッと瞳に映った。 俺の身体は本能的に身体を逸らし、間一髪で何かを避ける。 その物体は壁に鈍い音を出しながら刺さった。


「鉄パイプ・・・」


 鉄パイプだった。どこにでもあるようなやつだ。

 それを、壁に刺さるくらいの威力で投げたのだ。


「刺さったら死ぬぞ・・・」


 俺がそういうと、皇が反応する


「俺たちも殺す気でやらないと・・・」


 そして、見つめる闇から姿を現したのは、変なゴーグルをつけた男だった。


「あら、外してたか・・・なんて、見えてるけどな」


 ゴーグルを外しながら男は言う。

 見えていた・・・言葉から察するに暗視ゴーグルか何かだろう。

 厄介だな


 瞬間、皇が反対を見る


 そちらにはロン毛の男がいた。


「外してもうたんか? アンタ下手くそやなぁ?」


 ギシシと歯を見せながら笑うソイツは不気味さ漂わせる。


「お前の指示通りに動いたぞ、御堂筋・・・もういいだろう」


 どうやらロン毛の男は御堂筋という名前らしい。

 

「まぁええわ、どっちにしろコイツらはここで殺す」


 そう言って、御堂筋はナイフを構えた

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